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安倍政権の行く先<3> 原発推進へ体制固め
2012年12月30日 東京新聞
「われわれは希望を政策にしない。地に足をつけていく」
29日午後。福島第一原発を視察し、無残な姿をさらす建屋などを視察した安倍晋三首相は、記者団にこう語った。民主党政権が打ち出した2030年代原発ゼロ方針を「地に足がついていない希望」と断じ、見直す考えをあらためて鮮明にしたのだ。
安倍首相は原発新設に前向きの姿勢で、まだ計画段階の9基にも道を開くことを検討する。3年以内に全原発について再稼働の是非を判断する。
「あの日」から1年9カ月。原発政策は、維持・推進に再転換を始めた。政権の要衝には維持・推進派が並ぶ。元科学技術担当相の茂木敏充経済産業相は就任直後の27日未明、核燃料サイクル継続を宣言。石原伸晃環境相は、野党時代、原発ゼロを求める民意を「集団ヒステリー」と表現したことがある。
甘利明経済再生担当相は第一次安倍内閣で経産相として原発を推進。当時、国際原子力機関(IAEA)から日本の安全規制体制を疑問視する勧告が出たが、十分な対応をとらなかった。首相の政務秘書官には原発推進役である経産省資源エネルギー庁前次長の今井尚哉氏が就任した。
さらに経済・財政の重要政策を議論する経済財政諮問会議の民間議員に国内有数の原発メーカー東芝の佐々木則夫社長が就任する。原発技術者出身で、米原発メーカーの買収も手掛けた人物だ。諮問会議の民間議員は小泉、第一次安倍政権のころ、政権中枢と連携して規制緩和や公務員制度改革について大胆な提案をし、自民党や「抵抗勢力」をねじ伏せる役割を果たした。今回は原発の再稼働圧力としての役割を担うことになるかもしれない。
安倍首相は再稼働への道筋をどう考えているのか。原子力規制委員会は来年7月に新しい安全基準を決め、それに基づいて安全性を個別判断する。規制委は今、専門家チームによる活断層調査などで原発稼働を望む電力会社に厳しい判断を次々に打ち出している。彼らがつくる新たな安全基準が厳しい内容になれば、多くの原発は再稼働が難しくなる。安倍政権にとって好ましい展開ではない。
規制委の田中俊一委員長は「政治はいろんな意見を言うが、それで安全規制を変えてはいけない」と政権方針にかかわらず独立して判断する考えを示す。だが規制委の5委員はまだ国会の同意を得ていない。安倍首相らは今のところ来年の通常国会で5人の人事案同意を求める方針だが、もし、そこで与党が否決すれば、委員は罷免される。
規制委が新基準をつくる7月は、夏が始まり電力需給の逼迫が電力会社などから指摘されていることも予想される。現在、唯一稼働する大飯原発が来年9月に定期検査に入ることも考えると、夏のうちに他の原発を再稼働してしまいたいのが安倍政権の本音だろう。
だが現実をみれば、使用済み核燃料の保管場が満杯に近づいていることや、最終処分場にメドが立たないことなどの課題に答えが見いだせていない。
来年7月には参院選が行われる。国民があらためて意思を示す機会が訪れる。(金杉貴雄、宮尾幹成)
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