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株式日記と経済展望
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デフレの克服は不可能で日米間の実質金利差は縮まる見通しが立たない。
超円高は今後も続くだろうが、その元凶は日銀にある 田村秀男
2012年2月15日 水曜日
実質短期金利がマイナスのアメリカと、プラス金利の日本では円高は当たり前。
◆黒を白と言いくるめる白川日銀総裁 2月10日 田村秀男
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/
6日午前の参院予算委員会に参考人として出席した白川方明日銀総裁の答弁内容にあきれた。いかにも気弱そうな顔つきで平気で「黒を白」と言い抜ける。
白川氏は「実質ゼロ金利」政策を実行していると弁明し、もうひとつ、「米連邦準備制度理事会(FRB)が日銀政策に近づいた」と強弁する。国会の場が日銀総裁の言いたい放題なのは、何ともやりきれない。円高・デフレ基調を断ち切るうえで、日銀の金融政策ほど重要な政策はないというのに、である。
実質金利とは、名目金利からインフレ率を差し引いた金利を差すのが経済学上の常識である。
ここでグラフを見よう。リーマン・ショック後の日米の中央銀行が操作する短期市場金利から消費者物価前年比上昇率を差し引いた実質金利推移である。日本の場合、ゼロ水準になるのは瞬間的で、ゼロになれば日銀はあわててプラス水準に戻す。日銀の政策は「実質ゼロ」ではなく、「実質プラス」金利政策なのである。
対照的にFRBは2009年11月以降、実質マイナス金利に徹し、水面下でも少しでも実質金利が上方に動けば、ただちに実質金利を下方に押し下げている。米国も建前上は「ゼロ」金利政策なのだが、実際には実質「マイナス金利」をとっているのである。
日米間の実質金利差は、昨年3月の東日本大震災以降3%を超えるほど広がり、大震災以来の超円高をもたらす最大の要因といえる。
実質金利が高い通貨建ての金融資産は、実質金利の低い通貨建ての金融資産より値打ちがある。だから、円と円建ての金融資産、特に日本国債が買われ、円高を引き起こす。超円高是正のためには、米国並みに実質金利を引き下げる意図を日銀が鮮明にしなければならない。
経済、とくに為替や金融市場というものは、市場参加者の将来予測(期待)によって決まる。中央銀行はそんな市場の「期待」に働き掛ける政策をとる。それが、バーナンキ議長がインフレ率2%を長期的な目標とし、それに沿った金融政策を展開することを明示した意味である。
市場は、FRBが当面は実質マイナス金利政策を続けるには「量的緩和政策に踏み切る可能性もある」と反応するわけだ。
日銀のほうは、「中長期的な物価安定の理解」という意味不明な日銀内規を持ち出し、「FRBが真似した」とぬけぬけと言い放つ。日銀内部の単なる「理解」をFRBが国内外に向かって宣言した「ゴール」(目標)と同列視するのは、とてもまともな神経で言えるものではない。「物価安定」とは消費者物価上昇率が1%程度で、それが展望できるまで実質ゼロ金利政策を継続するというが、現実には実質プラス金利政策である。
デフレの克服は不可能で日米間の実質金利差は縮まる見通しが立たない。超円高は今後も続くだろうが、その元凶は日銀にある。(産経新聞特別記者・田村秀男)
◆日銀:インフレ目標1% デフレ脱却へ強い決意 2月14日 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/biz/news/20120215k0000m020068000c.html
日銀は14日の金融政策決定会合で、金融政策で目指す物価水準となる「中長期的な物価安定のめど(Price Stability Goal)」を新設、当面は消費者物価上昇率1%を目指す方針を全会一致で決めた。従来は消極的だった「インフレ目標」を事実上採用、資産買い入れ基金を10兆円拡大し65兆円程度とする追加緩和も決め、物価下落の継続が経済を圧迫するデフレからの脱却に強い決意を示した。白川方明総裁は会合後の記者会見で「どうすれば、中央銀行の責任を果たせるかを考えた」と説明した。
日銀は従来、デフレ脱却を展望する物価水準について、各政策委員が考える望ましい物価上昇率を集計した「物価安定の理解」を公表。「2%以下のプラス領域で、中心は1%程度」と説明してきたが、市場では「数値は目標か、単なる目安か。分かりにくい」と批判があり、政府・与党内では「インフレ目標」の採用を求める声も根強かったが、日銀は消極的だった。
インフレ目標は元来、物価高騰が国民生活を苦しめる状況で、中央銀行が金融引き締めなどで物価を抑えるための手段として使われてきた。実質ゼロ金利状況もあり、日銀は「インフレ目標を採用しても物価上昇効果は期待できない」(幹部)と主張。白川総裁は講演で「物価上昇率を過度に重視した金融政策は逆に経済の安定を損なう」としてきた。
しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が1月25日、長期的な物価上昇率の目標を2%とする「インフレ目標」導入を決定。実質ゼロ金利を「少なくとも14年終盤」まで続ける方針を示すと、状況は一変した。(後略)
(私のコメント)
日銀がようやく1%のインフレターゲットを明確にしましたが、インフレ率がマイナスではゼロ金利でも実質金利はプラスになってしまう。冒頭のグラフを見れば分かるようにアメリカは実質金利がマイナスになっているのに、日本は実質金利がプラスで終始している。だから同じゼロ金利政策でも実質金利を比べれば違いは歴然としている。
金融の素人にはこのような数字は理解不能なのでしょうが、金融機関に働いた人なら分かるはずだ。ゼロ金利でも物価がどんどん下がるマイナスインフレなら、現金や国債で持っていたほうが得であり誰も金を借りようとはせず、現金や国債を金庫にしまっておいたほうが得になる。アメリカではゼロ金利でもプラスインフレだから金を借りて投資したほうが得だ。
デフレ経済なると物価や金利のことが分かりにくくなりますが、物価が下がると名目金利がゼロでも実質プラス金利になる。だから経済を正常に戻す為には2%〜4%程度のインフレにする必要がありますが、その為には金融を大幅に緩和しなければならない。大幅に金融緩和すれば円安になり株高になるう。アメリカのFRBはずっとこのようにコントロールしてきた。
日本の財務省や日銀は不況が大好きであり、金融の引き締めが大好きだ。1000兆円もの国債残高を持っていると金利の高騰は脅威であり避けなければなりません。だから意図的に増税などを言い出して不況心理を煽る。そうすれば確実に金利が下がりデフレになる。政府日銀の金融政策が効くのは実質金利がマイナスでなければならない。
高度成長期はずっと実質金利がマイナスであり、名目金利よりも物価のほうが高かった。だから企業の個人も金を借りて投資してきた。ところが日銀はずっと実質金利をプラスにしてきたから銀行の借りては減り現預金だけは積みあがる。これは日銀の政策としては失格なのですが、日本の経済学者やエコノミストはなかなかこの事を指摘しない。
日銀は速水総裁の時からゼロ金利を解除したがっていましたが、金融を引き締めてマイナスインフレにしていてはゼロ金利解除しても、失敗してまたゼロ金利に戻ってしまった。ゼロ金利を解除するには大幅な金融緩和してプラスインフレにして円安にしなければなりません。日銀官僚はこのような仕組みが分からないから金融を引き締めながらゼロ金利を解除しようとした。
景気が良くなれば嫌でもゼロ金利は解除されるのですが、財務省や日銀は不景気が大好きだから増税を先行させようとしているのだろうか。デフレの真っ最中に消費税増税を言うのはばかげていることは誰もがわかることですが、財務省の官僚はそれが分からない。デフレを克服するには大幅な金融緩和が必要だ。しかし金融を緩和しても使う人がいなければ何もならない。
得に高齢者は将来不安で金を溜め込むばかりで使おうとはしませんが、だからオレオレ詐欺などに引っかかる。数千万円も騙し取られた高齢者がいましたが、高齢者もインフレが大嫌いでデフレが大好きだ。年金もデフレのほうが有利だからインフレに対しては警戒する。しかし現金はあの世には持っていけないのだから使い切ったほうが得なのですが、200歳まで生きるつもりなのだろうか?
引き篭もりやニートが150万人もいるのは、親の世代が年金や預貯金が沢山あるから息子や娘が引き篭もっても生活には困らないからですが、昔の親は年金も預貯金もなかったから引き篭もりは発生のしようがなかった。家にごろごろしていたら叩き出された。デフレ経済はこのように引き篭もりも生み出し国益にもマイナスだ。
財政再建も景気回復がなければ実現しませんが、日銀がデフレ政策で実質プラス金利だったから借り手がいなくて政府が借金して金を遣わなければならなかった。これは非常手段ですが20年間もそれが続いている。今回ようやく日銀が1%のインフレターゲットでゼロ金利を維持できれば実質1%マイナス金利になりデフレ脱却の始まりとなるだろう。
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