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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34577
ユーロ圏の中央銀行と損失というタブー 日銀の悲劇を思い出させる展開
2012.02.20(月)
Financial Times:2月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
今から15年前、あまり知られていない悲劇が日銀を襲った。1990年代半ば、日本の銀行危機が初期段階だった頃、日銀の当局者たちは、問題を取り繕い、時間を稼ごうと必死になって、経営不振の金融会社を支えるために中央銀行自身の資金をいくらか使うことにした。
だが、その会社は倒産。投じた資金は無駄になり、日銀のバランスシートに戦後初めて穴が開いた。責任者だった日銀幹部は、慙愧の念に苛まれて自殺した。この一件は、各国中央銀行の指導者層の集団心理に、今なおうずく傷跡を残した。
損失を認めたがらない中銀
日銀、追加緩和策を決定 新型オペ30兆円に拡大
日銀を襲った悲劇は、各国中央銀行の上層部の心理に傷跡を残した〔AFPBB News〕
海外では、この話を知る人はほとんどいない。だが、ユーロ圏のあちこちで政治闘争が激化する中、筆者の頭にふとこの悲劇が浮かんだ。
ある意味では、15年前に日銀で起きたことは完全に特異な事件だった。ありがたいことに、日本のような極端な恥の文化を共有する国は、ほかにはほとんどない。
だが、別の意味では、東京で起きたこの話は、今なお繰り広げられているもっと大きな政策テーマを映している。
というのも、日本は、中央銀行が損失を確定するのを嫌がる唯一の国でもなければ、損失計上への恐れが問題を取り繕う動機を生み出し続けている唯一の場所でもないからだ。
それどころか、ユーロ圏を見ると、同じようなムード音楽が再び流れている。そして、それが、日本と同じような活力を失わせる結果を生み出している(幸い、日本の場合ほど悲劇的な結果ではないが)。
利益を出すのが中銀の役目ではないが・・・
狭い経済的観点から見ると、中央銀行の官僚たちがバランスシート上の損失を恐れる理由は何もない。何しろ、中央銀行は金融システムを支えるために存在しているのであって、利益の動機によって動かされているわけではない。
欧州中央銀行(ECB)や日銀、米連邦準備理事会(FRB)といった機関はいつでもマネーを創造できるため、「損失」は、もっぱら会計上の問題だ。
この点は、スイス国立銀行(SNB)のトーマス・ジョルダン暫定総裁が力説している。同氏は最近、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)とのインタビューに応じ、スイスの中央銀行がスイスフランを安値に誘導する大胆な介入によって損失を被った結果、一時的に「債務超過」に陥ったとしても、慌てる必要はないと主張した。
仮にそうした事態が起きても、中央銀行は、通常の業務によって資本のバッファーを簡単に再構築できると説明した。中央銀行は、赤字の中でも「倒産する」ことはないというわけだ。
だが、ジョルダン氏の発言は注目に値する。まさに、その発言が正直さという点で非常に珍しいものだからだ。
西側諸国の他の中央銀行は過去数年間、今までにない形の量的緩和に取り組んできたにもかかわらず、有権者の前でこの問題を議論するのを何とか避けようとしてきた。しかもECBの場合は、保有するソブリン債の評価損を避けようと、首脳陣が奮闘してきた。
ギリシャ国債での損失負担を頑なに拒むECB
ユーロ圏、ギリシャ国債50%棒引きで合意 包括案まとまる
ギリシャ国債を保有する民間債権者が自発的な損失負担を迫られているのに、ECBは強制的な損失負担を回避できることになった〔AFPBB News〕
保有するギリシャ国債のポートフォリオ(額面は約550億ユーロと推定されているが、ECBは約400億ドルで購入したと見られている)で強制的な損失が発生するのを防ぐために考案された、ギリシャ政府との最新の取り決めを見てみるといい。
ECBの当局者たちは、こうした姿勢を取る理由を、ヘアカット(債務減免)が投資家のパニックを誘発するのではないかと恐れているためだと説明している。中には、ヘアカットを受け入れることは厳密には違法である可能性があると主張する人もいる。
ECBが多大な損失を被れば、ECBはユーロ圏の各国政府に資金を無心せざるを得なくなり、それが「マネタリー・ファイナンシング」、つまり各国政府に対する中央銀行の資金供給を禁止した欧州連合(EU)の法律に違反するかもしれないからだ。
だが、こうした法律上の専門的事項の裏では、感情――あるいは官僚的な本能――も働いている。
ユーロ圏の多くの中央銀行、特にドイツ系の中央銀行にとっては、中央銀行が損をするという考えが、恥ずべきこととは言わないまでも、ほとんどタブーになっているようだ。損失は、中央銀行を信頼できる存在にしているはずのものをすべて損ねてしまう、というのだ。
もしかすると、これも無理からぬことかもしれない。結局のところ、中央銀行に対する信頼は壊れやすいこともあるからだ。
だが、こうした姿勢が招く実際的な結果は、大きく活力を削ぐものになっている。1つには、自発的なヘアカットに対するECBの抵抗が、ギリシャの債務再編で民間の債権者に自発的なヘアカットを受け入れるよう説得するのを難しくしている。
それはまた、ギリシャ国債の清算価格を評価したり、解決に向けて動いたりすることも難しくしている。
実際、ニューヨークの経済学者デビッド・ベイム氏が指摘するように、ECBの行動パターンは、中南米の債務危機の際に米国の銀行が見せた態度と奇妙なほどよく似ている*1。ECBは再三再四、損失処理の痛みを覆い隠すことを目指して(あるいは痛みが消えてなくなることを期待して)、時間稼ぎを優先し、損失を表面化させるのを避けてきた。
損失はいくら隠しても消えない
こうした姿勢は変わりつつあるのかもしれない。ここ何週間か、当局者たちは、全体的な合意成立を手助けするために、国債から得る将来の利益を放棄するといった方法で、形ばかりの損失を受け入れる可能性があることを示唆してきた。
だが、保有するギリシャ国債を、損失負担を強制するギリシャ政府の法的手段から免除される新発国債と交換するというECBの最新の動きは、本当の打撃を被るのを避ける姿勢が今も存在していることを示している。
これはとても残念なことだ。損失を隠しても、それを消し去ることにはならない。もう1度、日本を見てみるといい。
*1=Can the Euro be Saved?; David Beim, Columbia Business School, October 2011
By Gillian Tett
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K4FA20120220
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