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http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120227/300469/ 財部誠一の「ビジネス立体思考」
労務費高騰で進まぬ被災地の復旧工事、反社会勢力の跋扈も
2012年02月27日 RSS コメント(13件)
被災地の復旧工事が思わぬところで頓挫している。土木工事業者が初めから入札に参加しなかったり、入札が成立しないことを前提とした低価格で応札したり といった事態となり、県や市が発注する土木工事の4割前後、所によっては5割が入札不調となり、復旧工事そのものが宙に浮いてしまっている。
臨時作業員の手間賃は3〜5倍に
なぜ、そんな事態に陥っているのか。
一般的な解説は単純だ。人件費と資材の急騰で、落札して工事をしても、赤字になってしまうから、だという。確かに被災地では臨時作業員の手間賃が異常に 値上がりしている。石巻の土木工事業者によれば「通常なら1日1万2000円程度の手間賃が3倍〜5倍になっている」。3倍なら3万6000円。4倍なら 4万8000円。そして5倍ならなんと1日で6万円の手間賃になる。
いくら過酷な仕事とはいえ、こんなに美味しい仕事は滅多にあるものではない。だから反社会勢力が大挙して被災地に押し寄せている。人手不足に悩む地元建 設業者に他の地域で調達してきた労働者を派遣しようというものだ。もちろん、手間賃の一部は彼らが吸収してしまう。その誘いに乗らない限りは工事を実施で きないほど、現地では人手不足が深刻化している。
被災地復旧のスピードアップは被災者のみならず、多くの国民が望むところであり、3次補正で巨額の復興予算もついた。宮城県の2012年度の予算は昨年 の2倍にあたる1兆6000億円だ。復旧工事のペースが加速して当然なのに、工事現場にはあり得ない停滞感が漂っている。
それにしても、なぜ土木工事の手間賃がここまで高騰してしまったのだろうか。人件費は当然のことながら需給の影響を強く受ける。人手が不足すれば人件費 は上昇し、人手が余れば人件費も下がる。いま被災地で起きているのは、極度の人手不足だ。その理由の一つに被災者のマインドがあるという。
Next:援助や補償・保険などに頼ってしまう人も
宮城県内では震災によって11万人の人々が失職した。考えようによっては人手があるはずだ。もちろん職を失った人々の中には工事現場で働くことのできな い、あるいはそれを希望しない高齢者もいるし、女性もいる。単純な数合わせができないことくらい承知している。そういう事情を勘案しても、宮城県内には働 き手が少なすぎる。
「援助漬けです」
地元からは、そんな声が聞こえてくる。
「義援金、保険金、補助金等々、働かずに生活ができてしまう家庭が少なからずある。最近はマスコミでも指摘されるようになったが、本当に平日の昼間からパチンコ屋がいっぱいになってしまう実態がある。勤労意欲そのものが失われてしまったのではないか」
被災者には厳しい言葉かもしれないが、こうした批判的な発言を被災地では何度となく聞かされた。その結果、建設労働者の手間賃がひどい場合は1日に6万円だというのだ。にわかには信じがたい金額だ。そんな人件費を払って成立する工事などあるわけがない。
しかし現実を仔細に見ていくと、確かに入札不調が続出しているもの、すべての工事が落札されず、すべての工事計画が頓挫しているわけではない。きちんと落札され、着工されているケースもある。
Next:大手ゼネコンと地元業者で異なる対応
その違いはどこにあるのか。建設業界のプロフェッショナルであるアナリストの一人は地元業者と大手のゼネコンとの違いが鮮明になっていると解説した。
「ざっくりいえば入札不調は主に地元業者が行う工事代金が500万円以下のケースで頻発しています。逆に大手・準大手のゼネコンが行う工事代金1000万 円以上のケースでは入札不調が少ない。要するに大手・準大手のゼネコンは人の手当てがそれなりにきちんとできているということです」
ともすれば、建設土木工事では「公共工事で大手ゼネコンは地元の仕事を奪ってしまう存在で、地元の中小業者は泣かされている」という思い込みに傾きがち だが、いまの入札不調の実態は必ずしもそうではない。現地の復興のためには復旧工事を出来る限り地元業者に委ねたいという気持ちは地元ならずとも多くの 人々が考える。当然のことだと私も思う。だが、地元の建設業者とはいえ、人件費高騰で黒字が見込めない工事はやれない。こういう事態が続けば反社会勢力に つけ込む隙を与えるばかりだ。
国土交通省は昨年度の入札不調を受けて、工事の算定基準となる人件費を引き上げるなどの緊急対策を2月に入ってからようやくまとめた。人件費を引き上げるほか、人材確保に必要な交通費や宿泊費なども考慮するという。果たしてどこまで改善するだろうか。
被災地の復旧工事の遅れをただ一方的に批判するばかりでなく、工事の実情が広く伝えられることを望むばかりだ。
財部誠一(たからべ・せいいち)
1980年、慶應義塾大学を卒業し野村證券入社。出版社勤務を経て、1986年からフリーランスジャーナリスト。1995年、経済政策シンクタンク「ハー ベイロード・ジャパン」設立。金融、経済誌に多く寄稿し、気鋭のジャーナリストとして活躍。テレビ朝日系の『報道ステーション』、BS日テレ『財部ビジネ ス研究所』などに出演。近著に『アジアビジネスで成功する25の視点』(PHP研究所)がある。
財部誠一のホームページはこちら。
皆様からお寄せいただいたご意見(13件)
1. 高度成長期には貿易黒字化の為国策として輸出産業は優遇されていたのです
その裏では、貿易不均衡の代償として無理やりアメリカから買わされたものや、半強制的な減反政策などにより競争力を国策により奪われてしまったのです
その歴史を無視して『工夫と努力が足りない』というのは少し酷というものですよ
貿易摩擦の影響を諸に食らった業界では立て直すのに人材育成から始めなければなりません
それには競争力を持つには数十年を要するのです (2012年02月28日 19:54)
2. 「製造業の成長が望めない中、今後日本の技術を結集して成長できるのは建設業しかないと思えるからです」と言われるお方がおられますが、平成17年の産業連関表(最新)で調べると、建設の輸出は0百万円です。
海 外の建設工事で稼いでいないことを意味するのでしょうが、地震・台風・津波・洪水・火山・寒冷・塩害・豪雪・埋立地の液状化など、これらを全て経験してノ ウハウを持ち、付帯設備業界(空調・水道・設備・通信)も追随して伸びて来ると考えられますが、今まで官主導で外国勢の国内参入を拒み、輸出の実績も全く ない建設業界に国際競争を戦う力がありましょうかね。国内でいくら稼いでも、食糧を輸入する外貨は稼げませんよ。 (建設業の輸出?) (2012年02月28日 19:37)
1. 私も同様に「被災地では今、昼間のパチンコ屋が繁盛する」話を聞きました。
たとえ働かなくても、税金は最大限優遇されてほとんどかからないし、様々な支援や義捐金など日夜食べることには困らないのでお金がかからない。
そんな状況では、働こうという意欲がわかないものでしょうね。
様々な支援を、働く場所を建設するために回す、そういう施策が必要とされているように思います。 (teft) (2012年02月28日 17:21)
2. 世話焼き爺さまは「誤った財政政策で公共工事を減らし続け地方での仕事を無くしてしまったからである。したり顔した評論家たちが事あるごとに建設業者を土建屋風情と馬鹿にしたつけが回って」地方の建設業を壊滅状態に追い込んだといわれる。
私 は「大震災の後の処置でも、いつも厳しく競争している輸出に関わる製造業は直ぐ復旧した。保護、規制、談合に頼り、競争が少なくて厳しさがない土木建築関 係の地域の復旧工事は一向に進まない。災害普及さえ進まぬほど、土木建築関係に頑張る力がないなら、国内産業の工夫と努力は期待薄と思わなばならない。」 と思っている。
製造業OBの私の意見は身勝手でしょうかね。皆さんのご意見を伺いたいです。意見連発ごめんなさい。 (富士 望) (2012年02月28日 16:23)
3. 「援助漬けです」とは他人依存体質と自主性の欠落を表現しています
この体質を改善するには、やはり地方分権しかないのです
建設業界に関しては、工事の算定基準となる人件費のみならず資材すら高騰しています
しかしながら、官庁工事の予算の多くは前年度並に押さえられていますから、当然入札不調は起こります
それよりも建設業の減退のほうが問題でしょう
製造業の成長が望めない中、今後日本の技術を結集して成長できるのは建設業しかないと思えるからです
考えてみてください
地震・台風・津波・洪水・火山・寒冷・塩害・豪雪・埋立地の液状化など、これらを全て経験しノウハウを持てる国が日本以外に存在しますか?応えはNOです、日本しかありません
海外でも用途に応じて適切な技術・特殊資材・人手など付加価値を提供できるような環境を拡張させるような政策が今後必要でしょう
そうすれば住空間を含めた付帯設備業界(空調・水道・設備・通信)も追随して伸びて来ると考えられます (2012年02月28日 16:06)
4. 上から目線と仙台の方に怒られてしまいましたけど一言追加。
土木建築関係の末端まで知り尽くしている最初の復興担当大臣、松本 龍さんを辞めさせてしまったのは、復興遅れの一因になっているようで、いささか残念ですね。
祖父の代から永年土木建築業を経営してきた人だし、宮城県の村井知事に地元との調整をしっかりやれと、要点を突いた指示を出していた人ですから、多分人手不足の事態にも素早く対応したのではないでしょうかね。
口は災いの元ですが、大震災の復興にもっとも適した経験を持つ人を、態度がでかすぎるとして辞めさせてしまったのは、今となっては悔やまれますね。それとも、国土交通省のお役人様は、内情を知りすぎている大臣が煙たくて、マスコミをたきつけて辞めるように仕向けたかな。 (富士 望) (2012年02月28日 16:02)
5. 財部さんよく言ってくれました!仙台で今一番景気がいいのは俗にパチンコと風俗産業と言われています。東北自動車 道や市内の幹線道路はその筋の車が増え、危険を感じることが多くなりました。厳しい言い方をすれば、東北の太平洋沿岸の教育程度は高くない。もともと国か らの補助金がないと立ち行かない地域です。こういうところにお金を注ぎ込めばどうなるか・・・?せっかくの義援金で儲かっているのは誰かと考えると暗澹た る気持ちになります。
被災地の真の復興は自立自助を促すことです。コメント欄を読んでいても、公・民に関わらず富士望さんのような上から目線の小難しい評論が多くて、正直言って被災地には役にたたないで。地域に主体性を引き出すように工夫することを望みます。 (仙台人) (2012年02月28日 14:14)
6. 援助とは、支援することであり施しすることではない。それが分からないNPOもどきが活躍するのをTV報道してしまったから援助漬けが生じるのは当然でしょう。
酒 蔵が壊れたとき、本当の支援とは義援金を送るのでなく前払いで発注することです。震災直後は救援物資が必要ですが、復興・復旧はよそ者の手で仕切られるも のではありません。厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、自分の手で自分の生活を立て直すが当たり前です。災害だから誰かか直してくれる、その考えは 子供の甘えです。ウルトラマンかドラえもんに頼る子供の考えですね。現実にはウルトラマンもドラえもんも存在しません。 (2012年02月28日 13:48)
7. 阪神淡路大震災の時に神戸でも よくこの手の事があったようです。
人件費が2倍〜3倍になる というのは 異常だ..という言い方ができるかもしれませんが
出来事と状況がそもそも異常事態なので、人件費の高騰やむなしーという一定の判断は
こういう時には必要なのではないでしょうか。
諸々を織り込んで精度よりスピードが求められる気がしますが。 (浅沼) (2012年02月28日 12:31)
8. 着々と日本の破壊が進行しているようだ。
この筋書きは誰が描いたか知らんが、決して想定外ではない。
間もなく、ホームレスの全盛時代がやってくる。
今からその準備をしておかにゃならん。
さーて、サバイバルだ!・・・
ところで、
取りあえずは、小沢に政権を任せてみようじゃないか。 (野凡天) (2012年02月28日 12:09)
9. 地方の建設業を壊滅状態に追い込んだのは、誤った財政政策で公共工事を減らし続け地方での仕事を無くしてしまった からである。したり顔した評論家たちが事あるごとに建設業者を土建屋風情と馬鹿にしたつけが回ってきただけである。1997年以来GDPを構成する公的資 産形成、すなわち公共投資を減らし続け、2010年ではピークだった1995年の半額まで削り金額自体が1980年より少なくしたのだから、地方の建設業 者が衰退したのは当然のことである。
現在のGDPに占める公共投資の金額の割合は、地震が皆無で台風も来ないフランスより少ない。インフラの老朽化すらできなくした政治の失敗は明らかだがそれを支持したマスコミや評論家の罪を問いたい。 (世話焼き爺) (2012年02月28日 11:01)
10. 500万円以下の土木工事は市町村が直接施工出来るシステムを考えるべきではないjか。さもないと何時まで経っても工事の復旧は進まないのではないか。従来のシステムで解決しようとするのでは、何時まで経っても解決しないと思います。 (堂樹野) (2012年02月27日 20:45)
11. 被災した自動車産業や電子産業の工場は、震災後半月から一月で生産を再開し、従業員は仕事に復帰している。その一 方で、震災後まもなく1年経つのに、人手不足で復旧工事が進まないという。財部さんはその理由を「援助漬けです」「義援金、保険金、補助金等々、働かずに 生活ができてしまう家庭が少なからずある。」という。
東日本大震災の被災地には、今でもボランティアの人々が様々な仕事の加勢に出かけている。被 災地の自治体へ人員を派遣している西日本の自治体も多数ある。多数の無償の労働力の援助を受ける一方で、自分たちの住空間の復旧で、かつお金がもらえる仕 事に人が集まらない。被災地は、地域社会のつながりが壊れてしまったから、自助努力の心も消えてしまったのだろうか。
私は、財部さんのブログのコ メントで、いつも、国内相手の産業は、保護、規制、談合に頼り、競争が少なくて厳しさがないと主張している。大震災の後の処置でも、いつも厳しく競争して いる輸出に関わる製造業は直ぐ復旧した。しかし地域の復旧工事は一向に進まず、予算が付いたら今度は「援助漬けで」人が集まらないという。
確かに 土木建築関係の労働環境はきついから、そこでは働きたくないと思うのだろうか。それとも、永年のお役所頼りの仕事体質で、自助努力をする習慣が薄れてし まったのだろうか。困るのは被災地の皆さん自身だが、誰かが何かをしてくれるまで動かない習慣が染み付いてしまっているように思える。
2012年1月の貿易収支は1兆5千億円の大幅赤字に転落した。今後国内相手の産業が頑張って物価を下げて製造業を助けないと、日本は外貨不足となって食糧もエネルギーも輸入できず、国民は飢えに苦しむことになる。
し かし、災害普及さえ進まぬほど、土木建築関係に頑張る力がないなら、国内産業の工夫と努力は期待薄と思わなばならず、日本の今後の見通しは誠に暗い。知恵 と工夫を競い合う活力を奪った戦後60年間の保護と規制の業界指導の政治・行政は、酷い深手を国内の各業界に負わせたようだ。 (富士 望) (2012年02月27日 17:53)
http://blog.esuteru.com/archives/5825575.html
被災地でパチンコが大流行! 折角の義援金が銀玉に…
【震災/ギャンブル】氷点下の早朝、開店前に行列40人 依存症深刻化 …被災地 .
http://livedoor.blogimg.jp/hatima/imgs/7/7/779a9c14.jpg
これは複雑
• 投稿日時:2012年2月4日12:30
• コメント数:278コメント
• カテゴリ:ニュース
• タグ: ニュースエンタメ 東日本大震災 パチンコ
268 名前: 名無しさん必死だな 投稿日:2012/02/04(土) 11:19:41.56 ID:ts4xItIH0
俺らの義援金で朝からパチンコ三昧
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120202ddm013040009000c.html
<ザ・特集>東日本大震災 被災地でパチンコ店がはやるワケ
東日本大震災の被災地で、パチンコ店がいち早く復旧し、にぎわっているという。銀玉をはじく被災者の胸の内はいかなるものなのか。“自腹″の軍資金1万円を握りしめ、被災地のホールをのぞいた。【浦松丈二】
◇「暇つぶし」大負けしても日参 正月営業は前年比大幅プラス
◇ギャンブル依存症、深刻化 息抜きと区別つかず、対策困難
宮城県石巻市の郊外。雪に覆われた街並みに、津波で1階部分が流された民家やシャッターが閉まったままの商店が点在する。津波で浸水し、約半年後に新装開店した大型パチンコ店を訪れた。平日にもかかわらず、開店前には約40人の列ができた。
「雪の日にも来てあげたんだから今日は出してくれるよね?」。この日の最低気温は氷点下5度。毛糸の帽子を深くかぶって並んでいた年配の女性が若い男性店員に念を押した。店員とは顔見知りのようだ。
「ご来店ありがとうございます」。午前9時。女性のアナウンスで店内に入る。どこに座ろうか、まごまごしていると全員がパチンコ台の前に座ってしまった。迷った末に最前列に並んでいた年配の男性の隣に座ってみた。
ゲーム開始。玉が中央の穴に入ると画面の数字が回り、三つそろえば大当たりだ。約8000円分の玉が一気に吐き出されるという。連続で大当たりすること もあるらしい。ところが、1000円で遊べたのはほんの数分間。「次こそは」と打ち続けると、わずか30分間で1万円がなくなってしまった。
我に返って店内を見渡すと300席以上ある台の8割が埋まっている。7、8人に1人が大当たりして、出玉の箱を何箱も積み上げていた。正午過ぎには、ほ ぼ満席になった。ずっと打ち続けているお年寄りの台の上にある表示を見ると「大当たり回数0回」。開店から3時間。30分1万円として推定6万円は負けて いる。娯楽は数分、その後は大バクチの世界だ。
店を出てきた客数人に声をかけた。「勝ちましたか」と聞いても、「いやあ」「まあ」とあいまいな返事ばかり。一様に暗い表情だ。来店してきた中年女性は 「負けた人は何も話さないでしょう。家族に内緒で来ている人も多いからね」と言う。「開店から並ぶ客は毎日来る人。借りてでも打ちに来る」と眉をひそめ た。
「あれから大当たり出ましたか」。午後1時すぎに店から出てきたお年寄りに声をかけた。開店時から隣に座っていたと告げるとバツの悪そうな顔になった。 「きょうはダメだったなあ。11連チャン(連続11回大当たり)した日は少し勝ったっけねえ」と話すが、時期や金額ははっきり覚えていないという。
大負けしても毎日のようにパチンコに通う理由を聞くと「震災前はあまりやってなかった。津波で息子を失い、家も流されて、ばあさんと2人で近くの仮設住 宅に来てからは知り合いもいない、やることもないから、まあ、暇つぶしだ」と横を向いた。パチンコは若いころからやっているという。
仙台市のパチンコ業界関係者は「娯楽の少ない石巻など沿岸部は、全国でもパチンコ店の多い地域。宮城県内のお正月営業は、各チェーンの1番店(営業成績 トップの店舗)なら震災前の前年同期比でも大幅プラスになっていると思う。震災の影響が残る店もあるが、今年は全体でプラスに転じるのではないか」と予想 する。
石巻市で地域に密着した被災者支援を続ける「NPO石巻復興サポートセンター」の遠藤司さん(49)は「震災後、厳しい現実から逃れるためにパチンコ店 を訪れ、深みにはまる人も多い。震災が言い訳になっている側面もあるでしょう。孤独を深めた一部の被災者がギャンブルやアルコールに依存していく悲劇が生 まれています」と話す。
長年、依存症の治療に取り組む田辺等・北海道立精神保健福祉センター所長(精神科医)によると、災害後、被災地でギャンブル依存症が増加することはよく あるという。「ギャンブル依存症やアルコール依存症、また、その傾向のある人は、被災生活が長期化すると症状の再燃や悪化のリスクが高くなる。本来、自分 が能力を発揮すべき仕事や学業、家族関係が失われ、仮初めの生活をしている情けなさや将来への不安などが長く続くことで、アルコールやギャンブルを使いた い気持ちが高まる。また、治療のために通う当事者グループへの参加が、災害によって途切れてしまうと、リスクがさらに高まるからです」と指摘する。
ギャンブル依存症とは、気分が晴れず、自尊心の失われた状態の時、賭け事に勝って刺激を受け、それが習慣化して、賭け事をやらないと気が済まない状態に なること。生活資金などを投入してしまうため、問題化し、二度とやらないと誓っても、家族に隠れてまで続けることから「否認の病気」とも呼ばれる。
どう治療するのか? 田辺所長は「まずは依存症を治療している病院や精神保健センターを訪れ、専門家に判定してもらうこと。本人と家族が依存症だと受け 入れる作業から治療が始まります」と説明する。その後は「専門家のアドバイスを受けながら、依存症患者の当事者グループに根気よく通い、生活スタイルを切 り替えていく。ギャンブルをしなければいいのでしょう、と本人が思うだけでは決して回復しない」と強調する。
被災地では「保健師やボランティアが、依存症を判定するチェックリストや相談窓口のチラシを配るほか、生活が破綻した依存症患者やその家族が頼る債務相 談窓口の司法書士らと依存症の専門家が連携していくことも有効」という。同県ではすでに司法書士のグループがギャンブル依存症の専門家を招き、学習会を開 くなど対策を始めた。
だが、被災者の心のケアに取り組む別のボランティアは「被災者と一口に言っても、生命保険や義援金を受け取った人から、仕事を失って何の補償もない人ま で懐具合はさまざまです。パチンコをしていたとしても適度な範囲なら息抜き。ボランティアの立場で、被災者のお金の使途を聞き出すことは困難です」と、難 しさを説明する。
午後7時。同じ店を再び訪れると店内は順番待ちする人まで出ていた。中学生ぐらいの女の子が、誰かを捜している。出玉の箱を5箱積み上げていた女性の所へ。短く言葉を交わすと女性が1000円札を手渡した。女の子の顔が一瞬、悲しそうにゆがんだ。
店を出た女の子に追いついて「お母さんなの?」と声をかけると、うなずいた。「1000円もらったよね?」「『隣でご飯を食べておいで』って。あそこの レストランに行くところ」「お母さんは毎日パチンコに来るの?」「『パートに行く』と出ていくのだけれど……」。最後は消え入りそうな声だった。
誰かを責めて解決することはないだろう。被災地の闇をパチンコ店の青白いネオンが寒々と照らしていた。
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