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AIJ投資顧問事件は氷山の一角 そもそも年金制度には根本的な疑問と欺瞞
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2012/2/28 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
これも小泉・竹中のデタラメ規制緩和による犯罪でこの国の経済活動の悪は際限なく、投資会社などほとんどが危険な運用で大損を出している
「企業年金2000億円が消えた」と大騒ぎになっているAIJ投資顧問事件は、世のサラリーマンに衝撃的だ。社員と企業がカネを出し合う企業年金は11年3月末で1675万人が加入し、約80兆円が運用されている。今回の事件では100社以上が被害を受け、加入者が企業年金と厚生年金の一部を受け取れない事態に発展する。
「ついに年金危機が火を噴いたか」の感じだが、怖いのは、これがAIJ一社で終わりそうにないことだ。金融庁は大慌てで、国内にある263社の投資顧問を検査するそうだが、似たような「年金消失」ケースの発覚が続出しておかしくないのである。
「AIJという投資顧問会社の転落は、容易に想像がつきます。ここ数年は、どんな大手でも資産運用が非常に厳しくなっていて、株式と国債などで手堅く安全に資産を運用して、1%の利回りが出れば上々。トントンでもよしとしなければいけない時代です。しかし、中小の投資顧問会社は顧客を引き留めるために、無理して4、5%くらいの運用実績を出そうとしてきた。それでハイリスクの金融派生商品にも手を出す。うまくいったときはいいが、一度失敗して大きな穴をあけると、損を取り戻そうとさらに大きなバクチにのめり込んでしまう。それで元手もスッカラカンになり、張るカネがなくなり、ギブアップするしかなくなる。たぶん、そんなパターンなのでしょう。ただ、これはAIJに限ったことじゃありません。リーマン・ショックやユーロ危機もあっただけに、相当な数の投資顧問会社が同じような危機に陥っているはずです」(経済評論家・吉見俊彦氏)
AIJ事件は、氷山の一角にすぎないのだ。
◆年金基金をマネーゲームに仕向けた罪
それにしても謎なのは、こんなデタラメ投資会社が今日まで存続していたことだ。野村証券OBが社長のAIJは、「10年で元本が3・5倍に」なんてあり得ない営業実績を誇り、リーマン・ショックが起きた08年でさえも7〜8%の利回りを確保したとアピールしていたという。聞いただけで“詐欺投資企業”と分からないとおかしいのだが、それに引っかかる中小の年金基金がある。この国の経済活動が乱脈の極みに達した象徴だ。
それだけに、国がチェックする体制が必要だったのだが、ヒドイことに、今回の場合、国も加担していたこと分かってきた。やっぱり、あの小泉・竹中時代の規制緩和路線が諸悪の根源なのである。
経済アナリストの菊池英博氏が言う。
「顧客から運用を一任される投資顧問業は、小泉政権の規制緩和の流れの中で、07年に認可制から登録制になり、だれでも参加できるようになった。小泉内閣の竹中金融担当大臣が、ブッシュ米国のマネーゲームに日本のカネをつぎ込むことをはやし立て、その延長線上で投資顧問業も緩和されたのです。それで雨後のタケノコのように投資顧問会社が乱立。その一方では役所は定期的な検査に手が回らず、いわば野放し状態だった。AIJも1989年の設立以来、一度も証取委の定期検査を受けたことがなかったというからア然です。老後の生活資金である企業年金を、登録しただけの名も知れない投資顧問会社に運用させて、だれもチェックしない。ウソの運用実績を説明されても、会社側も調べようもない。ズサンというかムチャクチャです。それだけに原因をつくった小泉・竹中政治は厳しく追及されて当然です。これは国家的犯罪と変わりないのです」
小泉・竹中の拝金政治のツケが、またウミとなって噴出し始めた。AIJ事件はその始まりなのだ。
◆自分の年金が役人と投資会社に食い潰される
今回の企業年金「消失」事件を見ていて考えさせられるのは、もう年金は自分で守るしかないということだ。デタラメな投資会社と国に損をさせられるくらいなら、最初から自己防衛するしかない。上乗せされた3階部分の企業年金に限った話ではない。基礎年金と厚生年金の公的部分だって、危機を通り越し、とっくに限界にきている。
デフレ低金利に悲鳴を上げて厚生年金の代行を返上するとか、基金そのものの解散が後を絶たないし、どうせ自分が老人になったときは基礎年金も満足にもらえないと保険料を納めない若者も急増している。赤字の零細企業も会社負担分が重荷で、払うに払えない。嘉悦大教授の高橋洋一氏によると、年金保険機構が徴収していない年金保険料は10兆円に達するという。
年金制度は壊れ、どんどん痩せ細っている。現役世代の負担で老人の面倒を見るという現在の賦課方式は、少子高齢化もあって完全に破綻状態だ。それで野田政権は消費増税で制度を維持しようと躍起だが、それでも間に合わない。税率10%では無理、最低でも消費税17%が必要という議論になっている。末期的とはこのことだ。年金行政に詳しいジャーナリストの北沢栄氏がこう言う。
「もはや現行の年金制度を維持するのは無理です。存続させるのなら、一体化を急ぐしかない。国民年金、厚生年金、共済年金とかバラバラにやっていないで、一つにして簡略化し、一本で運用するしかないギリギリのところにきているのです」
◆自分で貯金して老後に備えるしかない
日本年金機構に代わって、歳入庁を設立し、徴収を徹底化させることも急務だという。だが、それが官僚たちにはできない。今の制度にぶら下がって、年金資金を勝手に使い、天下り先を増やし続けてきた年金官僚にとって、この制度は食い潰してしまうまでは便利で居心地がいいからだ。
「年金資金に関して、官僚たちは“わしらのカネ”という感覚です。黙っていても、財布にカネが入ってくる。どう流用しようが、損が出ようが、責任をとる必要もない。そんな制度をわざわざ国民本位に変えようなんて気はサラサラない。だから、04年の“100年安心年金”のような幻想で国民をだますことも平気だった。待っていても、年金改悪されるだけですよ」(北沢栄氏=前出)
こうなると、ますます年金制度がバカらしくなってくる。給料から年金が天引きされる制度を許しているのは、老後の生活を考えてのことだが、シロアリのような年金官僚の食い物にされ、詐欺投資会社に使い込まれ、さらには払わない者の分まで背負わされる。おまけに消費税17%負担? アホらしくてやっていられないではないか。
それなら、もう一種の自活しかない。年金制度なんて不要。自分で貯金をして、自分の老後に備える。貯金できない者は死に物狂いで働くか、老後を放棄する。乱暴な言い方をすれば、その原則に返った方がはるかにスッキリするのだ。
歪んで壊れた年金制度により、自分で稼いだ給料を他人にかすめ取られるなんて、まっぴらゴメン――。そういう考えを持つしかない時代に突入してしまったのだ。
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