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「日立原発」予定地、英国アングルシー島、雇用と文化保護へ期待
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121228/erp12122800190001-n1.htm
2012年12月28日 毎日新聞
ロンドンから列車で約4時間。終着駅からさらに車で約1時間半。「辺境の地」と呼ばれる田園が続く。ウェールズ地方のアングルシー島。海辺の丘の上に1971年に稼働した老朽原発が建っていた。
11月に襲った歴史的な大洪水にも無傷だったが、間もなく閉鎖され、隣接地に日立が最新型の原発を建設することになる。
「ヒタチはいつ建設を始めるのか」。地元の住民らに聞くと日立に対する期待の声ばかり。福島第1原発事故の影響で原発の「安全性」を不安視する声を聞くことはなかった。
その理由を、地元紙デイリー・ポストのヒューズ記者は「都市から遠く離れた島の産業といえば、観光と農業くらい。島唯一の工業のアルミ工場も半ば閉鎖状態で、若者たちには仕事がない。新原発は雇用を生むだけでなく、新たな税収にもつながる」と説明した。
原発は人口約7万人の島で約3000人の雇用を生み出す。雇用がなければ、若者は島を離れて過疎が進み、ウェールズ文化も消えてしまう。
そんな危機感から60〜70%の島民らが日立の進出を歓迎している。
「英国では福島の事故後、原発の安全基準が見直されて大規模な自然災害に耐える新基準が設定された。日立の原発もそれをもとに建設される」。島の行政府のエネルギー事業責任者、ジョン・ジョーンズ博士はこう語る。
博士は福島の事故について「緊急時の原子炉冷却に使う非常用電源が水没し起動しなかったことで起きたが、原子炉が地震にも津波にも耐えたことに注目している。失敗に学ぶことが大切だ」と指摘。原発を必要以上に恐れる風潮を、中世ヨーロッパの「魔女狩り」にたとえた。
島は原発のほか、風力、潮力、バイオマスなどの電力産業を誘致する「エネルギー島」構想を掲げる。博士は「島は現実を見据えて発展する道を選択した。技術を持つ日本と末永い友好関係を築きたい」と強調した。(英中西部アングルシー島 内藤泰朗)
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