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「[その4]消費税論議で駆使される嘘やマヤカシは“消費税特権者”を守護する粉飾:経団連が消費税増税を求める真の理由」(http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/300.html)の続きです。
続きと言うより、番外編と言ったほうがいいかもしれない内容です。ケチを付けるだけじゃなく、なんか代案を示せということもなんとなく聞こえてくるので...
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消費税にまつわる虚構は20数年にわたり強力な媒体を通じて流布されてきたので、「輸出戻し税」が国家的詐欺であることにピンとこない方もおられるかもしれない。
(※ 根拠を示されないまま「陰謀論」説を振り回す人には何を言ってもムダだと思っている..)
消費税は付加価値に対する課税なのだから、輸出という免税取引も、非課税取引と同じように、輸出で得た付加価値は消費税の課税対象から除外できるという“優遇策”ですっきりする話なのである。
そんなことをしたら輸出企業の国際競争力に影響すると言うのなら、消費税制度を廃止すればいい。
その代わりに所得税や法人税の比率を高めるべきだと思うが、それがイヤというのなら、消費税を「小売売上税」に変更するという選択肢もある。
(※ 近々、「小売売上税」の代表である米国型「売上税」に関する投稿を行うつもり)
消費税は最終消費者が負担するというのが政府の公式的説明であり、「売上税」のほうがよりふさわしい税制と言える。
消費税と違い、「小売売上税」は輸出にまったく影響しない税制だから、「輸出戻し税」のような問題も発生しない。輸入も、“明示的な関税”と“隠れた関税”という歪んだ構造から解放され、本来的な関税政策に戻すことができる。
国民も、「小売売上税」なら、外税制度に戻った消費税が続いているように受け止めるだろう。
(※ 企業などは会計・税務処理の変更でコストを負うが、一時的なものであり、政策的措置で緩和できる)
「小売売上税」は、国民とりわけ低所得者に消費税と同じような経済的打撃を与えるとしても、消費税よりも柔軟な対策が実施できる。
「小売売上税」の特徴を列挙する。
1)最終小売段階でのみ課税する「小売売上税」は、輸出企業を優遇する政策に結びつかない。
2)小売段階だけの課税なので、低所得者や障害者などへの社会政策的配慮は、非課税などの例外措置ではなく、給付措置でカバーすることができ、全体の整合性がとれる。
3)あらゆる物品とサービスが小売段階で課税されるので、「税を負担する経済主体」と「税を負担しない経済主体」というばかばかしくふざけた不公平は生まれない。
そして、同じ税率でも、課税ベースが広い「売上税」のほうが税収アップにつながる。5%の税率で、GDPを考えると15兆円を超える税収が確保できるはず。(消費税の税収は10兆円ほど)
但し、いずれにしても、デフレ基調が続く限り、増収分は経済成長の阻害要因になるから、税収の増加を赤字財政支出の穴埋めに使うような政策は棚上げしなければならない。
4)消費者の税負担は、税が明示的な「小売売上税」になると、税が隠れた内税式消費税よりやや大きくなると思われるが、税込み価格も、結局のところ、需要と供給の関係論理で決まるから、それほど変わらないと推測できる。
5)低所得者対策は、課税除外品目や軽減税率品目を設定して行うこともできるが、業界や個別企業の利益が絡む話になるので、基礎的生活費総額×「売上税」税率に相当する給付を行うといった政策的対応のほうが好ましい。
政策的給付のお金は、消費段階で「売上税」に充当され、ほとんどが戻ってくる。
6)「売上税」は単段階での課税だから、全国一律の税率ではなく、県別など地域差を付けることもできる。たとえば、国税「売上税」を5%とし、最大3%までなら地方自治体で上乗せができるといった柔軟な適用も可能である。
8)「小売売上税」は、税の代行徴収と納付を小売業者が負うことになるので、特定業種に税務処理の負担を押し付けてしまう問題が生じる。
また、ただでさえぎりぎりの状態で商売をしている小規模小売業を考えると、納付義務をまっとうできない事業者も出てくるのではという危惧もある。
これらも、政策的に緩和できる話であり、国家社会に大きな歪みをもたらしている消費税を継続するデメリットに比べれば、乗り越えやすい問題だと思う。
消費税導入時に語られた「税の直間比率の是正」を実現するのなら、名実ともに「間接税」である「小売売上税」を選択すべきなのである。
財務省官僚や財政学者もそれをわかっていながら消費税にこだわっているのは、消費税税制が内包する輸出有力企業優遇パワーにこだわっているからだと言わざるをえない。
これまで説明してきた財界や官僚機構の意図が「陰謀論」で終わるなら幸いである。
私の論がアホな「陰謀論」だったで終わるよう、政府・国会議員・学者・財界・メディアは、まっとうな税制論議を行い、消費税の宿痾から抜け出さなければならないと思っている。
いろいろケチをつけてきたが、反“輸出有力企業”を標榜しているわけではない。
近代経済社会にとっては輸出の増大こそが成長の第一義的な推進力なのだから、官僚機構が輸出企業を優遇する政策を採りたい気持ちは理解できる。
(※ 経済成長の続く推進力である設備投資も、それにより生産効率が上がっても、安くなったことを武器にさらに輸出ができることで、過剰供給が抑えられ、それほど価格が下落せず、手元に入ってくるお金も増大するから可能なのである。輸出がGDPに占める割合が何%といったような静態的な分析は、動態的な論理に勝るものではない)
近代経済社会の存続を願う立場ではないが、現実を生きている人々の物質的安寧が支えられることが何より重要だと考えているので、日本経済が今よりも上位の水準で活動できるよう回復して欲しいと願っている。
「供給→需要」という見方を示したように、供給サイドを重視する考えに立っている。サプライサイド経済学とは価値観も考え方も違うが、供給活動主体(企業・家・個人)の活力こそが、経済社会を支える基礎であり柱だと考えている。
いくら善い悪いと言っても逃れられない国際競争のなかで、企業(供給活動主体)が生き残り少しずつでも力を涵養していくためには、企業をサポートする国策が必要だとも考えている。
しかし、そのような観点から考えても、経済社会全体をとてつもなく歪ませ、成長を抑圧するような消費税を利用した輸出企業優遇政策は愚策でしかないのだ。
輸出有力企業の業績も、日本経済が名目・実質の両方で緩やかにかつ持続的に成長していくほうが確実に改善する。
特定企業のみの利益やそのとき限りの算術計算的損得を考えただけの政策は、国家社会を疲弊させてしまうことで、自分たちをも過酷な経営に追い込む。
中国やインドなど新興国に逃げ場があると考えているのなら手痛いしっぺ返しを食らうことになるだろう。日本政府が自国企業ファーストであるように、諸外国も自国企業ファーストである。
母国にしっかりした経営基盤を築いていなければ、グローバルな競争を戦い抜くこともできないのだ。
日本経済をさらに低迷させ、国民生活をさらに疲弊させる消費税の増税を声高に求めている経団連加盟企業の経営者には、すでにご存じだろうが、次の話をきっちり受け止めてもらいたい。
「iPhoneをアメリカで作れないものか」というオバマ米大統領の問い掛けに、アップルCEOであった生前のステイープ・ジョブズが、「それらの仕事はもう戻ってこない」と答えたという話は、死後、いろいろなところで取り上げられている。
それに関連する話で、「ニューズウィーク日本版2.22」のP.23に掲載された『「アメリカではiPadは作れない」わけがない』という記事である。
米国は、ドルという国際基軸通貨を発行し、国際政治でも圧倒的な影響力を誇示している。その基礎的な条件は、米国企業に、目には見えにくいが大きなサポートを与えてきた。
レーガン元大統領時代のUSTR代表だったクライド・プレストウィッツ米経済戦略研究所所長でさえ、「アップルはアメリカ企業であることによって大きな恩恵を被ってきた。国に対しても一定の責任がある」と語っている。
以下、『』内はニューズウィークからの引用である。
『1980年代、円安のため対日輸出に苦しんだアップルは、米政府が外圧をかけることを望んだ。「アメリカ政府はアップルを助ける義務があると考えていたようだ」と、プレストウィッツは回想する。業兢不振に苦しんだ90年代には、本社があるカリフォルニア州と市から税金を安くしてもらった。今でも国外で製品の海賊版が見つかると、アップルは取り締まり強化を求めて米政府に駆け込む。「どこかの重役が『私は株主に対して責任を負う、国ではない』と言うのを聞くたび、こう言いたくなる」と、プレストウィッツは言う。「それなら知的所有権を侵害されたときも政府に助けは求めないことだ」』
政府だけではない。企業をはじめとする私的経済主体は、社会(国民を中心とした人々)からも大きな支援を受けている。
どこの企業も、次世代の子どもを育てることなど、国民からの大きなサポートを受けて成長してきたし、今も受け続けている。
自分たちの利益のために消費税増税を叫ぶのはそろそろヤメにし、日本と日本国民が将来に展望を持ち、現実の生活でも少しずつ豊かになれる政策はどうものなのかを真摯に議論すべきである。
その議論が実を結び経済条件は、今の状況で歴史の針が進めば進むほど少なくなる。
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