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2013年01月22日
これまで、各電力会社は「原発の直近や直下に活断層はない」と言っていた。だが、それがウソだったことが、原子力規制委員会の調査で明らかになりつつある。
昨年末の活断層審査でも、東北電力・東通原発に敷地内に活断層の存在が認められた。ところがその後、この規制委の活断層認定に対する批判が噴出している。
東通原発が世間の注目を集めていたさなかの昨年12月26日、朝日新聞青森版にひときわ目を引く「規制委批判」記事が載った。規制委の審査結果に対し、「過去に政府の専門委員を務めた研究者から疑問の声が出ている」というのだ。
「(規制委の見解には)証拠があるのか」(遠田晋次・東北大学教授)
「100%活断層でないとの証明は(電力会社には)不可能。だが、規制委は証明できなければ活断層とする。もっと総合的に判断すべきだ」(山崎晴雄・首都大学東京教授)
東北電力は、原子炉建屋から数百メートルしか離れていないところで確認された活断層に対し「地層の変形は活断層によるものではなく、粘土が水を吸って膨張する『膨潤』が原因」という活断層研究の一般常識を覆す前代未聞の珍説を繰り出し、規制委への抵抗を続けていた。記事中では、このような東北電力を露骨に擁護する意見まで紹介している。
なお、朝日新聞がコメントを載せた山崎晴雄氏とは、旧原子力安全委員会WG(ワーキンググループ)の主査として東通原発や日本原燃・再処理工場の安全審査に関わり、施設の直近で確認された活断層を問題視する専門家の意見を黙殺し、危険性があることを承知で「安全」のお墨付きを与えてきた人物だ。
そして同記事は、隣接する東京電力・東通原発の安全審査に関わった釜江克宏・京都大学教授の、「過去の審査に関わった専門家の見解も聞くべきだ」とするコメントで締め括られていた。
つまり、福島原発の大事故を経てもなお、かつての原発安全審査にはなんの問題もなかったと言わんばかりの記事なのだ。規制委の活断層審査の骨抜きを狙った記事とも読める。
原発事故からまもなく2年を迎えようという今、姿をくらませていた“御用学者”たちが自民党政権の復活と歩調を合わせるように再登場し、新聞を巻き込んだ世論操作を再開しているわけだ。だが、彼らの発言からは福島原発事故を招いたことに対する反省の色など何もうかがえない。新聞をはじめとする各メディアは、こういったコメントを検証もせず肯定的に載せることは避けるべきだ。
(取材・文/ルポライター・明石昇二郎&ルポルタージュ研究所)
■週刊プレイボーイ5号「自民政権復活で『原発世論操作』が息を吹き返した!?」より
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