http://www.asyura2.com/12/genpatu29/msg/765.html
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<font size='4' color="#00084">脱原発、世界は教訓を学ばないのか。
1995年、兵庫県南部地震が発生し、阪神大震災を起こす。その2年後の1997年、東京電力OL殺人事件が発生する。しかし、この事件はあらゆる面から見て不合理だった。少なくとも犯人であるとされたネパール人のゴビンダ氏は免罪が確定した。しかし、それでもなお被害者である東電上級社員の名誉は回復されていない。この事件のおかしさについては次の記事に述べたのでそちらを読んでいただきたい。
佐藤栄佐久前福島県知事の裁判と二つの事件、日本のエネルギー政策を左右する影
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/155.html
投稿者 taked4700 日時 2009 年 10 月 20 日 06:40:31: 9XFNe/BiX575U
ネット上に幾つかコピーされている様子なので、もし阿修羅掲示板の記事が表示されない場合、「佐藤栄佐久前福島県知事の裁判と二つの事件、日本のエネルギー政策を左右する影」を検索していただければ、どこかのサイトの記事が読めるはずだ。
ともかく、被害者である女性上級社員は1995年の兵庫県南部地震を日本が本格的に地震活動期に入ったと捉え、父親の遺志を継ぎ、原発の危険性を東電社内などで警告していた様子なのだ。そして、そのために徹底的に人格を貶める事件がでっち上げられたということだ。
もし、この事件発生の前に、彼女の警告をきちんと受け入れて原発の安全性がどの程度のものかを検討しておけば、または、この事件の発生後に事件の不合理さをちゃんと明らかにしてその背後にある意思が原発の危険性を無視して原発増設を叫ぶものであることを認識していれば2011年の福島第一原発事故は防げた可能性が高い。
そして、2011年の東日本太平洋沖地震はマグニチュード9を記録し、日本列島全体がいよいよ地震活動期に入ったことを実証して見せた。更に2004年の暮れに起こったスマトラ島沖地震もマグニチュード9.1を記録し、これだけ短期間にマグニチュード9を超える地震が起こったことから地球規模での地震活動期入りを推測する専門家もいる様子だ。少なくとも、アメリカのオバマ政権は脱原発を本格的にやろうとしていることは間違えがない。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/27/West_USA_Nuclear_power_plants_map.png
でアメリカ西部に立地した原子力発電所の地図を見ることができる。ここには10か所の原子力発電所が示されているが、現在でも運転中なのは3か所だけだ。
西部の中でも地震発生確率の高い海に面して造られた原発は4か所で、もともと少数だったが、現在運転しているのは1か所だけだ。既に2か所は廃炉作業中だし、60キロ圏内にサンディエゴ、100キロ圏内にロスアンジェルスがあるSan Onofre原発も、実質的に2012年1月から運転を停止している。
San Onofre原発には3基原子炉があり、1基は既に廃炉作業に入っているが、残りの2基は軽微な放射能漏れがあり、それに関連して"premature wear"が原子炉容器に見つかったため2012年1月以来運転停止中だという。"premature wear"という表現に決まった訳があるのかどうか分からない。一応辞書を探したが見つかっていない。要するにまだ大事に至っていない金属疲労と言う意味のはずだ。廃炉になっている1号炉は1968年に運転開始で1992年に停止している。残りの二つは1983年と1984年に運転開始だ。ちなみに福島第2原子力発電所には4つの原子炉があるが1号炉と2号炉は1982年と84年の運転開始だから、San Onofreの2号機・3号機とほぼ同じ稼働年数と言っていいはずだ。人口稠密地域にあるということ以外に運転停止に関係がありそうなのはCamp Pendletonという海兵隊基地が近隣にあり38000名の家族が暮らしているということだ。軽微な放射能漏れと言ってもガスが漏れたわけではなく、加圧水型原子炉の一次冷却水が二次冷却水に多少入り混じっただけだという。全米で危険な原発の第2位に評価されている。San Onofre原発の運転停止でさすがに対世論工作が巧みだなと感じるのは、事業者が自分で運転停止を決定し、少なくとも今のところ運転再開の動きを見せていないことだ。日本の浜岡原発が首都圏のすぐ西側に立地していて、San Onofre原発とかなり立地条件が似ているが、浜岡原発が東海地震の震源域の真上に立地していて、地面が数メートル跳ね上がったことが過去の地震であったことが確認されているのに、事業者である中部電力が運転再開を表明していることを考えると、アメリカの原子力政策が日本のものよりもずっと事故に対して用心深いものであることが分かる。
アメリカの西海岸に面して立地している原発で現在も稼働中なのはDiablo Canyon原発だけだ。Diablo Canyon は実を言うと活断層の上に建っているとされる。SanAndreas断層のほぼ真上であり、また近くにはHosgri断層があるとされている。これらのことがあるため、運転停止や廃炉を求める運動がかなり盛んにされたが、規制当局は運転禁止に踏み切っていない。原子炉が二つあり、1985年と1986年に運転開始をし、それぞれ2024年と2025年までの運転許可を得ている。
スリーマイル島原発事故が1979年にあり、それ以来アメリカでは一基も新しい原子炉は作られていないとされ、このことと矛盾するように見えるが、1号炉の着工が1968年で、断層などの発見のため完成が遅れたということだ。全米では同様に工事着工がスリーマイル島原発事故より前で、安全性強化のための追加工事のために運転開始が1980年代だという原発がかなりある。追加工事の一つが原子炉水位計で、スリーマイル島原発事故の教訓から、米国では1980年代に全ての加圧水型原子炉に原子炉保有水量を検知する原子炉水位計の設置が義務付けられ、ウェスティングハウス(W)社の原子炉水位計(RVLIS:Reactor Vessel Level Indication System)やコンバッションエンジニアリング(CE)社の加熱熱電対式(HJTC:Heated Junction Thermo−Couple)水位計等が開発・設置された。しかし、日本では追加工事がされた様子はない。実際、関西電力や九州電力が保有している加圧水型原子炉にはいまだに水位計は設置されていない様子なのだ。
つまり、地震頻発国である日本の原発は高い安全性を持っているとよく言われるが、現実には単におだてられているだけで、アメリカで起こったスリーマイル島原発事故の教訓も生かさず、更に1995年の兵庫県南部地震の際に言われた地震活動期入りについてもその教訓を生かさず、そればかりか、当時原発と地震の関係の危うさを懸命に指摘されていたはずの東電上級女性社員の方の抹殺を許してしまったのが日本社会だったのだ。
アメリカは今後本格的に原子炉廃炉を進めるはずだ。既にその準備に入っていることが現在のシェールガスブームから分かる。シェールガスは地下4000メートルとか5000メートル程度のかなり深い地層を水平掘りし、そこへ亀裂を入れて頁岩中に含まれているガスを採掘することになる。油田とかガス田はもともと原油やガスがある程度高圧で溜まっている層へ井戸を掘って採掘するものだが、シェールの場合は頁岩層に薄く含まれているガスを抜き取ることになるので、多くの井戸が数年程度でほとんどガスが出なくなってしまう。つまり、現在、アメリカが近い将来天然ガスの輸出国になるとかはやされているがとてもそんな状態にあるわけではなく、単に水平掘りとか岩盤に水圧で亀裂を入れる技術の習熟と業者や機材を増やすことをやっているにすぎない。すべては、水平掘りも岩盤に亀裂を入れる技術も地熱発電にそのまま生かせるからだ。つまり、今後数年でアメリカは大規模に地熱開発、それも高温岩体発電を開始するはずだ。そして、それにより、中西部で工業を大幅に増やし、それをてこにして東部でも原発から高温岩体発電へ切り替えをするということになるのだろう。
しかし、たとえ脱原発をやっても高レベル核廃棄物の問題は残ったままだ。そして、放射性物質のほとんどが重金属であり、重金属毒性は永遠に消えないことから地層処分をユーラシア大陸とか北アメリカ大陸などの大陸部分で行うことは不可能だ。実際、世界で唯一深地層処分が実際に進行中のオルキルオト処分場はフィンランドの沿岸部にあり、フィンランド自体がユーラシア大陸の一部と言うよりはスカンジナビア半島としてユーラシア大陸とは分離しているからだ。
(* オルキルオト処分場の地図は次のURLで見ることができる。http://spectrum.ieee.org/image/1453961 )
そして、日本にとりこのことが大きな問題だ。もし日本で次の原発事故が起こり、日本の国土のかなりの面積が居住不可能になった場合、そこへ世界中の高レベル核廃棄物を埋めようという世界的な世論が巻き起こることは目に見えているからだ。ひょっとしたら、日本政府自身が経済的な理由により日本国土を世界の核廃棄物処分場として提供すると言い出しかねない。実際、民主党政権内では六ヶ所村の再処理施設で世界の使用済み核燃料の再処理をしようと計画がされたという。
再処理はかってアメリカでもされていた。長崎原発のプルトニウムを製造したハンフォードサイトでは複数の再処理工場が稼働していたことがあり、そのため土壌が高度に汚染され、今でもその除染のために毎年多額の費用が使われている。中には地下水をくみ上げてストロンチウムなどを吸着材で取り除きそれを再度別の地下へ戻すということさえ行われている。このことを考えると、アメリカ当局自身が再処理を今後世界のどこかの国がやることを許容するとは思えない。
ともかく、日本のような地震頻発国、しかも火山国に大規模な核廃棄物処分場を造ることなどできるはずがない。地層処分ではなく陸上での乾式キャスクでの貯蔵にしてもかなり困難だ。放射性はないが重金属である水銀の保管でさえなかなか困難であるとされている。
だから、日本政府はきちんとこういった問題、つまり、原子炉の危険性と核廃棄物の処分のどうしようもなさをちゃんと公的に明らかにし、世界的にこういった問題に対処する会議を開くなり、組織を作るなりをするべきだし、それしか道はない。
なお、日本は地熱資源の世界第3位の保有国だ。アメリカなどは、西部を除いて、地下10キロ程度掘らないと十分な地熱を得ることができないが日本はどこでも5キロ程度で済むということなので、高温岩体発電においても、本来日本は世界をリードすることができるのだ。
少なくともアメリカは1970年代から実質的に脱原発戦略を描いてきているように見える。日本は残念ながらそういった戦略を描くことができなかった。しかし、2011年の福島第一原発事故というとても高価な教訓を生かし、脱原発を進めるしかない。今の日本は多分日本の歴史の中で最も大きな選択を迫られている。アメリカの核戦略に乗せられて国土を放棄するのか、それとも世界の脱原発への動きをリードするのかだ。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1298>>TC:38355, BC:17427
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