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2013年1月26日10時23分 朝日新聞
【鬼原民幸】福島第一原発周辺で手抜き除染が横行していることを伝えた朝日新聞の記事は海外に配信され、外国メディアでも紹介された。インターネットのブログには各国の読者から書き込みもある。日本の原発事故対応は大丈夫か。世界の関心はなお高い。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は現地時間の8日、「A Painfully Slow Sweep(遅々として進まない除染)」と題した記事を掲載した。同紙の田淵広子記者が自ら福島県楢葉町で除染の実態を追い、効果に疑問を投げかける内容。朝日新聞の報道を受け、「日本のメディアが最近、土や葉を川に捨てるずさんな除染を報じた」と加筆したという。
NYTが開設しているブログには、朝日新聞の英語ニュースサイトAJW(Asia & Japan Watch)が英訳して配信した記事が紹介された。タイトルは「CROOKED CLEANUP(ゆがんだ除染)」。その記事で手抜き除染を知った世界各地の読者が意見や感想を寄せている。
カナダの読者は「原子力は環境や次の世代を重んじなければ安全に使うことはできない」。米カリフォルニア州の読者は「我々は将来の資源を汚しながら生きている」と指摘し、別の読者も「核物質の半減期はとても長い。再生可能エネルギーの活用計画を立てることこそが解決策だ」と書き込んだ。
日本で活動する外国人ジャーナリストも衝撃を受けた。韓国・東亜日報の●克仁(ベグギン、●は哀の口が非)東京支局長は「韓国では原発依存が進む。日本は高度な社会モラルや安全基準を持ち、事故後の対応はお手本になるはずだった」と残念がった。ただ、調査報道で問題が発覚したことは「原発事故後の動きを日本のメディアがしっかりウオッチしていることを世界に示した」と評価した。
豪紙オーストラリアンのリック・ウォレス東京特派員は「除染を担う企業の選び方に問題があったのでは」と指摘。豪州に原発はないが、ウラン埋蔵量は世界最大で、原発建設に賛成する国民は少なくない。「原発推進派は日本の事故対応に関心がある。今後の動き次第で取材したい」と話した。
震災後、被災者の冷静な対処や大勢のボランティアの参加が「日本人の忍耐力と回復力は尊い」などと海外で報じられた。手抜き除染はこうしたイメージと落差があり、驚きをもって受け止められたようだ。アジアの新聞の特派員は「勤勉なはずの日本人がすることとは思えない」。震災から丸2年を迎える3月11日に向けて手抜き除染を取材する考えだ。欧州の新聞の特派員も「重大な関心を持っている」と話す。
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