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2013年01月12日(土)古賀 茂明
原子力規制委員会における原子力安全規制の検討が急ピッチで進んでいる。規制委員会の下には11の検討委員会が設けられ、2012年内に開催された会議は合計約40回にのぼる。大飯、敦賀、東通の活断層の調査についてはマスコミも大きく取り上げたが、一番肝心な安全基準の骨子案が間もなくまとめられることは取り上げられていない。
自民党は、規制委員会の判断を何よりも優先すると言っている。ということは、このまま、規制委員会が拙速に安全基準を作ってしまえば、それでどんどん原発再稼働が認められてしまう。既にいくつかの兆候がある。
まず、安全基準策定のスケジュールだ。2013年7月までにその運用を開始できるように、遅くとも2013年初めにはその骨子がまとめられる。IAEAも指摘している通り不十分極まりない日本の安全基準を世界最高水準のものに変えなければならないのだが、お手本になるアメリカの安全審査指針は数千ページに及ぶという。委員が数ヵ月でこれをこなすのは無理だ。事務局である原子力規制庁に経産省などから出向してきた原発推進官僚が作る原案が基準となっていくだろう。スケジュールありきのやり方を見直すべきだ。
活断層に関する議論も不安を掻き立てる。日本の安全基準では、活断層の定義は従来5万年前以降に動いたものとされていたものが最近12万年前まで拡大された。規制委員会は、これを40万年前まで拡大する方向だ。しかし、実は、活断層とは概ね180万年前以降に動いたものというのが世界の常識だ。40万年という定義さえ日本の原子力ムラでしか通用しない。アメリカでは、180万年前以降に動いた断層があれば、そこに原発を立地するのは事実上不可能だ。国際標準の180万年という定義を使うと日本の多くの原発が動かせなくなるからそれはしないという配慮をしているとしか思えない。
また、日本では、活断層が原発の原子炉直下にある時は建設不可だが、敷地内の断層でも原子炉建屋直下でなければ、建設可能とされている。原子炉直下の断層が動けば、原子炉本体が傾くが、そうでなければ傾かないということなのだが、浜岡などの断層では、過去に断層がずれた時に地盤全体が傾いて隆起したことが分かっている。そのようなことが起これば原子炉が倒れる可能性がある。アメリカの安全基準では、敷地内あるいはその近傍でも断層があればダメだ。断層だけでなく、急峻な斜面があるという場合も建設は事実上認められない。となれば、日本の多くの原発はそもそも建設不可だったということだ。
さらに、火災に対する基準も国際標準にするとおそらく原発設備全体を作り直さなければならない例が出てくるはずだが、それほど厳しい改定が行われる気配はない。
班目春樹原子力安全委員長は、日本では、海外で安全基準を厳しくする動きがあると、それをどのように適用するかではなく、どうやったら適用しなくてすむかをみんなで考えていたと国会事故調で証言した。今回の安全基準作りも、結果的に同じになる可能性がある。
活断層調査の結果、敦賀が再稼働不可、東通も敷地内断層が判明し、かなりの耐震補強が必要だ。これを見ると規制委員会が安全優先の組織のように見える。しかし、大飯原発には活断層がある可能性が高いのに、まだグレーだとして止めようとしない。
結局、7月の参議院選後には、いくつかの原発の再稼働不許可と抱き合わせで他の原発の再稼働に舵を切るのか。自民党政権誕生でそんな不安が募るのである。
『週刊現代』2013年1月19日号より
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