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東電、賠償応じず シイタケ種箘メーカー苦境
2013年1月20日 東京新聞[こちら特報部:ニュースの追跡]
福島第一原発事故の影響で、シイタケの種箘メーカーが苦境に立たされている。生産農家と違って直接、事故の被害を受けたわけではないため、東京電力が賠償に応じていないからだ。事故後、風評被害などもあってシイタケの生産量は大幅に減少。関係者は「このままでは業界全体が衰退してしまう」と危機感を募らせている。(上田千秋)
「原発事故の前と比べると、原木シイタケの種箘の売り上げは3〜4割減った。このままいくと死活問題になる」
森産業(群馬県桐生市)の担当者は、こう言ってため息をついた。
同社は、シイタケを生産する際に欠かせない種箘の生産では業界最大。原発事故直後からキャンセルが出るようになり、事故から2年近くたった今も売り上げが上向く気配はない。
理由は、福島県などで生産が難しくなったことに加え、種箘を植え付ける原木の不足だ。同県は有数の原木の産地で、2010年の生産量は全国6位の2万立方メートル余。かつては東日本を中心に全国に流通していたが、事故後はほとんど出回らなくなった。
昨年4月に、原木の放射性セシウムの基準値が1キログラム当たり150ベクレルから50ベクレルへと厳しくなったことも不足に拍車を掛け種箘の売り上げにも大きな影響を及ぼしている。
こうした状況を受け、同社が「売り上げ減の原因が事故なのは明らか」として損害賠償を求めたのに対し、東電の返答は冷淡だった。「商圏は全国にあるのだから、別の販売先を探せばいい」
政府の原子力損害賠償紛争審査会が示した中間指針は、今回のような「間接被害」も賠償の対象にしてはいるものの、取引に「代替性がない場合」との条件がつく。「代替性はある」というのが東電の理屈だが、現実的には不可能に近い。
「生産者にはそれぞれ長年付き合ってきたメーカーがある。新たに始めるにしても設備投資が必要になるし、そもそも原木が足りない今、新規にやろうとする人はいない」(森産業)
メーカー11社でつくる全国食用きのこ種箘協会(東京都文京区)によると、状況は各社とも同様で、これまでに減収分の賠償を受けたケースはゼロ。北田徹事務局長は「原発事故との因果関係は明らかなのに、どうして理解してもらえないのか」と不満を漏らす。
原木シイタケの生産量は、事故の影響が甚大だった東日本だけでなく、西日本でも風評被害などによって大幅に落ちている。生産量が減少すると、原木を切り出さなくなって山の手入れがおろそかになり、生産農家に栽培指導を行っている種箘メーカーの技術力も落ちるのではとの見方もある。
林野庁特用林産対策室の吉村洋室長は「原木の生産者が近くに住むことで、山の管理につながっている側面もある。このままの状態が続くのは国にとってもマイナス」と危ぶむ。
森産業の担当者も「業界の規模は小さくても事態は深刻」と訴える。
「観光業などの状況は少しずつ良くなっていくだろうが、シイタケ業界への悪影響はこれから何年も続くだろう。シイタケと種箘、原木、それぞれの生産者が減れば、日本の一つの食文化が失われることにもつながりかねない」
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