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拡大するECBの融資先
2012.02.21(火)2月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
銀行とは何か? この問いの答えにはどうやら、フォルクスワーゲン(VW)やPSAプジョー・シトロエンも含まれるようだ。これらの自動車メーカーは、欧州中央銀行(ECB)が実施する太っ腹な長期リファイナンスオペ(LTRO)からの借り入れを検討しているようなのだ。
「最後の貸し手」によるオペとしては、やり過ぎではないのか? いや、そんなことは全くない。このオペの根本的な目的は、銀行を支えるだけではなく、景気を回復させることにある。それに手を貸してくれるのであれば、借り手が増えることは願ってもないことだ。
低利資金を景気回復につなげる方法
欧州4か国で株の空売り禁止へ
VWなどがECBからの借り入れを検討している模様〔AFPBB News〕
ECBからは既に、500を超える数の銀行が計4890億ユーロもの資金を年利1%で借りている。資金調達が容易になったことは景況感に好影響を及ぼしており、ユーロ圏全体で必要な調整を進める時間も稼いでくれた。
枠がさらに設けられるにつれ、このような借り入れはもっと行われていくだろう。
原則的には、このように有利な条件で公的資金を借りられるのは銀行だけだ。実際、銀行業が魅力的な、しかし著しく危険なビジネスであるのはこのような補助金を利用できるためでもある。悲しいかな、危機においては、中央銀行とてなりふり構ってはいられないのだ。
また、金融機関でない事業会社は中央銀行から融資を受けられないのが普通だが、傘下の銀行子会社は受けられる。こうした銀行子会社が銀行機能を果たしていることは明らかだ。親会社の造る自動車を購入したい顧客に、その購入資金を融資しているからだ。
ECBから低利で資金を借りられれば、その分だけ利益の上がる条件で融資を行うことができ、融資の量も増やせる。これこそ、中央銀行が期待しているはずの効果にほかならない。銀行子会社をつくるにはどうすればいいのかとほかの事業会社が考え始めても、驚くには当たらないだろう。
補助金付きの金融エンジニアリングが広がっていくことの危うさは、容易に見て取れる。しかしユーロ圏が生き残るつもりであるのなら、圏内の銀行は資金を調達できなければならないし、ユーロ圏経済自体も成長しなければならない。
特に重要なのは、中核国の最終需要がもっと盛り上がることだ。そうした需要の拡大がなければ、比較的弱い国々の調整問題を解決することはできない。VWなどによるECBからの借り入れは、この解決に多少貢献する可能性がある(できることなら、住宅建設ブームが起こった方がよいのだろうが)。
EFSFに銀行免許を与えろ
銀行と名の付くものであればどこに貸しても受け入れられるのに、政府への貸し付けが忌み嫌われるのはなぜなのか、という謎は残る。だが幸いなことに、ユーロ圏には欧州金融安定機関(EFSF)という一種の中間施設がある。
まだ利用されていない最もうまいやり方は、世界各地でECBの融資を宣伝するのでなく、EFSFに銀行免許を与えてECBから資金を大量に借りられるようにすることだろう。そうすれば、ECBはピストルをパンパン撃たなくても済むようになる。大きなバズーカ砲を手に入れることになるからだ。
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