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【もう経済復活は無理なのか】緊急インタビュー 森永卓郎(独協大学 経済学部教授)(上)
http://gendai.net/articles/view/syakai/135224
2012年2月20日 掲載 日刊ゲンダイ
白川総裁の責任が明記されていない「インフレ目標」は絵に描いたモチ
<世間の批判かわすポーズ>
日銀の金融緩和策は信じていいものなのか。貧乏神のような白川総裁の顔をみると、「どうせポーズだけのウソだろう」と言いたくなってくる。これだけ悪質なデフレが放置された日本で、急に「1%インフレ目標」みたいに言われたって信じられないのだが、森永氏も「発表を真に受けてはいけません」と警告。日銀の大罪から語り始めた。
「日銀は、2008年のリーマン・ショック以降、かたくなに金融緩和に否定的な姿勢を取り続けました。一方、世界の主要中央銀行はリーマン・ショック後、金融緩和政策を取って市場に資金をどんどん増やしてお金の流れをつくりました。その結果、景気回復のテコ入れができたのです。金融緩和策が世界の潮流である時、日本も同じ政策を取らなければならなかった。足並みをそろえていれば、これほどの深刻な経済不況を招かずに済んだはずです。先進国の中でインフレ目標を導入しなかった日銀は、結局、デフレ経済を維持し続けたのです。そのために、より深刻なデフレと超円高を招き、輸出産業も国内産業もガタガタになって、日本はいまや瀕死の状態にあります。こうした惨状の責任は、“デフレ目標”を継続している日銀にあるのです。しかし、悪いことをしてきた、政策が間違っていたという意識はない。そこが問題なのです」
実際、毎月の通貨供給量が増えたのは、昨年の東日本大震災後の3月、4月だけ。その後、供給量は減り続けている。それを考えれば、景気への危機感はゼロ、日銀はハナからデフレ政策を放棄する気などないことがわかる。やっぱり、「インフレ目標」は世間の批判をかわすためのポーズにすぎないのか。
「日銀は当面、消費者物価指数の前年比上昇率で『1%をめどとする』としている。要は目標としているだけで、実現すると国民に約束しているわけではありませんし、失敗したときの責任をどう取るか、たとえば白川総裁が辞任するといったことに言及していません。米国がインフレ目標を導入したとき、物価の目標数字を明確に決めた上で、達成するまで金融緩和を続けるとした。物価目標が未達成の場合、米国政府が中央銀行にペナルティーを与えることも明記しています。つまり米FRB議長は、2%目標を達成できなければ、責任を取らされる。これが世界の常識です。しかし、日銀の白川総裁にはそれがない。責任に全く言及していません。そんな無責任な“物価安定のめど”など、絵に描いた餅と言わざるを得ないのです」
では、日本でデフレ退治は無理なのか。そう聞いたら、森永さんはニッコリ笑った。
「デフレ対策には何が必要なのか。本当の効果があるのは何か。それは明日話します」
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