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http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130123/mca1301230621012-n1.htm
2013.1.23 06:20
経済産業省は、大手電力会社の発電と送配電を分ける「発送電分離」の実現に向け、具体的な制度設計の詰めを急いでいる。
送配電会社を設立して持ち株会社の傘下に置く「法的分離」を軸に、有識者会議の「電力システム改革専門委員会」(委員長・伊藤元重東大大学院教授)が2月にも改革案をまとめることに対応。法的分離の時期などを盛り込んだ工程表を含めて運用体制を明確にし、電力市場の競争活性化を早期に実現したい考えだ。
専門委は発送電分離の導入にあたって、法的分離と、地域ごとの送電網の運用を中立機関に任せる「機能分離」の2案に絞って検討していたが、21日の会合で法的分離案を支持する方向でほぼ一致した。
発送電分離は、欧米に比べて割高な電気料金を引き下げるため経産省が2001年ごろから提唱してきたものの、大手電力側は「発電と送電の一貫体制が安定供給に欠かせない」として、強く反対してきた経緯がある。
ただ、東京電力福島第1原発事故後の計画停電をきっかけに、他電力からスムーズに電力を融通できない現状が露呈。再生可能エネルギーを既存の送配電網で効率よく供給する必要もあり、専門委は発送電分離を導入する基本方針を12年7月に打ち出していた。
具体的には、電力会社の送配電網を広域的に管理する全国組織を設け、需給状況の監視や緊急時に地域間で柔軟に電力を融通できるようにした上で、電力会社の送配電部門を別会社化する。分離後も、大手電力との間で資本関係は残る。
実現すれば、大手電力が発電から送電までの事業を地域で独占する体制が崩れ、新電力会社(特定規模電力事業者)の参入に弾みがつきそうだ。
消費者にとってもメリットが大きい。現状では国が認可した電気料金で地域ごとの電力会社と契約するしか選択肢がない。専門委は、家庭向けの電力小売りを段階的に行う自由化案を大筋で了承しており、自由化が軌道に乗れば、料金メニューが多様化する可能性がある。
もっとも、送配電部門の別会社化には相当の時間を要するほか、国内で異なる電力の周波数の調整など課題も少なくない。
21日の専門委会合で電力会社側は「法的分離にはITシステム整備などで電力9社で約4100億円の負担が必要」との試算を公表。「原発の再稼働やエネルギー事業環境の見通しが明らかになった時点で判断したい」と指摘し、慎重な対応を求めた。
専門委の委員は「発送電分離は市場に競争をもたらすのが目的であり、コストは実行しない理由にならない」と批判したものの、電力改革をめぐる自民党のスタンスが明確でないこともあり、反対意見が蒸し返される可能性も残されている。
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