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小林 泰彦 VS 小出裕章
2013年1月19日千葉県柏市「東葛から問う」
放射線対策と原発の明日
対談 (独)日本原子力研究開発機構 小林 泰彦 VS 小出裕章
45分ずつ二人が話す。
二人の対談30分間の後質問時間。
真実に迫るための重要な講演になっています。
皆様のお考えと違う内容かもしれませんがそれでも冷静にお聴きいただくようにお願いします。
01:55〜小林泰彦 日本原子力開発機構
50:10〜小出裕章 京都大学原子炉実験所
1:36:17〜対談
2:02:26〜会場からの質問
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ーー小出先生、千葉県の汚染についての部分書き出しーー
1:24:00
これがみなさんがお住まいの茨城県と千葉県の汚染地図です。
この青い所が1平方mあたり6万から10万ベクレル汚れている。
緑のくすんだところは3万ベクレルから6万ベクレル汚れているという所です。
分かって頂けると思いますがここが柏で、流山、茨城県の守谷がこの辺ですし、
阿見町なんかもひどい汚染地帯になってしまった
つまりこれは放射線の管理区域なんです。
よろしいですか、
普通のみなさんは立ち入ることすら許さないという、そういう場所だったんです。
ここに、私のような人間が仮に入っても、
「水すら飲んではいけない」というほどの汚染をみんな受けている。
そういう状態になっているのです。
これは常総生協という生協の方が、
今日多分来て下さっていると思いますが、
大変な努力をして、汚染の調査を今日まで続けてきました。
その常総生協がこの近くのところで汚染を調べていって、
いったいどういう所でどのくらいの割合のところが4万ベクレルを、
1u当たり4万ベクレルを超えて汚れているかという事を調べました。
柏2013011916
2000件ぐらいだったと思いますけれども、それぐらいの土を集めてきて順番に測定していくという、
大変な作業だったと思いますけれども、
そうすると、たとえば柏の南部は約6割はもう管理区域です。
柏の北部は7割超えるところが放射線の管理区域で、
流山市なんていう所はもう8割を超える所が放射線の管理区域にしなければいけない
それほどの汚染を受けているという事が、市民の方の手で、すでに測定されているという、
そういう状態になっています。
1:35:28
今私たちに問われているのは、わたしはこうだとおもいます。
「どこまでの危険を私たちが引き受けるか」ということで、その時には
自分に加えられる危害を容認できるか、
あるいは、罪のない人々に謂われのない危害を加えることを見過ごすかは、
誰かに決めてもらうのではなく、一人ひとりが決めるべきこと。
皆さんがお一人お一人考えて、
「どうしたらいいのか」という事をこれから考え、そして実行してほしいと願います。
おわります。
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東日本の放射線管理区域〜どのように日本が汚れたのか?〜小出裕章氏12/22(内容書き出し)
東京の汚染〜東村山と水元公園〜小出裕章氏12/22(内容書き出し)
ーー<対談> 小林 泰彦 VS 小出裕章ーー
柏2013011913
1:37:50〜
柏市 柳沢:
小林さんは遺伝子の損傷による発がんリスクに注目していらっしゃいます。
低線量で、出来るだけ余分なリスクは避けるべきであるけれども、
「1ミリシーベルトの基準については倫理的な値である」というふうにおっしゃっております。
「放射能汚染については数ある中の一つの害であって、食品やたばこの害の方が上の場合もある」
というふうにおっしゃっています。
小出さんは、法律に違反する、これは異常な事態であって、
「被害による健康被害それから被害による生活崩壊のどちらを選ぶのか」という深刻な問題に至っている。
というふうにおっしゃっていらっしゃいます。
1:39:05
柳沢:
小林さんのお話しの中で、事前に私たちがお出ししました質問で、
このあたりの放射線レベルについて、
小林さんはこのあたりのレベルについてどうお考えか?という所が
ちょっとお話が無かったような気がするんですが、
よろしいでしょうか?
柏2013011911
小林:
じゃあその点は、えーっと、柏市の市のホームページに出ている数字などいろいろ見て考えたんですけれども、
今私自身が、皆さんに「こうしたらいいですよ」っていうつもりで言ってもしょうがないわけで、
自分だったらどうするか?という事で考えると、
私だったら、もう全然気になりません。小さい子もそれでいいと思う。
もし、自分の家族がいてもそれは気にならない。
それは学問上の確信があります。
そして、そうですね、私が配ったスライドの最後のところ、
被ばく線量の測定と公開という所、
これは今非常に市もやられているし、詳しい情報が出ている。
ただしこれから気を付けるべきことは、「どこが何ベクレル汚れている」っていうことよりも、
そうではなくて、「今住んでいる人がどれ位のシーベルトで放射線を受けているのか」
これを基準にし一人一人考えるのがいいと思いますね。
公共施設などは非常に低くなっていますから、全く問題ないと思います。
それから、通学路などで、もしところどころマイクロスポットと呼ばれているような所があったとしても、
そこをまたぎ越す時間、時間にすれば非常に短いので、
それから受ける線量というのは微々たるもの。
それよりも長い時間を過ごす子どもさんの寝室の窓のサンとか、屋根のトイであるとか、
そういう所の掃除の徹底でもう少し下げる事が出来れば、多分そっちの方が有効なのかな?
という気がしています。
柳沢:それに関しまして小出先生のご意見はいかがでしょう?
小出:
私は先程聞いていただいたように、
この柏を含めて広い地域が1平方mあたり4万ベクレルを超えて汚れています。
そういう所に私は「普通の人々が住むという事自体に反対」です。
出来る事ならばみなさん逃げて欲しいと思いますし、
本当であればその法律を作った日本国政府が責任を持って、皆さんをコミュニティーごと、
どこかできちっと生活できるようにするというのが私は必要だと思っています。
いま大地を汚している主犯人はセシウム134と137という放射性物質ですが、
1平方mあたり4万ベクレルのところにいれば、1年間で1ミリシーベルトになると思います。
避けることができません。
それだけでももう、法律が決めている限度を超えて被ばくをしてしまうという事になる訳です。
そして今、小林さんが言って下さったように、
そうではなくて局所的に汚染しているところもあちこちにあります。
そういう所をきちっと調べて、子ども達が接するような場所からはそういう汚染を除くという作業を、
これからもずっと続けなければいけませんけれども、
環境中で放射性物質は移動していますので、
ある場所を綺麗にしたと思ってもまたそこがしばらくしたら汚れてくるという可能性もありますので、
これから長い期間にわたってそういう作業を続けていって、
出来る限り子どもを被ばくから守るという事をしていっていただきたいと思っています。
柳沢:
では質問の2に移らせていただきます。
同じ原子力を学ばれていらっしゃるんですけれども、
お聞きになりましたようにお二人のご意見にはかなり差があるように思うんですけれども、
それに関しましてご意見がありましたら小林さん、いかがでしょうか?
小林:
まぁ、ご意見っていう事ではないんですけれども、
小出さんがお示しになった資料には科学的な間違いが多々ありますしね。
まぁでも、細かいことだと思われるかもしれない。
専門的には私は非常に気になります。
たとえば、ICRPがハムに値切ったという表現は、あれはおかしいですね。
DDREFのことをおっしゃっているんだと思います。
瞬時の被ばくに対して、緩慢な被ばくは2分の1から10分の1ぐらいの影響になるだろうという事は、
さまざまな科学的実験事実です。
そのなかで、一番用心深いところを取って2分の1をとるとか、
DDREFの値をとるというのが国際的な合意だというふうに思っています。
小出:
えーっと学問的な誤りと言われてしまうと私としても言わなきゃいけないのですが、
DDREFという係数がありまして、
低線量で低線量率で被爆をした時には、
高線量、高線量率で被爆をした時の危険度よりもどれだけ少ないかというような事を表す係数です。
それをICRPは「2」という係数を使っていまして、
高線量の時よりも低線量は2分の1になるというような係数を使っているのです。
そして、今それは慎重な過程だとおっしゃったけれども、
先程聞いていただいた、ベイグという米国の委員会では1.5です。
確か小林さんの資料にもあったと思います。
むしろベイグの方がずっと厳しく見ているわけですし、
私は先ほど原爆被爆者たちの実際の疫学データ、人間の物を見ていただきましたけれども、
人間の疫学データはむしろ低線量の方が危険度が大きいということも示しているのです。
ですから簡単にDDREFという係数を使って、低線量のリスクを値切るということは、
私は正しくないと思っています。
小林:
それは値切っているんではなくて、
えーっとじゃあ、先程今おっしゃった原爆被爆者データのところでお聞きしたいと思いますけれども、
低線量ほど1シーベルトあたりの過剰相対リスクが大きくなる。
この時のコントロールは何ですか?
小出:
これはだから、コントロールというか何キロごとの被ばくの基準がありますよね、
何ミリシーベルトから何ミリシーベルト。
そういうものを一番低いものから順番に積み上げていって、高いところまで、先程の図に示した通りです。
小林:これ、なにをコントロールに取るかで、そのデータも出ますよね。
小出:それは3キロエリアの集団だったと思います
小林:
そのコントロールの取り方で、もともと有意差が全然ないようなところ。
どれを1にするとどうなるか?という事にしてもあまり意味が無いと、
小出:
おっしゃるとおりです。
ただし、これは原爆という非常に特殊な集団を取っているのであって、
コントロールがどこまで正しいかというのは、それこそまた議論が起きてしまう、ということなんですね。
小林:
そのとおり。
だから、コントロールの取り方によって、逆に線量が低くなるほど
シーベルトあたりの過剰相対リスクが低くなるという結果も導き出せる。
つまり、どうにでも出せるという意味で、
本当に何が起きているのかという議論をするにはあまりふさわしくないと。
小出:
ですから、疫学というものは今小林さんがおっしゃってくれたけれど、統計学に基づいているわけだし、
どれだけの候補を集めるかという事で違ってしまう訳で、大変難しい学問だと思いますけれども、
やり方によっていろんな結論が出てきてしまうという、まだそういう段階にある訳ですね。
小林:それで私だったらこういう特定の見方だけを出すような扱い方はしないで、
小出:もちろんだからいろんな
小林:
医学データは結論が出せない状態である、
まぁ、ハッキリ言えばゼロから100ミリシーベルトの間は言いたい放題ですね。
何を言ってもいい領域になっている、
しかもゼロと言っても、場所によって人によって違うわけで、
そこでこれ以上本当の事を知りたいと思ったらやはり、
メカニズムの研究で一つずつ解明していくしかないのかなぁと考えて、
そういうふうに今大勢の人が努力していますよという話を今日させていただきました。
(客席:安全だって言えないだろ!)
小出:そうですね、ですから疫学だけでは証明できないという
小林:そうです
小出:
範囲が必ずある訳で、そこでは実験もしなければいけないし、
モデルもつくらなければいけないという事になっている訳です。
ただしそれを全部踏まえた上でデイルにしてもICRPにしても、
低線量でも危険は直線的に存在し続けると考えるのが、科学的に妥当だと言っている。
小林:
そうですよね、それは全てのリスクについてそうですよね。、
絶対に安全という事は誰にも証明できない訳です。
小出:そうですね。
小林:
リスクはある。ただしその大きさをどうやって定量的に調べようか、
把握しようかという所が努力すべきところだと思います。
小出:そうですね。
小林:
普段の生活で感じて、生活の中ではリスクはあまり感じないわけですね。
まぁ、そういう日常バイアスというものがある。
たとえば今日ここに来られるのに歩いて来られた方、車で来られた方いらっしゃると思いますけれども、
縁起悪い事言って申し訳ないけど、
「帰りに交通事故に遭わないだろうか」とか、普通考えないですよね。
しかしそれはゼロではない、リスクは必ずある。
でも本当は皆さん日常生活の中でそういうリスクを何となく感じて
保険に入ろうか、どれぐらいの保険に入っておこうかとか、
あるいは飛行機で行った方がいいかな、列車の方がいいかな、という事を判断しています。
ま、そういう日常的な感覚を、日常的な感覚の中に、同じように、
(会場:ザワザワ)
板倉:会場からの発言は後でお願いいたします。
小林:信用しないと、特別なリスクで考えてしまうとね、比較はしにくくなるんじゃないかなと思います。
柳沢:
えっと、すみません、次の質問をさせていただいてよろしいですか。
環境中に今放射能がいっぱいある状態になっておりますけれども、
これはそんなに気にしなくてもOKと小林さんはおっしゃっているんですが、
そうしますとたとえばレントゲンでは、何回ぐらい浴びてもOKっていうふうに、
小林:いや、それはおかしいですよね、必要以上のレントゲンをしてもしょうがないし、
柳沢:
そうしますと今、この辺では
初めの頃は何日間に一遍ずつレントゲンを浴びているみたいな状況だったと思うんですけれども、
えー、何のメリットもなく放射線を浴びせられている状態ではないかと思うのですが、
小林:そうですね、おっしゃるとおりです。
柳沢:
そうですよね。
では、年間1ミリシーベルトというのは権威ある学者が認めていた世界的な基準だったと思うんですけれども、
これは急に20とか、100とかの数字が出てきているんですけれども、
ちょっと資料の方で分からなかった部分がありまして、
年間どれぐらいまでだと大丈夫、100という数字が小林さんの資料にあったんですが、
それは年間でしょうか?
小林:
あ、私の資料ですね。
これはね、年間ではなくまぁそう長くはない、何年も続く事は考えているわけではなくて、
その事故の直後のひとしきりという考え方です。
別に年間とは決まっていません。
少なくてもある短い期間に100ミリシーベルト以上を浴びると有害疫が出る可能性が強い、
それも証拠がある訳ですね。
そこは絶対に避けたいという事で、
想定避難を含めてだれも100ミリシーベルトを超えないようにという事が、
最初の段階の措置になる、そういう考え方です。
発がんの影響もあるし、発がんリスクの増加も
最新の広島のデータだと、200ミリシーベルトから優位になりますけれども、大体そのぐらいという事です。
柳沢:
では次の質問です。
内部被ばくが軽んじられて無視されてきた歴史が
あると思うんですけれども、それについてでは、小出さん。
小林:お話しした通りで、内部被ばく外部被ばくを、あ、先生の方ですか?どうぞ。
柳沢:小出さんから、
小出:
えーっと、内部被ばくも外部被ばくも同様に危険です。
どちらも安全ではなくてどちらも危険です。
ですから外部被ばくも避けなきゃいけないし、内部被ばくも避けなければいけません。
特に内部被ばくの場合は、
ま、外部被ばくというのは外にある放射性物質から被ばくをするわけですから、
逃げれば被ばくをしないで済むようになる訳ですけれども、
内部被ばくというのは体の中に放射性物質を取り込んでしまう訳ですから、
たとえばこれ(コップに入った水)が汚れているとすると(ごっくん)飲めば、
私の体の中に放射性物質が入ってしまう。
ですから、もう私はどこへ逃げてもそれと一緒に動いてしまう訳ですから、逃げる事が出来なくなります。
ですから、内部被ばくというのは大変コントロールが難しいという意味で、
出来る限り注意をして避けなければいけないと思いますし、
特に子どもに関しては汚れたものを出来る限り与えないという注意を私はして欲しいと思います。
特に学校給食であるとか、子どもが食べるという、そういうものに関しては出来る限り注意して、
汚染の少ないものを回すと、そういう方策を取るべきだと思っています。
柳沢:それに関してご意見がありましたら。
小林:
いや、全く同じ意見ですけれども、ただ、言葉の使い方でちょっとお願いなのは、
「安全か危険か」っていう分け方はよくないですよね。科学的じゃないし。
「汚染」というのも、それは放射線管理区域でその、
きちんとしつけられて作業をしてきたそのしつけの名残で、
「汚染していないところは全く綺麗か?」そうではないですね。
放射線管理での汚染というのは「あるはずの無いものがある」そういう汚染ですから、
放射性物質があるかないかとは関係が無い。
たとえばお水の中にわざと入れた実験用の実験に使っている放射性物質が混じった汚染ですけれども、
じゃあ、地球の大気の中で、宇宙船でつくられているトリチウムが入って、入っているんですけれども、
それは汚染か?と言ったらそれは言わない。
普通にあるものには言わない。
そういう所でなんか、必要以上に神経質になってしまう言葉使いは、
一般の人にお話しするのはどうかなと思います。
小出:
私はむしろ安全と危険を使い分けていないんです。
私は、放射線、放射能というものは全て危険だと言っている。
ただし、それは量によって危険の大きいものから危険の小さいものまで、ずーっと続いているのであって、
「安全はむしろない」と私は言っているのであって
小林:はい、それで結構です。
小出:危険という言葉は私は使っていませんから
小林:程度問題ですね。違いの程度問題。
小出:
そうです、程度の問題なんですけれども、
どんなに低いものでも危険があるという事をまず認めた上で議論をしなければいけないし、
小林:もちろん
小出:はい。
柳沢:
次の質問ですが、科学というものについてちょっとお伺いしたいんですが、
科学というのはなんだというふうに思われるでしょうか?
科学者としてどういうふうにあるべきだと思われるでしょうか?
科学から誘導される利益と人の健康リスクをどのように思われるでしょうか?
それについて小林さんから
小林:
はい、科学には二つの役割があると思います。
一つは、人間の生活を安全に豊かに便利にする科学。物理的な心ですね。
もうひとつは訳の分からない不安、恐ろしい事、理解できない事を減らして、心の平穏と言いますか、
あ、わかった、知らない所が分かった。
「だんだん知っている世界が広がった」という、そういう喜びのもとにですね、
そういう営みで。
で、世の中で、この複雑な世の中で、「物事をどっちにしたらいいだろう?」と決めて、いろいろと迷う時に、
一番多くの人が納得できる物事の決め方が、科学の実験で明らかになって、
「ああこういうだ」と思って決めていく。
そういう事なんだろうと思います。
小出:
それは、その通りだと思います。
ただし、科学というのは要するに、
自然、世界というものが、どういう姿なのかという事の真実を知りたくてやっているんですね。
で、長い間科学をみんな、沢山の人が関わってやってきた訳ですけれども、
「知れば知るだけまた分からないものが広がってくる」という、
そういうのが科学という場所の世界でした。
だから、科学というのは非常に大切なものです。
わたしも科学に携わっている人間としてそう思います。
人々を平和に、そして豊かにするというためにも大変力を持ったものだと思いますけれども、
でも「科学は万能ではない」のです。
必ずいつも「分からないものがある」というのが、むしろ科学の本質になっているわけで、
「全てがもう分かってしまっている」というふうに、科学に携わる人が思ってしまって、
「自分たちの判断が必ず正しい」と思いこむようなやり方は間違いだと、私は思います。
小林:もちろんそうですね、誰も反対しないと思います、科学者ならば。
柳沢:
日経新聞にですね、ある原発が非常に問題、
地下に断層があって、という事が発表されたと。
しかしそれは、新聞の中では
「これは科学的な事実であって、経済的には別なんだ」という書き方がしてあったりして、
なかなか、科学の先生のお二人の前で、科学というのは本当に、あの、今軽んじられているというのか、
別の視点から物事が動いているという事がすごく不思議なような気がしております。
で、今日は放射線の話ということで、小出さんは原発の事をお話しされましたけれども、
皆さんもぜ小林さんにもそこら辺をどのように思っていらっしゃるのか、
あのー、お聞きしたいと思うんですけれども、
やはりダメでしょうか?
今日はダメという事でしょうか?
小林:なんですか?
柳沢:
原子力の今後についてどういうふうに思われるか?ということについては、
お話はいただけないでしょうか?
小林:
ああ、そうですね、
いやぁ、あんまり素人の国会談義をやってもしょうがないですけれども、
原子力発電をどうするか?という事については、私は多分
国のエネルギーをどうするか?っていう事に意見を持っている人や、
電力供給をどうするか?っていう事のテクニカルが分かっている人も一緒に交えて議論をしないと、
多分、私と小出さんだけだと素人談義になって、終わるのかな、と思いますね。
小出:フフッ・・・
柳沢:
ま、本当に今日の講演会は、ここ柏市というのは首都圏の入り口で、
で、電気も、福島の方から来ている電気も使いながら、
それで放射能が下りてきてしまって、ホットスポットになったという、そういう場所なんですよね。
ですから、本当に今日の講演会は、そういうとても、
あの、大きな意味のある講演会だというふうに思っているんですけれども、
では、どうしましょうか。
小林:ひとつ私から小出先生に質問いいですか?
柳沢:はい、どうぞ。
小林:
最後のところのスライドに書いてありました、
「一人一人が決めるべきこと」というのは全くそうだと思うんですけれども、
この地域の子どもたちの健康を守るために、具体的に今どうするのが一番いいと、
小出:
えー、本当の事を言えば、子どもを中心としてこの地域から逃げる事が正いと私は思います。
ただし、さっきもそれも聞いていただいたけれども、
逃げるという事、その事自身が猛烈な苦難を伴ってしまうので、容易なことではありません。
それで今現在人々がこの地域で生きているわけだし、
子どもたちも生きている訳です。
私は何度も言いましたけれども、「子どもだけはとにかく被ばくから守りたい」と言っているわけで、
子どもが集中的に時を過ごす場所、学校の校庭であるとか、幼稚園の園庭であるとか、
地域の公園であるとか、あるいは人々が住んでいる、ま、ご自宅でもいいけれども、
子どもたちが泥んこになって遊ぶような場所の土はまずは剥いで欲しいと思っています。
ただ剥いだところで放射性物質が無くなるわけではありませんので、
それを今度はどこにどうするか?というような困難な課題がまた持ちあがってくるという、
でもやって欲しいと私は願っていますし、
それから内部被ばくを避けるためには、学校給食であるとか、
子どもがとにかく食べるものに関しては注意をして、
行政ももちろん一緒になって、子どもたちに放射能汚染の極力少ないものを回すと、
そういう対策をとって欲しいと思います。
小林:
私は少し違いますね、
基本的には良いんですけれども、放射線のリスクの事だけを考えるとそうかもしれないけど、
残念ながら、現実にはもっといろいろ、普段見えていないリスクがあって、
そちらの大きいリスクを忘れてっ目の前の小さな放射線の事だけにとらわれると。
(会場騒然「えーっ」)
小林:
その「えーっ」とおっしゃった方はね、大きい小さいを比べる物差しが、違うんですね。
それは科学的なデータで比べないと、感覚で言っていてもしょうがないと思います。
ま、専門家はそういう事のために助言をする役割があるんだろうと思います。
たとえば、もし自分が住んでいたとしたら、
給食だったら、今の流通しているものの放射性物質の内部被ばくのリスクよりも、
圧倒的に食中毒の事を気を付けてほしい。
(「えーーーーっ」ざわざわ)
小林:
小さいお子さんを持っているお母さんはそうじゃないですか?
あるいは木のお金があれば、通学路で大きな車がビュンビュン通るところを
ひょっとしたら引っ掛かりそうになりながら行く。
柳沢:すみません静かにお聴きください、貴重な時間ですのですみませんが。冷静に。
小林:
いや、結構です。
意見を聞きたい方だけにお話をする事にしますから、押し付けませんから大丈夫です。
ーー会場からの質問ーー
2:02:26
柳沢:えーっとですね、それではそろそろ質問の時間にしてもよろしいでしょうか?
(※質問では無くご意見をおっしゃる方が多かったので、その部分はカットします)
Q:
人権を無視しても科学のメリットを生かされてもいいのか?
科学のメリットのために人権は無視されてもいいのか?
小林:
じゃあ、わたしから。
多分そういう質問にはお答えがずれていると思うんですけれども、
さっき私が伝えたかった事はこの場でこの後どうしたらいいのか?ということで、
汚されてしまってけしからんと、
腹が立つというのは当たり前ですよね。
完全に元通りにして欲しいと思う気持ちは当たり前です。自分だってそう思います。
でもそれが無理な場合に、じゃあどうするのか?っていう時に、
一番自分と子どもにとってベストな方法をさがす。
で、どれがベストなのか?
比べても分かりにくいところを図るための知恵が科学なんだろうと、
そういう事になると思います、今の話しのなかにも。
柳沢:小出さんはいかがでしょうか?
小出:
私からは特にお答えするような事は無いと思いますが、
科学は万能ではないし、科学が間違えることもあるし、
原子力というものをやってきたことも、私は間違いだと思っています。
それによって被ばくというリスクが新たに加えられてしまって、
被ばくというのはメリットは何にも無くて、害悪だけがあるという、そういうものです。
ですから今回の汚染というものは、全く正当化できないという、そういうものが生じている訳で、
今後そういう正当化できない行為をどうすれば防ぐ事が出来るかという事を考えてほしいと。
ま、科学も、そういうふうにきちっと考えて答えを出すべきだと思います。
2:07:40
資料の方にセシウム以外の存在とその危険、影響についてのことがあるんですが、
小出先生の方からはセシウムについての危険のお話はあったんですが、
それ以外の核種の危険度あるいは影響度というものについても非常に関心が高いので、
その辺もお示しいただけたら
小出:
みなさんが心配されている放射性核種はセシウムのほかにストロンチウム90という放射性核種と、
プルトニウムという名前の放射性核種だと思います。
それでよろしいでしょうか?
もしそうだとすると、
大気中に放出されたストロンチウム90の量は、セシウムの多分1000分の1だと私は思います。
そしてプルトニウムはさらにまたそれの1000分の1ぐらいだと思います。
ストロンチウム90はセシウム137に比べて数倍危険度が大きいんですけれども、
放出量が1000分の1ですから、多分、問題にならないと思います。
プルトニウム239とか、他のプルトニウムは生物毒性が大変高いですけれども、
それでも放出量が圧倒的に少なかったので、
私はセシウムに注意をするという事が一番大切なことだと思っています。
ただし、ですけれども、それは大気中に放出された放射性核種だけであって、
先程もちょっと聞いていただきましたけれども、海にも放射性物質が、今現在も流れて言っています。
その時にはセシウムだけを注意していては私はダメだと思います。
何が重要かというとストロンチウム90です。
ストロンチウム90は水溶性がかなり高いので、
多分大気中に出てきた量はセシウムの1000分の1だと私は言ったわけですけれども、
海に流れていっているものは、セシウムとひょっとすると等しいぐらいが流れていっているかもしれません。
ですから今後、海の汚染を調べるという時には、
ストロンチウム90という放射性核種にみなさんも注意をして欲しいと思います。
しかしストロンチウム90を測定するという事は、大変手間がかかるのです。
ですからなかなかデータがそろってこないという状態が今日まで続いていますので、
これからは海の汚染に関してはストロンチウム90に関する測定という事をもっともっと力を入れて、
国も自治体もやるべきだと私は思います。
2:10:38
小林さんの話を聞いているとなんだか夢の中にいるような話です。
日本は地震国…略
原発設置法の法律を変えないといけないと思うんです。それについてなにか。
小出:
もちろん法律を変えるべきだと私は思います。
日本には原子力基本法というのがあって、「平和目的に限る」というような条件がありましたけれども、
「原子力をどんどん進める」というそういう法律だったんですね。
私はその原子力基本法を無くして、皆さんなんていうんでしょう、
「脱原発法」と呼んでいらっしゃるんでしょうか。
そのように、原子力をこれから廃止するという法律をきっちりと定めるべきだと私は思います。
2:12:22
Q:
小林先生にお伺いしたいんですけれども、
小林先生は小さなお孫さんとかもしかしたらいらっしゃいますか?
小林:いや、まだ残念ながら。
Q:もし、5歳以下のお孫さんがいらっしゃった場合は、
毎日たとえば1ベクレルの食べ物を食べさせても・・与えますか?
小林:
1ベクレルだったら大丈夫ですね、それは。
いま頭の中でパッっと計算しました。
Q:はい、ありがとうございます。
3:13:00
Q:すみません、小林先生は柏市に住めるということですね?
小林:はいもちろん。仕事と住む所があれば家族で住みます。
Q:はい。じゃあ是日近いうちに。
小林:仕事の世話をしていただければ。
2:13:27
Q:先ほど柏に住むのは全然問題が無いとおっしゃいましたけれども、
それは、いわゆる放射線管理区域というものに相当する地域ですね?
という事は、放射線管理区域という、
そういう区分け自身が無意味だというふうに考えているという事ですか?
小林:
住むかどうかの区分けのための基準ではありませんから、放射線管理区域は。
あれは、全く汚さないのに近い形で、綺麗に管理する。
専門の方だと思いますけれども、そのための基準です。
Q:でも、その管理区域の中ではいろいろとやってはいけない事があるわけですよね。
でも、住むとなったらそういう事をやるわけですよね。
それでも全然関係ないとお考えですか?
小林:
それは程度の問題ですよね。
その自然の放射線の受けている量に比べて、どれぐらいまで増えたら、まァ平気かなという、
その感覚、その問題です。
2:14:30
Q:先程小林さんは受ける線量が同じであれば受ける影響も同じであるとおっしゃいましたけれども、
そもそもシーベルトという単位は臓器や組織あたりに平均化した線量をベースにしています。
実際の生体内における放射性物質や線量の濃度を反映したものではありません。
そしてICRPのリスクモデルというのは、放射性核種が体内で均一に分布すると仮定しています。
しかし、ベラルーシのユーリバンダジェフスキーは
死体解剖などから生体内におけるセシウム137の分布が一様ではないと、
いう事を見出しています。
ですからこのようなシーベルトという単位に基づいたICRPのリスクモデルを
健康影響を考えるために使えるのかどうか?これが一点。
それから、先程疫学調査における被ばく対照群の問題がありましたけれども、
このICRPが採用しているのが放影研の研究です。
しかし、その放影研の研究で採用している比較対象群は、いわゆる入市被ばく者であるのか?などの、
いわゆる内部被ばくを受けた方々です。
ですから、放影研の研究というのは、被爆をしていない方を対照群としているのではなく、
被ばくをした方々を対照群としていますので、
この放影研の研究も全くデタラメではないかと思います。これが二点目。
それから、もうひとつ、
国の官僚あるいは学会の中から福島原発事故による健康影響の言及に圧力をかけるような動きがあります。
例のミスター何ミリシーベルト
学会の中で自由な研究をさせないような雰囲気もある事、この事を研究者としてどう思うか、
以上3つお聞きしたいと思います。
小林:
先ず、3点目の事は全く知りません。
私の学会ではそういう事はないし知りません。
2点目については、そのテクニカルなところは放影研の担当というか、
当人ではないのでお答えするのは適切ではないと思います。
最初のところは全くごもっともですね。
体内分布が分からないと見積もりようがない。
それは非常に難しい。
所詮シーベルトなんていうのは目安ですから、
大体の目安で安全にしておこうというような、
たとえばラドンの被ばくで、空気で周りから内部被ばくして同時に血液からまわって、
その途中でアトランダムに固体元素に沈着していく、その分布を正確に見積もるのは非常に難しいですよね。
ですから万能ではないというのはおっしゃる通りです。
以上です。
声:放影研の大久保先生がエビデンスレベルが低いと言っていますけれど、
小林:いや、その話は私は知りません。
声:今インターネットで見られますけど
小林:そうですか、
声:エビデンスレベルが低いんですよ、認めています。それはどうですか?
小林:
いや、それ以上は私はよく知りません。
あの、疫学はにわか勉強なんで勘弁して下さい。
声:エビデンスレベル低いです。
柳沢:
一つわたくしからの質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?
1ミリシーベルトというのが倫理的な基準であるというふうに、小林さんはおっしゃっているんですけれども、
そうしますと、1ミリシーベルト以下を目指している柏市の除染というのはどういう事になるというふうにお考えになりますか?
小林:
倫理的なというのは、もう十分に低いから、適当に止めてもいいよという判断は正しくないだろう。
だから放射線の変動レベル、事実上ゼロとみなしても、変動レベルという意味で、
見なくてもいいという所まで、元通りに近いところまで除染していくっていうのは、
倫理的に求められているという事です。
そうしないと健康に影響が出る恐れが高いからという意味ではない。
そういう意味で倫理的にということです。
柳沢:それに関しては小出さんは?
小出:
わたしですか?
私はもう繰り返して言っていますけれども、
子どもたちに被ばくのしわ寄せをするという事は、私はやるべきではないと思っていますので、
限りなくこれからも子どもたちの被ばくを減らすための作業というのを続けて欲しいと思っています。
柳沢:
今日の講演会は小出さんが
「原子力を研究している方と是非お話しをしたい」という事でいろいろと当たりました。
それで、「原子力文化振興財団」という所があるので、
そこでは講師を派遣しているという事を聞きまして、そこにお願いをしたんですけれども、
そこは、一方的に行くのはやるんですけれども、
「対談はイヤだ」と断られたんですね。
でも、それでも是非是非、今まで税金も使って本当にいろんなコマーシャルもされてきた。
「安全だ、安全だ」という事で、コマーシャルもされてこられた財団ですので、
「こういう緊急事態にはどんどん外に出てきてお話をしていただきたい」という事をお願いして、
「紹介ぐらいはして下さい」ということで、
それで、小林先生が「じゃあいいですよ」って言って来て下さったんですね。
本当にありがたく思っております。
今後もぜひこういう講演会が各地で行われるべきだとみなさん思われませんか?
こんなに税金を使って沢山主催者の人がいて、国民的議論をしなければいけないので、
ぜひ、こういうことが、この会が発端となりまして出来ることを望んでおります。
本当にありがとうございます。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=MLpfzMQVVsw
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