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http://digital.asahi.com/articles/OSK201301020115.html
原発給付金事業、22年間独占 経産省OB天下り法人
【大谷聡、白木琢歩】原発近くの住民に現金を支給する「原子力立地給付金」制度で、経済産業省OBが天下っている財団法人「電源地域振興センター」(東京)が、給付金の交付事業を22年間独占して自治体から請け負ってきたことが朝日新聞の調べでわかった。センターは交付実務を電力会社に再委託し、2010年度で約3800万円の差益をあげ、OBらが役員報酬を得ている。
給付金は、国が電気料金を原資に原子力関連施設の立地自治体と周辺自治体に払う「電源三法交付金」の一部。朝日新聞が関係する14道県に取材したところ、いずれの自治体も住民への交付事業をセンターに請け負わせてきた。12年度から事業者の決定を公募に切り替えたが、14道県とも応募したのはセンターだけだったという。
センターは、事業の計画作りや道県への実績報告などを除き、給付額の計算や払い込みなどの交付事務を電力会社に再委託している。自治体から受け取る補助金と、センターが負担する事業費の差額は、10年度決算で約3800万円だった。理事長は、1990年の設立から4代続けて経産省(旧通産省)OBが就任し、現職の新欣樹(あたらしきんじゅ)理事長(09年7月就任)は元中小企業庁長官。公表資料によると、理事長は常勤で年収1658万円と規定されている。
会長は、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)が務めている。非常勤の理事には電力会社や原発メーカーの役員が名を連ね、46人の職員のうち15人が電力会社からの出向だ。
経産省によると、81年度の制度創設とともに「(交付事業を請け負うのは)原発に資する事業をする財団・社団法人に限る」とする規則がつくられた。旧自治省から「私企業である電力会社が公金を扱うのは地方自治法に抵触する恐れがある」と指摘されたのが理由という。当初は別の財団法人が事業を請け負っていたが、国は90年のセンター設立時に、事業者をセンターに指定する通達を出した。
05年に通達が廃止され、請負事業者を限定する規則も11年9月に改められた。センターによると、理事長職も12年4月から一般公募に変更。新氏がいったん理事長を辞任して応募し、複数の候補の中から、再び選ばれたという。
センターは朝日新聞の取材に対し、「国の指導の下、12年度から関係道県の判断で、広く一般に公募され実施事業者が選択される仕組みに変更された。その結果としてセンターが事業を実施している」と文書で回答した。
■介在、必要か
《経産省電力システム改革専門委員会委員の八田達夫・学習院大特別客員教授の話》 古くからある典型的な天下りの構図だ。私企業が公金を扱うことは一般的になってきており、そもそもセンターの介在が必要なのか疑問だ。仮にセンターが関与するとしても、交付金を出す経産省からそこに幹部が天下りをしているのは良くない。ポストを守るために制度自体を存続させるという流れをつくってしまう。
◇
〈原子力立地給付金〉 原子力関連施設の立地自治体やその周辺自治体の住民や企業の電気料金を事実上割り引く趣旨で、銀行振り込みや郵便為替で直接現金を支給する。家庭向けの対象は103万件で、金額は原発の発電能力などで決まる。2011年度実績では契約1件あたり年間3万6千〜2172円が支払われた。朝日新聞の取材で、東京電力福島第一原発事故を境に辞退件数が1.8倍に増えたことが明らかになった。
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