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最後通告 原電剣が峰 自信の規制委、再稼働困難
2013年1月29日 [東京新聞:核心]
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013012902000148.html
原子力規制委員会の専門家チームが28日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の直下を走る破砕帯(断層)を「活断層の可能性が高い」と判断した。敦賀原発の再稼働はほぼ不可能になった。会合の様子からも、チームの専門家は確信を持って結論を出したことがありあり。原電はあきらめていないが、相当の新しい証拠が出ない限り、判断が覆ることはなさそうだ。 (大村歩、加藤裕治)
◆新証拠
「見直すこともあり得るが、その際には、追加調査によって活断層の可能性を否定する客観的データをそろえることが必要」
この日の会合で、規制委事務局の小林勝・安全規制管理官が評価書案の一節を読み上げると、座長席の島崎邦彦同委員長代理は、深くうなずいた。
原電にとっては、逆転勝利を得る可能性が残っているとも受け取れるが、実際には最後通告に近い部分だ。
原電は、昨年12月の会合で、チームが活断層との認識で一致したことを受け、電力会社としては異例の「公開質問状」を規制委に出した。事細かに判断の根拠を示すよう求める内容で、なりふり構わぬ抵抗ともいえるが、小林氏は記者団に「原電の質問状は質問になっていなかった。(報告書案の中で)答えるべきところは答えた」と語った。
この日の評価会合でも、島崎氏は「(証拠となる地層が)もうすでに削られて存在していない。今のデータで判断するしかない」と言明。原電が追加調査を進めても、評価を見直すほどの証拠が出てくるとは考えていないことをにじませた。
◆場外戦
今後、チームは報告書案を規制委本体に報告するまでの間に、原電側から話を聞く機会がありそうだ。
原電の星野知彦開発計画室長は「今後、われわれの意見を聞く場を設けるということで、撃結衣儀な会合だった」と語ったが、チームは質問に答えてもらうだけで、「主張」を聴く気はないという。星野氏は規制委側の方針を知り、「それは知らなかった」と動揺を隠せなかった。
荻野孝史広報室長は「行政手続法上の不利益処分なのだから意見を聞くべきだ」と強調。さらに、「規制委といっても行政機関。首相の下にあるんだから」と政治の場を含めた場外戦に突入する可能性すらにおわせた。
ただし、報告書案が大筋了承された以上は、後は再稼働を認めない最終的な結論へと淡々と進むとみられる。7月に原発の新しい安全基準が決まると、これまでは運転停止も行政指導という「お願い」ベースだったが、規制委は法的に命令する権限を持ち始める。
◆5原発
敦賀以外でも、全国の5つの原発で断層の調査が進んでいる。稼働中の関西電力大飯原発(福井県)は、問題の断層を見失って足踏み状態が続くが、東北電力東通原発(青森県東通村)では、敷地内の断層が活断層と判断された。原子炉直下ではないが、断層との距離が近すぎ、想定すべき地震の揺れを適切に評価し対策を打たないと再稼働は難しい。
また、遠からず規制委が現地調査に入る北陸電力志賀原発は、以前から「典型的な活断層が原子炉直下を通っている」と指摘されており、「クロ」判定となる可能性が高い。
規制委はこのほか、原子力施設が集中する青森県・下北半島の全域も調査する方針。青森県六ヶ所村の核関連施設や建設中の電源開発大間原発(青森県大間町)も断層調査を迫られる。
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