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「再稼働は皆さんが思うほど簡単じゃない」 原子力規制委・田中委員長に聞く (東洋経済オンライン)
http://www.asyura2.com/12/genpatu29/msg/513.html
投稿者 ナルト大橋 日時 2012 年 12 月 30 日 11:53:46: YeIY2bStqQR0.
 

http://toyokeizai.net/articles/-/12264

中村 稔 :東洋経済 記者

2012年12月22日

 9月19日の発足から約3カ月が経った原子力規制委員会(規制委)。放射性物質拡散シミュレーションの公表で何度も訂正する失態を演じ、能力不足との批判を浴びた一方、原発敷地内の断層調査では「活断層である可能性が高い」との判断を行い、かつての規制当局との違いを印象づけている。今後の焦点は、原発の再稼働のための新たな安全基準をどのように策定していくのか、世界最高水準の安全性を本当に確立できるのか。田中俊一委員長に単独インタビューした。

[大飯原発の判断は敦賀原発とは違う]

――田中委員長は就任時から、日本の原子力規制をつねに世界で最も厳しいレベルに維持し、安全性が「グレー」の場合には、より安全側に立つとのスタンスを明らかにしている。しかし、現在3、4号機が電力需給逼迫を理由とした"政治判断"で国内唯一稼働を続けている関西電力の大飯原発に関して、11月の規制委による断層調査では「重要施設直下の断層は活断層を考えても矛盾はない」としながらも、運転停止を求めようとしない。調査した有識者の中にも即時運転停止を主張する人もいるが、規制委としてなぜそうしないのか。

 科学技術的にデータを出して「グレー」であれば安全側に立つという判断もあろうが、大飯の場合は調査した専門家の間で、活断層であるという意見とそうではないという意見で分かれた。活断層だと言いたい人は、どうであってもずっと活断層だと言いたがる。しかし、それは科学とは違うから、私はもう少し調べてくださいと言った。それで今、早急に調べようとしている。

 単なる不十分なデータを基に白黒の決着をつけてよい、という簡単な事柄ではない。敦賀原発のように(活断層の可能性が高いということで)意見が明らかに一致すれば、その場で私も感想を述べたように「現段階では(再稼働は)難しい」となるわけで、それぐらい(意見を)明確にしてほしい。

 大飯はそうした判断ができないということだ。山の上のトレンチを掘ったらF-6断層(活断層と疑われていた断層)の場所とはずれていたし、海側に地滑りしたのではという説もある。その可能性を強く指摘している岡田篤正教授(立命館大学)は日本の変動地形学で草分け的な方だ。だからこそ、きちんと明らかにすべきだと考えた。明らかになった時点で(運転停止要求を)やればいい。

 それに、大飯原発に今、差し迫った危険があるかについては、そうではない。ストレステストや政府の判断を鵜呑みにしているわけではなく、仮に(断層の直上にある)冷却用取水配管が地震で壊れたとしても、どれくらい冷却できるかなどは把握している。

[大間や六ヶ所村を含め下北半島全域は断層調査の必要あり]

――大飯、敦賀、東通の3件の規制委の断層調査により、電力会社がこれまで行ってきた独自調査の信頼性が失墜した。規制委の断層調査はもんじゅを含めて6カ所に限られているが、ほかにも疑問視されている原発があり、調査対象を拡大すべきではないか。

 今調査対象となっている6か所は、旧原子力安全・保安院時代に専門家が活断層の存在や地震評価で疑問を指摘していた場所であり、疑問のないところまで調査する必要はないと私は思う。

 ただ、下北半島全域については12月20日(東通原発の評価会合)の議論でも出ていたし、私も調べる必要があると思っている。今回の東通に加え、大間や中間貯蔵施設や六ヶ所もあるし、それぞれに調べたデータや海側の大陸棚外縁断層、津軽海峡の断層の問題も含めて調べる必要性はあると思っている。

――その他にも島根や柏崎刈羽、浜岡なども懸念が強い。

 島根は敷地内の断層ではないが、今、島崎委員会(規制委委員長代理の島崎邦彦氏がトップを務める小委員会)で耐震の指針や手引の見直しを行っており、敷地外の活断層についてどういう評価をすべきかが出てくると思う。それによって基準地震動が今まで採用されてきたものでいいのか、これは全原発を対象に行う。15キロメートルと10キロメートルの断層があって、これをつなげて25キロメートルとして考えたほうがいいといったようなケースも出てくるかもしれない。そのうえで影響と耐震性を評価することになる。それは指針が変わることによるバックフィット(適合化)としてやることになる。

 柏崎刈羽については、浜岡もそうだが、敷地内の深い地層に柔らかい地層があると、地震動が大きくなるとわかってきたので、今後は指針で見直しが必要となるだろう。

[40年経過した原子炉の新安全基準合致は困難]

――安全規制の厳格化という意味では、来年7月に法制化する新たな安全基準において40年運転制限原則はどこまで徹底するのか。法律では最大20年の延長を1回に限り例外として認めており、運用次第で原則が形骸化する懸念がある。

 新しい安全基準に合致していない限り例外はない。40年を越えた原子炉の再稼働を認めるかどうかは、新しい安全基準に合致しているかどうかで決まる。その対応ができるかが大きな条件となる。

 実態としては、40年以上前のものは(新安全基準に合致するのは)そう簡単ではないだろう。皆さんが思っているほど簡単なバックフィットにはならない。もっと厳しいものとなるだろう。それでも投資をして(バックフィットを)やるのだったら、どうぞおやりください、ということ。問題は経済的にペイするかどうか。バックフィットの不可能なような炉もある。

――40年を越えた炉については、新安全基準への適合はほとんど難しいと。

 そうなるだろう。

[3年以内の再稼働審査は確約できない]

――13年7月に新安全基準ができて、原発の安全審査を開始する際には、全国の電力会社による再稼働の申請を一斉に集中する可能性もあると考えられるが、審査を同時並行的に進めるだけのマンパワーがあるのか。申請順にかなり待つことになるのか。

 13年7月時点でいくつかは出てくるとは思うが、何十基も同時に申請するようなことは考えられない。規制委としても新安全基準の骨子は早めに公表していくが、その対応にはいろいろと工事が必要な場合もあり、2〜3カ月で対応できるようなものばかりではない。

――新安全基準への対応はそれぐらいに厳しいということか。

 そういうことだ。深層防護の概念でレベル4に当たるシビアアクシデント(過酷事故)防止の施設対応が必要となる。そうした施設を造るとなると、施設の設計の認可(標準審査処理期間は半年〜2年)から始まり、そんなに簡単なものではない。

[安全基準を守れないなら、政治がどう言おうと関係ない]

――安全審査にどれくらいの期間が必要となるのか。自民党は「再稼働の可否は3年以内に判断する」と政権公約で述べているが、現実的な時間軸と言えるか。

 3年というのは政治的要望であり、できるだけ努力はするが、確約はできない。3年以内にはいくつかの炉は動くとは思うが。

 40年前の車と新車とでは安全性が全然違うように、炉によって(対応に要する期間に)違いがある。新しい炉や10年、20年、40年経った炉もあり、炉型もP(PWR=加圧水型原子炉)とB(BWR=沸騰水型原子炉)がある。立地条件も異なるため、一概に言えない。こちらが出した基準に合致した対応を事業会社がすみやかにできれば、比較的簡単にできようが、われわれが設備対応するわけではないからわからない。

 事業者としては、最も重要な発電所から対応して、あとは後回しという対応をとることも考えられ、一斉に申請が出てくるということはないだろう。安全基準を守れないならば、政治がどう言おうと関係ない。(再稼働が遅れて)会社がつぶれるかどうかも考えない。

――安全審査は科学的判断に基づいて行われるというが、その判断結果を巡り、原発が立地する地元との対立も考えられる。地元住民の説得に時間がかかるケースも考えられるが、規制委としてどこまで説得に責任を持つのか。規制委としては1度か2度、説明会は開くとしても、あとは事業会社や政治家が責任を持つべきというスタンスか。

[最終的に地元の了解をとるのは電力会社と政治家の責任]

 難しい問題だが、規制委は規制委として独立した科学技術的な判断をする。わからないというのは口癖みたいなもので、わかろうとしていない人にわからせようとしても難しい。今の日本では、原子力に関して自分の考え方以外は受け付けないという人が多い。私たちとしては、わかりやすい資料も用意して説明はする。でも、そのことについて地元の了解が得られるかどうかは関係ない。

――地元が了解しない場合は、あとは事業会社と政治の責任だと。

 そうだ。安全か、安全でないか、なぜ安全なのか、なぜダメなのかの説明はするが、あとは自分で勉強してもらうしかない。

――民間保険会社がリスクを引き受けることもできず、廃棄物処理や廃炉などバックエンド対策が高くつく原発のリスクやコストをどう考えるか。

 今回のような事故がまた起こるのだったら(原発は)やめたほうがいい。そういうことが起こらないように、私としては最善を尽くしたいと思っている。

――安全基準をつくるうえでどこまでの原発のリスクを想定するのかが問題。たとえば、原発関係者、インサイダーによるテロなどはどうか。

 そういうのはみんな想定する。サボタージュみたいなことも想定する。そういうことが起こっても、安全性を保てるような炉にしなければならない。いちばん怖いのは個人のテロではなく、戦争のような脅威だろう。絶対安全とは言わない。言えばまた安全神話になる。しかし、そういうことも含めて対応しなければならないと考えている。  

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コメント
 
01. 2012年12月30日 15:01:48 : ztuOHDohVY
家が燃えるているのを小学生が見つけ「僕はお父ーさんに言いました。がお父さんがどーするのかはか知りません」という話。責任のある専門家の話とは思えん。それとも、奥歯に,金でも、引っかかつたのか。

02. 2012年12月30日 16:27:04 : Q1AShcAlNU
1月2日まで無料 チェルノービル原発事故のドキュメンタリー
必視聴! 是非ご覧ください。
http://gyao.yahoo.co.jp/player/00908/v12193/v1000000000000000401/?list_id=476208

03. 2012年12月30日 17:38:38 : hgpJIlk13M
笹子トンネル事故を契機にインフラの老朽化が問題になっている。

原発も建物である以上はいつかは壊れる。
但し、壊れる前なら廃炉作業ができるが破損して放射性物質が流出した原発の廃炉作業が困難なことは福島原発を見れば容易にわかることだ。

原発推進の自民党と公約を破った公明党を選択してしまったのだから、百歩譲って、直下型の地震がこないとして原発を運転させたいのなら、せめて当初の予定通りに40年廃炉だけは厳格にして欲しい。

老朽化したインフラの整備に100兆円を使うとのことだが、圧力容器や格納容器の老朽化を問題にして欲しい。


04. 恵也 2012年12月30日 17:58:26 : cdRlA.6W79UEw : gBwWojoEoc
>> 現在3、4号機が電力需給逼迫を理由とした"政治判断"

これは嘘の理由。
本音は全部止めてしまうと、止めても足りて大丈夫なことがバレルので
無理して運転してるもの。

日本中の原発がずっと止まっていたのなら、最初に再稼動するのは非常
に困難で反対運動が盛り上がりますが、大飯原発が動いてるので盛り上がらん。

北海道は特別として、大阪であれば一番電気を使うのは真夏の甲子園の時期。
冬の今なら十分に電気は足りてます。

ーーーーー引用開始ーーーーーー
仮に今すぐ何の対策もとらないで原発を全部止めたとしても、1年の大部分は
まかなえるし、真夏のピークの数時間だけせいぜい10年〜15年前の電力
水準に戻すだけで、危険きわまりない原子力発電とさよならできるのです。

その頃には主な家電製品はほとんどありましたし、今では省エネ技術が進ん
でいることを考えれば、「原発を止めると電力パニック」というような宣伝
はちょっと大げさすぎる脅しだと思います。
http://www.geocities.jp/tobosaku/kouza/energy2.html

>> 海側に地滑りしたのではという説もある。

地滑りだって困るんだよ。
そんな危ない地盤の地域に、危険な原発を作ることが間違い。
もともとの基準は安定した硬い地盤であれば、原発を作れるという約束。
俺には国が信用できないのが情けない。

ーーーーー引用開始ーーーーーー
最終的な責任は国にあるのではないのか? 不適切な例えかもしれないが、
悪代官が仲間の悪徳商人を叱りつけているようなものである。責任を回避
するようなシステムができ上がっていることが最大の問題かもしれない。
http://www.asyura2.com/12/genpatu28/msg/667.html


05. 2012年12月30日 19:44:00 : FfzzRIbxkp
フクイチは、活断層の上でしたっけ?

活断層の上だったなら、東電が原発立地条件に違反していたのですから裁いていください。

活断層の上でないのなら、活断層とは無関係に原発は大惨事を起こすので、さらに安全指針を厳しくしてください。

原発は、今のところすべて岩盤の上に建設されているはずですが、
数年前にその条件が変えられています。岩盤上だと何か問題が起きたのでしょうか。
福井の原発銀座ももんじゅも、フクイチも、浜岡も、全部花崗岩の上にあります。


06. 2012年12月30日 19:48:31 : NSzep7bcJc
そりゃそうだ。
田中はアホだったと、後世、いわれないために。

07. 2012年12月30日 20:59:57 : CmeVtpghAo
>>大飯原発に今、差し迫った危険があるかについては、そうではない。ストレステストや政府の判断を鵜呑みにしているわけではなく、仮に(断層の直上にある)冷却用取水配管が地震で壊れたとしても、どれくらい冷却できるかなどは把握している。

以前からこの取水路は、非常用電源のディーゼルエンジンなどの補機を冷却する海水を取り入れるための非常用取水路であるとメディアを通じ流布されている。
そして、この非常用取水路は耐震強度Sクラスに位置づけられ、活断層の真上に設置してはならないことになっている。
朝日新聞などは、何を根拠にしてか「仮に活断層と判断されても、この非常用取水路を付け替えるなど代替え措置を講じれば、原発を稼働することができ廃炉にはならない」と述べている。

田中委員長も朝日新聞も、原子炉の核分裂を制御棒の挿入で止めたあとの崩壊熱を除去することのみを想定しての対応を語っているに過ぎないと思われる。

原子炉運転中に、何らかの事情でその運転を止める場合、制御棒の挿入が行われる。地震の震源が近く制御棒の挿入に不備があった場合など、核分裂は続行し崩壊熱とは比較にならない核分裂熱を冷却する必要が生じる。
これは、正しく通常発電時の状態と変わりがなく、この熱で水を水蒸気にして発電機を回し、その蒸気を復水器で大量の海水で冷却して水に戻し、原子炉に還流している。もし制御棒挿入に不備があり、復水器に流入すべき大量の海水(大飯の3、4号機両用で1秒間に約160㎥)が取水路の破断により導入できなければ、福島を遥かに上回る原発災害となるのは必至である。

地震の他にもミサイル攻撃・ミサイル誘導ミス・航空機の落下・テロ攻撃等、制御棒の挿入ができなくなると同時に冷却のための付帯設備が破壊されることも起き得るので、十分これに備え想定しておかなければならない。
先日、原子力規制委と原子力安全基盤機構に制御棒挿入不備のケースを想定した時の対策を確認した。すなわち、ほう酸溶液の注入・ポンプ車の配備・冷却水の確保
しかない。素人目にもこれは焼石に水であることは容易に判断できる。
かように原発は一旦ことが起きれば、当事国はおろか壊滅的な地球規模の災害に発展する可能性のある装置であり、それが世界中に数百基も存在することを忘れてはならない。

話を大飯に戻すと、田中委員長は原発停止後の崩壊熱冷却を想定した比較的少量の冷却水で済む場合を想定し、「仮に(断層の直上にある)冷却用取水配管が地震で壊れたとしても、どれくらい冷却できるかなどは把握している。」と言っているのではないか。
非常用取水路は、実は大飯においては通常運転時の冷却用海水取水路と同じものであることを知らずに答えているのか、あるいは承知のうえ通常運転時に取水路が破断することまで想定せず答えているのか。
原子力規制委の委員長にして想定が甘いと言わざるを得ない。



08. 2012年12月30日 21:58:29 : yajzwkDxwc
原発が活断層の上にあろうとなかろうと、耐用年数がどうだろうと、使用済み核燃料をどうすることもできない今、再稼働も新設も当然「NO」だ。 
 これについて答えられない人間は原発推進を語る資格なし。原子力規制委のメンバーもしかり。

09. 2012年12月31日 05:51:17 : Bk5sg6LQm6
田中は安倍よりは役者のようだ。

原発大推進の立場は不変だが、演技力を使って推進しようとしているだけ。安倍や米倉は単純。それとも役割分担か?


10. 2012年12月31日 12:24:28 : AeKpVLeFEE
発電単価が一番高い原子力発電なのにさらに安全対策で費用など使っても、重大事故は必ずや起こる。そんなもの早く見切りを付けるのがもっとも賢い選択だ。

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