http://www.asyura2.com/12/genpatu29/msg/646.html
Tweet |
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1106/09/news014.html
日本の原子力政策を訴える――法曹家の卵が原発の行政訴訟を起こした理由 (1/4)
福島第一原発の事故後、国の原子力政策にストップをかけようと行政訴訟を行った江藤貴紀氏。東京大学法科大学院を卒業し、司法家への道を歩み始めたばかりの江藤氏は、どのような思いから訴訟するに至ったのだろうか。
[堀内彰宏,Business Media 誠]
放射性物質の飛散や海洋汚染で、福島県以外にも大きな影響を与えている福島第一原発の事故。その長期化は避けられなくなっているが、足元の電力供給状況を鑑みて、事故後も多くの原子力発電所では運転が続けられている。
政府は新成長戦略実現会議でエネルギー戦略の見直し議論を行っているが、行政訴訟という方向からも原子力政策にストップをかけようという動きが生まれている。福島第一原発などの原子炉設置許可が法律の要求する最低基準を満たしていたかどうかを問う行政訴訟である。
事故後いち早く行政訴訟を起こしたのは江藤貴紀氏。江藤氏は昨年3月に東京大学法科大学院を卒業。5月に司法浪人として2度目の新司法試験の受験を控えている中、4月7日に訴状を提出。試験を終えた後の6月6日に日本外国特派員協会で会見を行った。江藤氏はどのような思いから訴訟するに至り、裁判ではどのようなことを根拠にしようとしているのだろうか。
江藤貴紀氏
政府の対応とメディア報道に不満
江藤 私は福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所、茨城県の東海(第二)発電所の3カ所の原子炉設置許可が違法であると主張して、国を訴えています。日本外国特派員協会で記者会見をしたいと思ったのは、日本の一般市民の中にも政府の誤った政策を弾劾するだけでなく、正当な抗議を行おうとする人間がいることを知っていただきたかったからです。
最初に、今回の訴訟を起こした私の動機について説明します。この大部分は、事故以降の日本政府の対応とマスメディアの報道についての不満に対してのものです。その次に、訴訟上の法律的な主張と裁判が日本に与える影響について、簡単に考えを述べさせていただきます。そして最後にみなさんと意見交換をしたいと思います。
3月11日以降の福島第一原発の事故が起きるまで、実は私は国の原子力発電政策に反対の立場をとってはいませんでした。もちろん、旧ソ連で起きたチェルノブイリ原子力発電所の重大な事故については知っていました。
しかし、それは「当時のソビエトの秘密主義的な政治体制のもとで、政策が十分に吟味されずに決定されたことが原因である」と考えていました。「日本のような科学技術水準が高く、政治においてもアカウンタビリティ(説明責任)が課される、いわゆるデモクラシー(民主制)の体制を持っている国では、チェルノブイリのような深刻な事態は生じるわけがない」と考えていました。
恐らくですが、ここでお集まりのみなさんや多くの日本人と同じように、今年の3月11日までは日本における原子力発電の安全性を信じていたわけです。これは多少ナイーブな立場だったと言えるかもしれません。
確かに、日本国内でも原子力発電の危険性に警鐘を鳴らす方々はおられました。しかし、彼らの意見は私にとってあまり傾聴に値するものとは思えませんでした。なぜなら多くの場合、彼らは科学的根拠に基づいて意見を発しているというよりは、政治的なポジショントークとして原子力発電の危険性を強調してばかりいるように私には思えたからです。
言い換えると、原子力発電に反対する活動家の多くは、政府与党の政策であれば何であっても反対ばかり唱えている人々だったのです。彼らの多くは、1955年以降の日本政治における日本社会党や日本共産党の支持者に典型的な、政治的に言えば少数的グループでした。そして、原発反対派の多くは「科学的にリーズナブル(合理的)な意見を述べたい」というより、「政治的な活動をしたい」と思っていた。その人々は政府与党の政策を批判することが目的だったので、とにかくどんな理由でもいいから批判の根拠を探し出して、「政府の政策が間違っている」と述べる傾向があったと私は考えていました。
彼ら、昔から原子力発電の反対を唱えてきた人々によると、日米安全保障条約の締結と自衛隊の存在は憲法違反ですし、国連のPKO活動への自衛隊派遣もまた憲法違反ということですし、市場における規制の緩和は常に弱者を切り捨てる策で、国際経済における農業貿易の自由化は貧しい農村の軽視であって、消費税の導入はアッパークラスの優遇にほかならないので、許さないと結論付けられてきました。「このようにいつも現実性を無視して政治的意見を主張している人々の意見は、耳を傾ける価値のないものだ」と私は考えていたのです。
しかし残念なことに、「原子力発電の危険性については、彼ら政治的少数派の見解の方が正しかった」ということが3月11日以降の事故によって判明しました。日本における原子力発電の技術と人的な管理体制は稚拙なものでした。政治的に透明な過程で決定されてきたはずの原子力政策も、実のところ多くの利害関係者によるさかんなロビー活動でねじまげられてきていました。また、それを批判するべき報道機関の報道も、ふんだんに振りまかれるロビー費用によって正常に機能していないし、今もそうであることが判明しました。
国内の報道機関が事故の真実と事態の分析を怠ってきた
事故前と同様に事故後も、政府のアカウンタビリティは果たされませんでした。政府の説明は二転三転していますし、いくつも矛盾した情報が発表されています。例えば、事故から2カ月以上経ってようやく、政府と東京電力はメルトダウンの可能性を正式に認めました。
しかし、実を言うと政府内部でも原子力安全・保安院のスポークスマンである中村幸一郎審議官という方は、3月12日に「メルトダウンの可能性がある」とおっしゃっています(参照リンク)。しかし、その翌日に彼はスポークスマンの職を解かれました。そして、政府もメルトダウンの可能性を否定するようになりました。
彼に代わって原子力安全・保安院のスポークスマンになったのは西山英彦さんです。西山さんはもともと経済産業省の政府高官として、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)締結の交渉に当たっていた人です。そして、西山さんは私にとって東京大学法学部の先輩でもあり、その後、ハーバード・ロー・スクールを卒業しているすばらしいキャリアの持ち主です。何が言いたいかと申しますと、彼は原子力発電についてまったくの素人ということです。
それにも増して私にとって衝撃的だったのは、国内の報道機関が事故の真実とあり得る事態の合理的な分析を怠ってきたことです。海外の報道では福島第一原発の事故がリビアのカダフィ大佐(の動向)とトップニュースを競っていた時に、日本のテレビではいつもと変わらないプログラムであまり興味のわかない娯楽番組が放送されていました。また、国営のNHKラジオでは選抜高校野球の放送を続けていました。
これは福島第一原発事故に匹敵する大規模な事件が起きた時のメディアの報道とはまったく異なるものです。例えば、湾岸戦争や阪神・淡路大震災、オウム真理教の地下鉄サリンテロ、米国における9・11テロ、米国のアフガン攻撃などの時は、テレビでも特集番組を大量に流していました。しかし今回、彼らは日常通りのテレビプログラムを流し続けることによって、事故についての沈黙を守ったのです。また、国内の新聞も事故後長い間、政府と東京電力の発表をそのまま伝えるばかりで、出てくる情報に対する批判的な記事はほとんどゼロでした。
民間メディアが日本国民にとってあまり役に立たなかった原因は、スポンサーからの圧力です。事故後の大手放送局におけるほとんどの番組では、ACジャパンのCMばかり流れていましたが、この団体は東京電力やほかの電力会社から大量の出資を受けています。そして、日本の大規模な新聞社はテレビ局と系列会社の関係にあるので、テレビのスポンサーの影響をとても気にします。
「日本で東京電力が、米国でのルパート・マードック※氏並みに強いメディアへの影響力を持っている」ということは、今回の事故で日本のメディアが教えてくれた真実の1つだと思っています。報道機関が時として真実の報道よりもスポンサーを重視することはある程度、世界的に見られる性向ですが、ここまでひどいとは思っていませんでした。
※ルパート・マードック……メディア・コングロマリットのニューズ・コーポレーションを所有する世界的なメディア王。
また、日本政府が中国政府に与えた教訓もあります。新華社通信のエッセイによると、「表現の自由が保障された民主主義国家でも巧みな情報統制を行えば、国民の行動を政府がコントロールすることは容易であることが今回の事故に対する日本政府の対応で明らかになった」そうです。これも本当のことだと思います。なぜなら、市民はこのようなひどい扱いを政府から受けて、虐げられていたのに、羊のようにおとなしくしており、暴動も起こさず、私が4月7日に訴訟を起こすまでは、政府に対する正当な権利行使としての訴訟を誰も起こさなかったからです※。
※福島第一原発事故で10万円の慰謝料を求めて東京電力を3月28日に提訴した人がいることは、5月に明らかになった(参照リンク)。
そのため、なるべく正確な情報を得るにはインターネットを使って、海外の情報に触れるしかありませんでした。例えば、政府も気象庁も国内メディアも学者も、放射性物質の拡散予測についてデータを出してくれませんでした。そのため、私は自分たちの身を守るためにドイツ気象庁のWebサイトに掲載されている日本周辺での放射性物質の拡散予測にアクセスしていました。この予測シミュレーションはそう複雑なものではないと思います。
実のところ、日本政府もSPEEDIという放射性物質の拡散予測を持っていたのですが、その情報が公開されるようになったのは5月になってからです。「それまで情報を公表しなかったのは、大まかな予測しかできていなかったからだ」というのが政府の説明です。大まかな予想でも構いませんから、私としては情報を公表してほしかったです。
また、海外の大手新聞、ニューヨーク・タイムズかワシントン・ポストのWebサイトと記憶していますが、とても早くからメルトダウンの可能性を報じていました。
以上のことから私が得た結論は、「政府の原子力政策は原子炉設置の段階から危険を伴うもので、誤りでしたし、また事故後の対応においても、日本国政府は十分に国民を保護してくれない」ということです。それなら私は沈黙を守り続けていくのではなく、裁判で国の誤りを主張するべきだと考えました。
これは自分自身と、自分の家族の身を守るためですし、またほかの日本国民の身を守ることにも役立つと思います。そして、言うまでもないことですが、今回の福島第一原発の事故は世界中の方々にも多大な迷惑をかけています。
従って私は、日本国政府の原子力政策を今年の3月11日まで支持してきた人間として、日本の原子力発電政策を止める道義的な責任を世界中のすべての人に負っていると思います。これが私が今回訴訟を起こした背景事情です。
福島第一原子力発電所3号機(出典:東京電力)
訴訟のポイントは2つ
江藤 今回の訴訟で私が主張する法律上のポイントは、大きく分けて2つあります。
1つ目は「国の原子炉設置許可が法律の要求する最低基準を満たしていたかどうか」です。今までこの点については、日本では何十回も訴訟が起きましたが、最高裁判所では「国の許可は原子力安全委員会の専門的な知識に基づいたものである。従って合理的な根拠があるので合法である」という立場を常にとってきました。
しかし、3月11日の事故によって、「国の許可は十分に合理的な根拠を持ったものだ」という前提はくつがえりました。また、浜岡原子力発電所の原子炉も、菅直人首相が運転の再開停止を要請するほど危険なものだったと判明しています。そうすると、国の安全審査が十分であったという根拠が崩されているので、裁判所はこれまでの判例と違った判断を下す可能性も高いと考えます。原子炉の安全性について誤った判断を繰り返してきた日本政府が安全性を審査する原子炉なんて、きっと危険なものだろうと推定される、というのが私の主張です。
2つ目は「原子炉設置許可についての法律が憲法に違反していないかどうか」です。福島第一原発のように原子炉事故が起こると、近付くことや居住することが長期間、事実上不可能になります。すると、日本国憲法第22条が保障する居住、移転の自由が侵されることになります。そのため、「憲法上保障された居住、移転の自由を侵害する原因の施設である原子炉の設置は憲法に違反している」と言えるのではないか、というのが私の考えです。
この訴訟の帰結としては、もし私が勝訴すればですが、日本におけるすべての原子力発電所は存続が困難になると思います。以上に述べた論理を使えば、国内すべての原発は訴訟で廃止される標的となりますし、また原発の新設も商業ベースでは事実上不可能になると思います。合理的経済人ならば、裁判で設置が違法と判断される可能性の高い施設を建設するプログラムに費用を投資することはないと思うからです。
裁判は6月23日に東京地方裁判所でスタートします。興味のある方はぜひお越しください。国側の行動も明らかになり、何らかの有意義な情報が得られると考えます。
小出裕章さんや広瀬隆さんの助力をあおぎたい
――今回の訴訟は単独で行われているのでしょうか、それとも何らかの団体の背景があるのでしょうか。
江藤 何らかの団体の背景があるかということですが、まったくございません。
――原発の専門家の助言などは得ているのでしょうか。
江藤 この点はある程度、目途があります。私は静岡県立大学で国際政治学者として教鞭をとっておられた前坂俊之さんと知り合いで、前坂さんは原発関係の技術者、例えば(京大助教の)小出裕章さん、(作家の)広瀬隆さんといった、今まで原発訴訟でたびたび登場してこられた方にインタビューしています。そのつてで連絡をとっていただいていると信じています。
また、私の妻が精神科医をしているので、原発事故が人々のメンタルヘルスに与える影響という面から、何らかのサポーティブな意見がいただけると期待しています。
――訴訟費用の資金源はどのようになっていますか。
江藤 資金源は特にありません。日本での訴訟は、非常に値段が安くなっています。弁護士を使わない限り、原子炉を1基止めるために私が裁判所に払わないといけないお金は1万3000円です。
――1人で起こされた訴訟ということですが、今後、原発事故の被害者を原告人に入れていくおつもりや、その準備はどのようにされているのでしょうか。
江藤 原発事故の被害者の方を原告に加えるつもりはございます。ただ、「1人おられれば十分」と考えています。なぜなら、損害賠償請求などと異なり、原告としての資格が得られるかどうかというのは、とりあえずその人が「被害を受けた」と言えたら、こういう訴訟では十分なので、1000〜2000人という大規模な集団訴訟を起こす必要はないからです。
――日本の行政訴訟には非常に閉鎖的なところがあり、「訴えの利益があなたにあるか」という問題で門前払いされる可能性もあると思うのですが、その点についてどのようにお考えですか。
江藤 この点に関しては、分けて質問に答えることが有意義だと思います。
福島第一原発は廃炉になっていることがもう決定しているので、ここについては「判決の必要性がなし」と裁判所から蹴られる可能性も高いです。しかし、福島第二原発の場合、まだ廃炉が決定していないので、「判決の必要がある」と裁判所が認める可能性はより高くなります。
そして、茨城県の東海(第二)発電所は廃炉という話は全然出ていませんし、運営主体も東京電力ではなく、日本原子力発電という別の会社です。そのため、東海(第二)発電所については「判決の必要性がない」と裁判所が言うことは決してないと思っています。
さらに付け加えると、福島第一原発や福島第二原発について、「原子炉設置許可の無効確認の判決を下す必要性がない」と裁判所が言ってきた場合は、訴訟の内容を損害賠償請求に変更するつもりです。この場合は「福島第一原発の事故で受けた精神的ダメージを保障しろ」という話になると思いますが、いずれにせよ裁判所は原発の設置が合法的だったかどうかについての判断に踏み込まないといけなくなります。
東海発電所(出典:日本原子力発電)
――こういう行政訴訟が仮に進展して、良い結果が出そうになっても時間がかかると思います。1票の格差是正についての裁判も、最初は越山康さんという弁護士が1人で始めて、最高裁で違憲状態の判決が出るまで何十年もかかりました(参照リンク)。そういう風に長い訴訟となることを覚悟していますか。
江藤 この点に関しては、あまり心配していません。なぜなら、最近になって日本の行政訴訟の判決は非常に早くなってきているからです。1票の格差の訴訟に関しても、2009年8月の衆議院議員選挙についての最高裁の判決は2011年3月に下っているので、2〜3年でかたが付くようになっています。また、これは余談ですが、2010年の参議院議員選挙の1票の格差が憲法違反という訴訟は私も原告をやっています。
――訴訟では、「国が原子炉を許可する過程が違法であり、よって無効である」と主張されるというお話しでした。福島第一原発の事故は津波の予防策をとっていなかったから起きたわけですが、そこを根拠とされるのでしょうか。
江藤 この点については2段構えで主張するつもりです。まず、「福島第一原発の原子炉設置許可に当たって、津波の可能性も当然考慮すべきであった、と法が要求している」というのが、第一の主張です。
そして、「法律レベルでは津波の可能性を原子炉設置許可に当たって考慮する必要がないとしても、原子炉というのは非常に危険なものであり、爆発すれば我々の居住、移転の自由が脅かされるので、もしそんな津波の危険性を考慮しないで原子炉に設置許可を出せるような法律があったとしたら、それは憲法違反の法律だ」というのが私の第二の主張です。
原子炉設置許可の過程については、今までは「原子炉を設置する上での基本的な構造についてさえ審査すればいい」というのが行政のスタンスで、裁判所の判例にもあります。そのため私は、「もしそういう法律レベルの解釈が正しいものなら、そんな法律は憲法違反だ。よって無効だ」ということです。
――原発に関しては過去にいくつも訴訟が起きていますし、専門的な知識をお持ちの方もたくさんいると思いますが、そうした方々からのサポートは要請しないのでしょうか。
江藤 最初の質問でお答えしたように、何人かの科学者の方からの助力はいただきたいと考えています。また、行政訴訟に大変詳しい神戸大学名誉教授の阿部泰隆さんという弁護士の方がいらっしゃるのですが、ひょっとしたら彼の手助けを受けるかもしれないとも考えています。
――先ほどコストの心配はあまりないとおっしゃいましたが、時間の大半をこの訴訟につぎ込まないといけないという中で、サポートチームのようなものは考えているのでしょうか。
江藤 時間やお金がそこまでかかるとは思っていません。私としては、今年司法試験に通っていたのなら、普通に弁護士をして、自分でお金を稼ぎながら訴訟を続けていくつもりです。
――訴訟の被告は誰になるのでしょうか。
江藤 被告は国になります。ただ、そこで争われるのは原子力安全・保安院の判断の妥当性です。
――裁判が始まるとおっしゃった6月23日には具体的に何が行われるのでしょうか。
江藤 6月23日には、口頭弁論期日というものがあります。裁判官の面前で、私の側が提出した訴状に基づいて意見を述べて、被告の国の側もやはり前もって準備した答弁書に沿って意見を述べてくるということになります。
――福島第一原発の事故が起きた時、何千人もの住民が突然に家を追われ、仕事をなくしました。政府は強制避難させたわけですが、これに関してどのようにお思いですか。また、訴訟でそういうことは何がしかの議論になりますか。
江藤 今回の訴訟に関して、その点は特にポイントにはならないと考えます。政府が福島の方々を住居から強制退避させたことについてどう考えるかということですが、この点に関して私は政府を非難しません。むしろ、避難させることが政府の責務だと思っています。なぜなら、所有している情報をもとに、国民の最低限の生命、健康を守るということは政府の義務と考えるからです。
――相手が巨大であるということについてどのようにお考えですか。
江藤 原子力発電に関しては、世論の風向きが3・11以降まったく変わっていて、世界は以前の通りではないと思っています。であるので、以前ほど強い相手と戦っているとは思いません。
――東京電力がまったく機能しなくなった場合、日本のためにならないのではないかと思うのですが、公益の問題についてどのようにお考えですか。
江藤 この点に関しては私もそう思います。東京電力は電気事業者として、関東地方の住民に電気を供給するべき義務を負っているので、原子力発電より弊害が少ない方法、例えば太陽光発電なり、天然ガスによる火力発電なり、風力発電なり、何がいいか分かりませんが、ほかの方法で電気を供給し続けていただきたいと思います。
――過去の原発についての訴訟の判例などは研究されているのでしょうか。
江藤 一通り代表的なものは読んでいると思います。例えば、伊方原発訴訟やもんじゅ訴訟、福島第2原発1号機設置許可処分取消訴訟の最高裁判例などです。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素29掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。