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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013010102000098.html
2013年1月1日 東京新聞 朝刊
原発や核燃料サイクル施設がある二十三の立地自治体が、本来は一般財源で賄うはずの教育や施設の修繕費など不可欠な住民サービスに、計二百七十八億円の原発マネー(電源立地地域対策交付金)を注ぎ込んでいたことが本紙の調査で分かった。過去に原発マネーで建てた施設の維持管理費が厳しい財政を圧迫する例も多い。原発マネーに頼らない体質への転換が求められる。
本紙は、原発のある二十二の自治体と青森県六ケ所村を対象に、交付金の使途を二〇一一年度決算(茨城県東海村のみ一〇年度)で調べた。交付金は原発の建設前から支払われ運転開始後は発電実績などに応じて支給額が決まる。いわば業績で大きく変動する「ボーナス」で、これに頼った財政運営は危うい。
調査の結果、交付金の大半は、保育園や消防署の人件費、道路や施設の修繕費など住民サービスを維持するのに不可欠な分野に使われていた。自己負担の予防接種を無料化するなど特別なサービスはわずかだった。
佐賀県玄海町の例では、保育所の運営やごみ収集などの事業費計約十六億四千万円を交付金から充当。この額は一般会計歳出の約23%にも達する。交付金ではなく町税収入で賄おうとすれば、税収を一・五倍に増やす必要がある。町の担当者は「交付金が減ったら、その時に考えないといけないが、財政規模はかなり縮小しないといけない」と話した。
過去に原発マネーで建てた施設の維持管理費が、税収などの一般財源を目減りさせている事例も多い。
福井県敦賀市は交付金約二十四億円などを使い温泉施設を建設。十年連続赤字で、一一年度は五千七百五十一万円を一般財源から持ち出した。同様の施設はほかにもあるが、市の財政担当者は「集計していないので分からない」という。他の自治体にも、一般財源を圧迫する交付金関連施設の実情を尋ねたが、実情を把握していない自治体がほとんどだ。
交付金の使途をめぐっては、所管する経済産業省資源エネルギー庁が、原発誘致をしやすくするため、自治体が使いやすいように制限を緩くしていった経緯がある。その分、無駄な箱物が乱立する事態は減ったが、危険な財政運営を見えにくくしている側面もある。
電源立地地域対策交付金 原発などが立つ周辺自治体に立地対策のために国から支払われる交付金。従来は学校や体育館など公共施設の建設に使途が限られていたが、今では医療、福祉などのソフト事業にも使えるなど、ほぼ自治体の裁量に任されている。交付金の財源は電源開発促進税で、電気料金に上乗せされる形で消費者が負担している。
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