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もう背中すら見えない韓国の先頭集団 周回遅れの日本勢に巻き返しの方策はあるか
2012.02.27(月) 相場 英雄
先月、韓国を代表する大手自動車・電機メーカーの年間業績が発表された。一部の専門紙やビジネス誌での扱いは大きかったものの、日本の大手メディアでその詳細な中身を伝えたのはわずかだ。
大震災の影響や円高、タイの洪水被害と日本企業を取り巻く環境は過酷で、お家芸たる車、電機業界の業績は惨憺たるものとなった。日本企業は韓国企業にシェアを奪われ続けているが、その要因は外部の突発的な事象だけではない。
日本勢が束になっても韓国主要メーカーにかなわない
2月初旬、日本の総合電機・民生電機大手の2012年3月期の連結業績見通しが出揃った際、ある大手紙にこんな見出しが躍った。
「韓国勢の追い上げで」・・・。
冒頭で触れた通り、日本の総合電機や自動車各社は今期、突発的な外部要因に苦しめられた。それに乗じる形で、韓国や台湾、そして台頭著しい中国の新興企業が日本企業を追い込んだのは紛れもない事実だ。
この要素は他の連載コラムでも触れたのだが、改めて強調しておきたい。「韓国勢の追い上げ」というのは著しい事実誤認だ。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1202/16/news008.html
液晶パネルや半導体製造のサムスン電子を見てみよう。同社の昨年(2011年)1年間の本業の儲けを示す営業利益は16兆2000億ウォン。日本円換算で約1兆1000億円だ。
ちなみにパナソニックの2012年3月期予想(米国会計基準)は300億円だ。様々な悪条件により当初予想の1300億円の黒字から下方修正されたことを勘案しても、サムスンの利益がいかに巨額か実感できるのではないだろうか。
さらに分かりやすくしよう。サムスンの1兆1000億円という営業利益は、日本の主要な電機大手の利益を足した額よりも大きいのだ。「韓国勢の追い上げ」という見出しがいかにミスリードかご理解いただけよう。
同じ要領で現代自動車を見てみよう。同社については、売り上げに対する営業利益の割合を示す営業利益率を例に取ってみる。同社の場合、これが14%なのだ。
利幅が極めて大きい高級スポーツカーに特化している独ポルシェは約12%。小型大衆車や中型サルーンが主力の現代自動車の体質がいかに強いか、ご理解いただけるのではないだろうか。
電機と同様、営業利益率についても日本勢と比較してみよう。トヨタ自動車の今期予想は1.1%、ホンダは2.5%。劣勢な日本勢の中、唯一好調と言われた日産自動車でさえ、5.4%にとどまっている。
「グローバルな市場で見れば、日本勢は韓国主要メーカーに4周も5周も差をつけられているのがいつわりのない姿」(外資系運用会社アナリスト)なのだ。
筆者は以前、当欄で「日本から『メイド・イン・ジャパン』が消える日」というコラムを載せた。オーバースペックな日本製品の代わりに、韓国や新興国製のシェアが急激に高まりつつあることを予想した内容だった。図らずも、2年半後、日本の主要企業があっさりと抜き去られてしまったことに驚きを禁じ得ない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2121
今や日本全体がガラパゴスに
韓国勢は歴史的なウォン安を背景に輸出を伸ばし、世界的なシェアを伸ばしているだけ。そんな批判が聞こえてきそうだが、先に示した通り、数値は嘘をつかない。
「莫大な利益を迅速に新製品の研究開発費に注ぎ込み、強い企業がより強くなるのが製造業の仕組み」(外資系証券アナリスト)との声に従えば、この先、韓国勢は日本のメーカーに一層の差をつけることになる。
実際問題として、リストラに四苦八苦する日本企業に見切りをつけた技術者は後を絶たない。韓国、あるいは台湾、中国の新興企業が、高額なサラリーと充実した研究施設、スタッフを用意し、続々と日本人技術者をヘッドハンティングしているのは紛れもない事実なのだ。
先の当欄のコラム(「世界の中心にいないハイブリッド車」)で、筆者は日本のハイブリッド技術が早晩世界の潮流から取り残される旨を記した。ガラケーが海外メーカーのスマートフォンに取って代わられたように、日本の電機業界全般、あるいは自動車全般も新興勢に追い越される懸念を払拭できない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34289
当欄で何度も触れてきたが、日本メーカーは海外市場で侵蝕されたシェアのツケを、割高な国内商品価格に転嫁し、なんとか凌いできた。だが、こうした苦肉の策は、業績面での余裕がなくなるに従い、通用しなくなっている。日本のメディアが世界全体の業界図を俯瞰して伝えないうちに、日本勢の居場所はどんどん狭まっているのだ。
筆者は3年前までパナソニック製の携帯電話を4代連続で使用してきた。だが、アップルの「iPhone」を購入して以降、ガラケーはやめた。
また、最近では、11年間使用したパイオニア製のプラズマテレビが修理不能な程度まで壊れたため、韓国LG製のLED液晶に買い替えた。
読者の身近な製品で、筆者と同じような買い替えが起こっていないだろうか。日本メーカーが想定する以上に、日本企業全体の衰退、ガラパゴス化は進行している。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34593
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