http://www.asyura2.com/12/genpatu29/msg/898.html
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mainau氏が、エートス活動の実態を、企業ロビー活動の手の一種で、保健衛生上の「鍵となる嘘」をついていると暴くバーゼル大学教授のフェルネックス氏の言論を紹介してくれていたので、現在、福島で活動が開始されているエートスでの言論と対比してみる。それにより、エートスが支援しているのは、生活者にとって都合の悪い、耳の痛い、科学的認識を除外することであるとよくわかる。つまり、エートスは福島を「脱医学化」しようとしている。タバコの害を否定するロビー活動は、WHOの保健衛生活動に対抗して行われたが、長寿命放射性物質による内部被爆、多臓器障害については、WHOは責任を放棄しているので、より深刻で、あまりにも無防備である。
医学というのは、臓器、細胞、分子といった、「生活者の視点」から徐々に離れた実体を観察し、制御することで、病気を理解し、予防してきた。それが、近代西洋医学技術の進歩の歴史である。糖尿病、も血糖やインスリンといった、検査をして数値化しなくてはわからない「生活者の経験的直観」からはかけ離れた実体をみつけ、それをコントロールすることで、治療や予防が可能となってきた。それを「よくわからない科学者の言うこと」として却下し、生活者の視点で、目の前のおいしいものを、その時の食欲と直観だけで、適当に食べてゆくというだけでは、糖尿病は進行してゆくだけであろう。これと同じように、「生活者の直観」からは程遠い、内部被曝量を測定、管理してゆかなければ、心筋障害、肝障害、白内障、免疫機能低下、性機能障害などの、多臓器障害を、軽減したり、避けることは難しくなる。エートスは、それを「生活者の直観と自主判断」で受け入れる雰囲気を作ろうとしている。ただし、居住するかどうかの判断主体には、最も害をうけるであろう子供は含まれていない。
チェルノブイリが生んだ「エートス」との出会い 安東量子
http://synodos.livedoor.biz/archives/1950867.html
1976年生まれ。福島県いわき市の山の方在住。職業は植木屋(自営)。仕事より本を読んだり文章を書く方が好き。ICRP111 絶賛普及活動中。(Twitterの紹介より)
今まで原発事故後1年間暮らしてきて思うのは、これは私の経験的な直観なんですが、案外人間というのは切実な状況に置かれたら、真剣に考えて合理的な判断を下すものなんですよ。そういう意味でも、最終的にリスクを負うのはそこの住民ですし、福島の今後を決定するのは住民だと思っています。私たちが福島のエートスという活動でしようとしているのは、それを具体化する仕組みを作ることなんですね。
その場合、「留まらなければいけない」とか「留まるべきだ」とはまったく思いません。ただ、選択肢の一つとしてそこでの暮らし方を提示したいと思っています。長期的には放射線防護をそこまで意識せずに、生活と共に自然にある形がいいと思っています。これはジャック・ロシャールさんが言われていたことなんですが、「家の周りは掃除するでしょう? 身体が汚れたら洗うでしょう? 実用的放射線防護ってのはそういうことなんだよ」と、そういうふうになればいいな、と思っています。
これは、オルマニーのお母さんたちが作った「放射線のものさし」です。お母さんたちが自分で作っているものですね。ここの線量は1.0μSv/hのはずなんですが、お母さんたちがこの基準に基づいて、「この場所は気にしない」「この場所はちょっと時間に気をつける」「極力近づかない」という3パターンに分けているんです。自分たちでそういう対処方法を決めたんですね。これだけでかなり違うと思うんですよね。
だから、放射線をどういうふうに考えるかというのは、自分たちで「放射線のものさし」を作ることが重要だということだと思うんですね。Bq、Gy、Svで示される数値はリスクの客観的な提示であって、そういうものを提示することは科学にもできるんです。しかし、その数値で示された事態に対してどれだけのコストをかけるか、何をやるかというのは、科学的な判断ではなく社会的な判断になってくるんですね。それをどう判断するかということには、住民の生活もかかっているし、社会への影響もあります。その部分の判断は、自分なりの放射線のものさしを作って、それに基づいて自分たちで考えていくしかありません。ものさしは当事者である住民が握るべきなんです。
******原子力ロビーが犠牲者に襲いかかる時
<エトス・プロジェクト>の実態/フェルネックスの証言 <鍵となる嘘> いかにチェルノブイリに刻まれた記憶を消し去るのか
http://www.asyura2.com/12/genpatu29/msg/884.html
ミッシェル・フェルネックス(バーゼル大学医学部名誉教授)
2002年2月22日
核種の負荷は住民全体に増加しているのである。ネステレンコは、首都ミンスクにおいても、現在、体重一キロあたりのセシウム137が50Bq以上の数値で測定され、10年前にはなかったことだと警告を発する。
この事実を覆い隠そうとする原子力の推進者たちは、<測定計器を壊さなければならない>のであり、汚染源を取り除くためではなく、誰もがこの事実を知らないようにするためなのである。高熱や、あるいは子どもたちの臓器に蓄積された放射能を測定することはもはやできない。ネステレンコは、彼が実施している事業を止めなければならないのだ。
-健康に対するセシウム137の放射性毒性の効果を無視すること
9年間、ユーリ・バンダジェフスキーとゴメリ医科大学の協力者たちは、セシウム137の放射性毒性について研究し、他の組織体に比べ、多いときには50倍までも、内分泌腺や心臓のようなある特定の臓器に濃縮することを発見した。セシウム137が一平方キロあたり5キュリー(185,000 Bq/m2)以上で汚染された地域において、健康への有害な影響は、ほとんど全ての子どもたちの健康を害しているのである。
放射性セシウムの蓄積による病気に関する研究活動により、バンダジェフスキー教授は、後になって取り下げられるが、最初は汚職の罪状告発によって、8年間、強制収容所に送られる(アムネスティは<沈黙する学界>と言う。〔訳注:この裁定を批判する声は医学界から湧き起こらなかった〕)。バンダジェフスキーによって創設されたばかりの医学部の医者や、昔の協力者たちは、職を失った。彼らは、彼との共同著者として、これらの刊行物に名前を連ねるべきではなかったのだ。
ストリンのセミナーでは、<エトス>は上質光沢紙にカラー印刷された図表を配り、ほとんど全ての発表者のプレゼンテーションは、デジタルデータで上映された。資料の57ページに、反論を受けたセシウム137の臓器への均質的な分布の仮説を元に、体内線量が計算されてある。
それに反して、小児科の女医のひとりが手に持っていた説明用の手書きの図表は、他の人たちの報告に反し、デジタル化されておらず、上映されなかった。それらの図表は、入院数が増加しており、1986年-87年に1000人の子どもに対し、約150件/年、1990年に500件/1000人・年、2000年では1200件/1000人・年(入院の繰り返し)の増加を示しており、上昇カーブは、下降する気配は全くない。
重症化し慢性化する疾病は増加しており、おおよそ健康だと言える子どもの比率は80%以上から20%以下に落ち込んだ。しかしながら、子どもたちは、ストレス状態ではなく、家族は移住しておらず、彼らは相対的に食糧の摂取はよかった。すなわち、幼稚園から全ての学校教育の期間中、教育に当てられた予算のうち、50%は、一日2-3食、週4-5日の食材に当てられている。
つまり、子どもたちの健康は悪化が継続していくようにみえる。この悪化の原因は、環境中の放射能汚染と関係がある。子どもたちは、一平方キロあたりセシウム量が5から15キュリー(185,000 Bq/m2〜555,000 Bq/m2)の汚染地域では、正常に暮らす、生き延びることができるように見えない。
この小児科責任者の女医が説明した医学報告も、図表も、<エトス2>の報告書には、掲載されていなかった。たぶん、それらのデータは、原子力ロビーに不都合だったからだ。
<エトス>参加のフランスの大学人による限定された農場への関与は、提供された質のいい種子や完璧に配合された肥料や、必要な時期に散布された農薬により、農作物の生産の向上に貢献した。ジャガイモの生産は以前より豊富になった。この農作物はセシウムは少ないので、販売することもできた。2002年以降、農業に対する投資は、10家族ほどの農家に限らず、数千人の子どもたちが暮らす関連地域に拡大されるべきであろう。不幸にも、これらが住民、とりわけ子どもたちの健康状態を向上させることを示すことはできなかった。すでに、パリ第七大学で、<エトス>の農学責任者アンリ・オラニョン氏は、私に言った。「私たちはいい仕事をしたよ。しかし、子どもたちはますます病気になったんだ!」と。この意味で、<エトス2>の経験は、失敗と言えるのである。
<エトス>報告書のなかに、セシウム137の体内線量の継続調査と子どもたちの健康状態の悪化を示す曲線を、全面的に統合しない限り、プロジェクトの結果の提出は、本質的な部分を欠落させた不完全なものと判断せざるを得ない。つまり、健康についての基本的なデータの不在と、放射性核種の体内の線量負荷についてのデータの不在は、<故意の言い落としによる嘘>、あるいは原子力ロビーが欲しがって止まない<鍵としての嘘>であると、ますます私たちを信じ込ませずにはいないだろう。
チェルノブイリの影響評価において、<故意の言い落としによる嘘>は、実際、タバコ産業ロビーが、世界保健機関による反タバコ・キャンペーンをさせないようにするために、何十年もの間、大々的に実行して来た<鍵となる嘘>に似ている。同じ動機(まず優先的にロビーを守ることだが)によって、一部を排除した資料は、原子力管理当局や市民に対して、原子力産業が情報を遮断するのを容易にし続けるにちがいない。
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