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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu258.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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企業年金2000億円が消えて無くなった。投資顧問会社に資金運用を任
せることは、詐欺師に金を渡すのと同じであり、騙された企業年金が悪い。
2012年2月26日 日曜日
◆AIJ、虚偽報告繰り返す=年金資産の損失隠して営業 2月25日 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120225-00000110-jij-bus_all
約2000億円に上る顧客の年金資産の大半を消失させた「AIJ投資顧問」が、運用の失敗で損失を抱えていたにもかかわらず、顧客に高利回りを実現したと虚偽の運用報告を繰り返していたことが25日分かった。虚偽報告は数年にわたっていたもようだ。
さらにAIJは、証券取引等監視委員会が1月に開始した立ち入り検査の直前まで、損失を隠したまま年金基金などに営業を続けていたという。
監視委の調べでは、顧客から運用を一任された資金は租税回避地の英領ケイマン諸島の複数のファンドにいったん集約。その後、香港などに振り向けていたとみられる。監視委は海外の金融当局に資料提供を求めるなど、国境を越えた不透明な資金の流れの解明を進める。
◆2012年02月25日 AIJ投資顧問の闇 (号外版) 闇株新聞
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-383.html
野村証券の個人営業部門で実績を上げていた浅川和彦氏は、京都支店営業次席、熊本支店長を経て、1994年頃から外資系証券で主に日本株の営業をしていました。
因みにその時の上司(東京支店長)が、つい先日オリンパス事件で指南役として逮捕された中川昭夫氏ですが、中川氏はAIJ投資顧問とは何の関係もないはずです。
浅川氏が野村証券の支店長を捨て、一介の営業担当として外資系証券に入った事情は「個人情報」なので書きませんが、一部報道されている「米国帰り」とか「運用のプロ」というのは完全な誤りで、個人営業一筋で実績を上げていた「優秀な」営業マンでした。
その浅川氏が2004年ころからAIJ投資顧問で年金運用を始めたのですが、AIJの設立が1989年となっているため、そのころに第三者から「取得した」ようです。また「親分肌」の浅川氏は、同じ野村証券出身者で職の無い先輩などを雇い、その中にかつて野村証券の総会屋利益供与事件で当時の酒巻社長に連座したM氏(元・野村証券常務)もいます。
また年金運用の「営業」を担当していたと言われるアイティーエム証券(同じビルに居ます)は、山一證券の国際部門出身の西村秀昭氏が1998年に設立したもので、浅川氏がAIJ投資顧問を始める以前から営業活動をしていました。多分そのころから浅川氏の「盟友」で、共同して業容を拡大していったのでしょう。
さて本件を正しく理解するために、どうしても日本の年金運用の仕組みを理解しておかなければならないので、少し我慢して読んでください。
日本の年金の仕組みは、基礎年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)までが公的年金で年金積立金管理運用独立行政法人が民間に運用を委託しており運用額が109兆円です。それに加えて企業年金(3階部分)が73兆円あり、企業が独自に厚生年金基金(595あります)を設立してこれも外部に運用を委託しています。
その企業年金(3階部分)の運用は、かつては信託銀行と生保だけだったのですが、1990年の金融自由化と1997年の規制緩和で投資顧問会社にも「解禁」となり、現在は運用資金の約3割が投資顧問会社へ委託されています。
また投資顧問会社の方も規制緩和が進み、2007年に「認可制」から「登録制」となり(つまり希望すれば誰でもできる)、「登録」してからある程度実績を積めば「投資一任業者」に指定されて「年金運用」も受託できるようになります。現在は263社の「投資一任業者」が「年金運用」をしています。
さらに正確に言いますと、企業年金(3階部分)の運用をどの運用会社にどれだけ委託するかは企業側(つまり厚生年金基金側)が決めます。従ってどうしても過去の「運用成績」が良いところに委託する傾向があります。企業年金は加入者に利回りを約束していることが多く、予定利回り(いまだに年5.5%のとこもあります)を下回れば企業側が「補填」しなければならないからです。
つまりAIJ投資顧問のような事件が起こるのは、この日本の年金運用と金融市場の構造と無関係ではないのです。だから金融庁も慌てて263社の「投資一任業者」全社を検査すると発表したのです。
さて投資顧問会社は年1回、活動状況を財務局に報告する「事業報告書」を提出するのですが、ただ「提出」するだけでチェックは受けません。一部報道ではこの「事業報告書」に虚偽があったと書かれていますが、これも正確に言うと実際の運用成果などは委託している厚生年金基金に直接報告するもので、財務局への「事業報告書」には顧客数とか運用額とか役職員数などを記載するだけです。確かにこの「運用額」は虚偽を報告していたことになります。
もちろん投資顧問会社は金融庁(実際は証券取引等監視委員会)の「検査」の対象なのですが、年に15社くらいのようで、AIJ投資顧問も設立以来一度も検査を受けていなかったようです。今回AIJに検査に入っている証券取引等監視委員会が検察庁に告発できるのはこの「運用額の虚偽報告」だと思います(運用による損失は処罰の対象ではありません)。
今回はAIJ投資顧問の「あまりに高い運用利回り」を疑った同業者の「タレこみ」だったようです。
それではAIJ投資顧問が財務局に提出している2010年の「事業報告書」を見てみますと(AIJ投資顧問のホームページから見られます)、明らかなヒントがあります。
「投資一任契約の業務の状況」の項に、顧客数や運用総額を報告する欄の下に但し書きがあり「国内の運用資産総額のほとんどは、当社と投資一任契約を締結する海外管理会社が設定する外国籍私募投資信託を対象としています」とあります。
つまり、各厚生年金基金へは「海外私募投信」を買ったことだけが報告され、あくまでも第三者の(実態は同じはずですが)海外管理会社が設定するケイマン籍の「海外私募投信」の「運用」がブラックボックスになっていただけです。海外のブラックボックスを利用した「極めて単純な損失隠し」であったことは「オリンパス事件」と同じです。
ただオリンパス事件との違いは、投資顧問会社という金融庁の直接管理下にある会社の「不正」であることと、そうでなくても微妙な時期の「年金問題」に激震を走らせてしまったことです。
だから金融庁も「驚くべき素早さ」で業務停止命令を出し、報道関係にも「進んで」情報提供をしているようで各紙の報道も核心を突いたものが多くなっています。今後、最も注目すべき点は、金融庁がどう「責任逃れ」をするのかと、年金問題を巡ってどう「政治の駆け引き材料」に使われるのかです。
AIJ投資顧問のほうは、浅川氏もM氏も「運用のプロ」とは言い難く、ただ日経平均などのオプションを売却してプレミアを稼ぐ「驚くほど単純かつ危険な」運用手法だったようです。そして多分2004年の「運用開始」直後から損失が出ていたものを隠して、浅川氏一流の「営業力」で運用資産を積み上げる自転車操業を繰り返していたようです。つまり事件そのものは「驚くほど単純」で、今出ている名前以外の関与者はいないと思われます。つまりオリンパス事件のように「多数の有象無象」が巨額収益を山分けした構図ではありません。
運用の素人が闇雲にオプションを売却してプレミアを稼ぐ単純な「運用」を繰り返し、2007〜8年の世界金融危機や昨年3月の東日本大震災後の急落などで「巨額損失」が積みあがったのでしょう。
浅川氏の動機はただ1つで運用の「成功報酬」だったはずです。仮に現在の「運用資金」が2000億円で、2004年以降の「運用実績」が累計で100%だったとすると、途中で獲得した資金も多いとしても500億円くらいが「運用で増えた分」ということになり、仮に成功報酬が20%だとしても100億円が123社と言われる厚生年金基金から支払われていたことになります。
噂される「反社会勢力」への資金提供も無いと思います。しかし、元タレントの運営する「リゾート」へ出資していたようで、年金運用に相応しくない「運用」もあるようです。
やや長くなってしまいましたが、オリンパス事件に類似しているものの「極めて単純」な事件であるため、本誌で何回も取り上げることはないと思います。
本日は月曜日(午前零時)にアップされるものを前倒しで書きました。月曜日(午前零時)には、予想外の進展がない限り追加でのアップはありません。
(私のコメント)
年金などの資金運用は、資金額が巨額であるだけに運用が難しく、どうしても年金担当者は「専門家と称する」投資顧問会社に運用委託することになります。「株式日記」ではアメリカの投資銀行やヘッジファンドを批判しえ来ましたが、リーマンショックでゴールドマンサックスなどの「投資銀行」という形態は消えてなくなりました。いずれアメリカ政府はヘッジファンドも規制し始めることでしょう。
日本の証券会社にしても「特金」というシステムで、企業から資金運用していましたが、バブル崩壊で多くの証券会社が潰れて現在は見る影もありません。経済状況が好調なときは資金運用も何とかうまく行きますが、バブル崩壊で金融市場がおかしくなると資金運用はほとんどが逝かれてしまう。資金運用といえば聞こえがいいが、人のカネで博打を打つようなものであり、それで儲かっている時は多くの手数料を手に入れて、失敗すれば投資顧問会社を解散すればいいだけの話だ。
私も証券会社の投資信託などを買ってきましたが、金融市場が順調な時は6%前後の配当しか付かないのにバブルが崩壊すると投資信託は半値になってしまった。株式投信でも年に株式平均が20%も30%も値上がりしているのに配当は6%程度です。差額は証券会社の儲けになってしまったのでしょう。そして株が暴落すれば損失は顧客が負う事になります。
ニュースによれば大半が中小企業の10億円未満の年金運用資金だったようですが、それらの年金は支払い不能になるのだろう。まとまった資金が手元にあれば運用して金利収入が得たいと思うのは当然なのでしょうが、雨後の竹の子のように出来た投資顧問会社にはいい加減な会社もある。規制緩和で認めた金融庁も悪いのですが、「株式日記」の警告を無視したからだ。
デリバティブとかCDSとかいった金融商品も正体が不明であり、CDSの仕組みもリーマンショックの時は機能せず結局は国がAIGを救済して混乱を防いだ。ギリシャをデフォルトできないのもCDSが絡んでいるからであり、このような金融商品を認めたアメリカ政府に責任がある。しかし結局は国民の税金で穴埋めがされるのであり、国民は訳の分からない金融商品を認めたり、投資顧問会社を認めるべきではないだろう。金融立国を目指したアメリカも規制を強化する方向にある。
私は株式投資をやっていた頃は、証券会社の営業マンと話を良くしたが、証券会社の営業マンは株のことを良く知らない。企業内容や業績予想や新技術と言った事は業界新聞の受け売りであり、投資の種は専門分野の雑誌や本などを読まないとあるものではない。あるいは街を歩いていて新しい流行に敏感に気がつかなければ投資は成功しない。
投資顧問会社の運用実績も粉飾であり、実際には海外のケイマン諸島などのタックスヘイブンにあるヘッジファンドに丸投げされてそれがどこかに消えてしまったという話だ。オリンパスの話と良く似ていますが、タックスヘイブンにある会社はペーパーカンパニーで国税庁も調査が及ばない。消えた2000億円も何に投資されてどうなっているのかも分からないだろう。このようなタックスヘイブンのファンドが使われるのは何に投資されたのかをわからなくする為であり、正真正銘の詐欺だ。
金融庁がなぜこのような投資顧問会社を認可するようになったかは、規制緩和の流れでありアメリカの金融業界からの圧力によるものだ。しかし金融立国の本家のアメリカがリーマンショックで金融業界は致命的な打撃を追ってアメリカそのものが破綻する危険性がでてきた。その前にヨーロッパの金融が破綻するのでしょうが、「金融立国」という戦略そのものが間違っている。金融と詐欺は紙一重の世界であり、間違えれば国が滅びる。
日本経済が20年もの長きに低迷しているのも、金融立国化に失敗した為であり、アメリカやヨーロッパは日本に20年遅れて追随している。投資の失敗でそれを穴埋めするには長い期間をかけて返済していくが、デフォルトするしかない。徳川幕府も何度も「徳政令」というデフォルトをしたが結局は滅びてしまった。いったんデフォルトすれば誰も金を貸してくれなくなり経済は停滞してしまう。
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