http://www.asyura2.com/12/genpatu29/msg/665.html
Tweet |
アメリカ西部の原発は2か所、合計5基しか動いていない
アメリカにある原子力発電所の一覧が次のリンクで見れる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
全米で現在約100基の原子炉が運転中とされるが、実際には運転停止中と言うものもある。とても100基を一つ一つチェックできないので、全米の中で地震が多い西部にあるものをチェックしてみた。
アメリカ西部の原子炉地図が次のリンクにある。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/27/West_USA_Nuclear_power_plants_map.png
この図には10か所の原子力発電所が載っている。このうち、現在でも稼働している原子力発電所は二か所だけだ。そして、この動いている原発には稼働が許されているそれなりの理由があるように見える。
以下、まず、未だに稼働している原発の特徴を述べ、次に廃炉や停止中になっている原子炉について、その事情を今までに分かった範囲で述べることにする。
2013年当初の時点で稼働中の原発は、Diablo Canyon と Palo Verde の二つだ。
Diablo Canyon は実を言うと活断層の上に建っているとされる。SanAndreas断層のほぼ真上であり、また近くにはHosgri断層があるとされている。これらのことがあるため、運転停止や廃炉を求める運動がかなり盛んにされたが、規制当局は運転禁止に踏み切っていない。原子炉が二つあり、1985年と1986年に運転開始をし、それぞれ2024年と2025年までの運転許可を得ている。スリーマイル島原発事故が1979年にあり、それ以来アメリカでは一基も新しい原子炉は作られていないとされ、このことと矛盾するように見えるが、1号炉の着工が1968年で、断層などの発見のため完成が遅れたということだ。全米では同様に工事着工がスリーマイル島原発事故より前で、安全性強化のための追加工事のために運転開始が1980年代だという原発がかなりある。
Palo Verde がもう一つの稼働中の原発で、3基ある原子炉は1985年から87年に運転開始をし、2045年から47年に運転許可が切れる。ただし、計画では2027年には運転停止になるという。この原発は世界でただ一つという特徴がある。それは砂漠の中に建ち、自前の水源をもっていないということだ。近隣都市の下水を冷却に使っている。
Diablo Canyonが未だに運転を続けているのは日本に対する意思表示だろう。アメリカにも活断層の近くに原発を建設してきていて、現在でも運転を止めていないという。
Palo Verdeは日本と言うよりもヨルダン政府向けのパフォーマンスに見える。つまり、ヨルダンと日本が原子力協定を結び、ヨルダン国内の砂漠地帯へ原発建設を計画していたのだ。その計画も近く都市からの下水を冷却に使うというものだった。
現在廃炉作業に入っているわけではないのに停止されている原発もある。San Onofreだ。3基原子炉があり、1基は既に廃炉作業に入っているが、残りの2基は軽微な放射能漏れがあり、それに関連して"premature wear"が原子炉容器に見つかったため2012年1月以来運転停止中だという。"premature wear"という表現に決まった訳があるのかどうか分からない。一応辞書を探したが見つかっていない。要するにまだ大事に至っていない金属疲労と言う意味のはずだ。廃炉になっているのは1968年に運転開始で1992年に停止している。残りの二つは1983年と1984年に運転開始だ。ちなみに福島第2原子力発電所には4つの原子炉があるが1号炉と2号炉は1982年と84年の運転開始だから、San Onofreの2号機・3号機とほぼ同じ稼働年数と言っていいはずだ。運転停止に関係がありそうなのはCamp Pendletonという海兵隊基地が近隣にあり38000名の家族が暮らしているということだ。軽微な放射能漏れと言ってもガスが漏れたわけではなく、加圧水型原子炉の一次冷却水が二次冷却水に多少入り混じっただけだという。全米で危険な原発の第2位に評価されている。( http://www.thedailybeast.com/articles/2011/03/16/nuclear-power-plants-ranking-americas-most-vulnerable.html ) なお、運転停止の決定には福島第一原発事故での被災者の方の訴えも影響した様子だ。Over 200 people rallied in San Onofre State Beach to listen to several speakers, including two Japanese residents who lived through the Fukushima meltdowns ( http://en.wikipedia.org/wiki/San_Onofre_Nuclear_Generating_Station )
のこる原発は7つあるが、全て既に廃炉作業中だ。
カリフォルニア州の上に位置するワシントン州の原発であるHanford は長崎原発のプルトニウム製造をした原発だ。戦後も発電を続けたが、多くの原子炉が1964年から1971年までに閉鎖され、最後の原子炉は1987年に閉鎖されている。しかし、後始末は全くうまく行っていず、20万立方メートルを超える高レベル廃棄物はその三分の一が容器から漏れだして地下水などを汚染しているという。2040年までに何とかする予定だという。
アメリカの西部に位置する原子炉の中で最も東側にあるFort St.Vrain は高温ガス炉でコロラド州唯一の原発だ。1977年から1992年まで運転していた。様々な技術上の問題があり、改良するためにはコストがかかりすぎるということで閉鎖が決定された。現在は火力発電所となっている。
Trojanはオレゴン州に立地する唯一の商業用原発で、1976年から1992年の稼働。たびたび運転停止の住民投票がされたがすべて否決された。しかし、結局放射能漏れをきっかけとした安全性の問題で事業者自身が閉鎖を決定した。
Humboldt Bayは1963年から1976年の稼働。未発見の活断層があるということで運転停止がされ、その後のスリーマイル島原発事故により閉鎖が決定された。
Rancho Secoは1975年から1989年の稼働。2008年までの運転許可があったが1989年に住民投票で閉鎖が決定された。この背景には1978年に起こった軽微な事故が事故の展開によっては深刻なものになるものであったと規制当局に評価されたことがあったようだ。ともかく、住民投票によって閉鎖された原発がアメリカにもあるということは、日本の住民投票自体を議会が受け入れない状況と比べると、アメリカのある意味用心深さと言うか健全性と言うか、そういったものがうかがえる。
Vallecltosは1957年から1963年の稼働。米国内で民間所有の最初の原発だという。他の原発の技術研修用にも活用された。今でも研究用の小さな原子炉が動いている。
さて、翻って日本の状況を見るとどうだろうか。アメリカ西部の数倍以上の頻度で地震が起こっているこの国土にアメリカの20倍以上の密度で原子炉があり、一応ほとんどが停止されているとはいえ、再稼働を望む声が今どんどん大きくなりつつある。しかし、アメリカは地震の頻発地域ではほとんど原発を動かしていない。稼働中の原子炉があるのはアメリカの東部や中部であり、そこでは地震はほとんど起こっていない。アメリカでも原発が動いているというイメージがあるが、実態は全く異なっていることを理解していただきたいと思う。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1288>>TC:38323, BC:16966
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素29掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。