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シリーズ・食材汚染(4) サカナ・水産物
http://takedanet.com/2012/12/post_6daf.html
平成24年12月24日 武田邦彦(中部大学)
食材の汚染について、第一回が牛乳、第二回がコメなどを除く農作物、第三回が地域でしたが、第四回にサカナを取り上げます。サカナはなかなか難しく、もし、日本海側、外国、そして伊勢湾から南の太平洋のサカナで過ごすことができたら良いのですが、そうはいかない人も多いので、現在の状態を中心にまとめます.
【基礎編】
チェルノブイリの事故の時にも、70回程度行われたとされている太平洋の核実験の時にも、「空から(上から)降ってきた放射性物質が海を汚す」ということはあっても「放射性物質を(下から)海に流す」ということはありませんでした。
上から降る場合には「揮発しやすいものや飛び散りやすいもの」が多くなりますが、逆に「下から出る」場合には思いたいもの(揮発せず、飛び散りやすくないもの)が多くなるということになります。
今回の福島原発事故は空から太平洋に出たものと、原子炉の下から漏れて直接太平洋に出たものがあります。このことが初めてなので、たとえばストロンチウムとかプルトニウムの動きにかなり神経質になっていなければならないということになります。でも、測定値は公開されていません。
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また、空に雲が浮いている事からもわかるように「重たいものだから海底に沈む」とは限りません。雲は空気の中に水が浮いているのですが、空気の密度は0.0013(1ミリリットルで何グラムか)ですが、水は1ですから、実に770倍も重たいものが空気中に浮いているのです。
実に不思議な現象で、子どもの頃、大いに悩んだものです。でも、なぜ落ちてこないかというと「余りに粒が小さいので、粒の回りの抵抗やわずかな上昇気流で下に行けない」と言うことなのです。
雲の粒は5ミクロンぐらいとされていますが、これに対して放射性物質は1ミクロンぐらいですから、少し小さいと言えます。また空気より水の方が浮きやすいので「放射性物質は重たい(水の3倍程度)だから、海底に沈んでいる」というのもやや疑問なのです。
おそらくすでに福島沖などでは放射性物質の濃度を垂直方向(海底から海の表面まで)に測定していると思いますが、公表はされていません。
ということで「海の汚染が初めてなので軽く見ないこと」、「重たいから沈む」のようにできるだけ汚染を軽く見せようという陰謀を見破ること、が大切なことがわかります.
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子どもや自分の健康という意味では、サカナがどのぐらい汚染されているか、海岸で海水浴や潮干狩りができるかなどが問題ですが、最も大きな事としては、原爆を落とされた日本、これまで世界に向かって「爆弾は別にして、放射性物質で汚すことは許されない」といってきた日本が、自ら事故を起こし、しかも日本国土に貯めることをせずに海に流したという事実です.
自分の家で事故があり、汚いものがあふれそうになったとき、自分の庭に流さずに隣の庭に流すと言うことをしたのですから、恥ずかしいことです。これが誠実で控えめな日本人のすることかと私は2011年4月に国会などでくり返し「陸上にプールを作り、そこ放出すべき」と主張したのですが、受け入れられませんでした。
このことも頭の隅に入れておく必要があると私は思います。日本人がこれまで海外で高い評価を得てきたのは、先祖の礼儀正しく、誠実な態度が元になっています.それを私たちの世代で壊したことを残念に思います
【考え方】
汚染から身を守る考え方は、「サカナでも、海水浴でも、同じものをくり返し食べる、同じ所に繰り返し行く、と言うのではなく、できれば1回限りでしばらく遠ざかるということです。
陸上の農作物、たとえばほうれん草は、畑(動かないもの)に植えられ(動かない)、葉物野菜とか根のものなどと決まっています.これに対して、海は海流で動き、サカナも泳ぎ、生活の仕方もきわめて複雑です.ですから「これは大丈夫」ということを決められないのです.
でも、救いがあります.それは「放射性物質が体に与える影響は「平均値」」であることです。ばい菌やウィルスの場合「汚染されている食材を食べたら、増殖して病気になる」ので、一つでも腐ったものを食べてはいけないのですが、放射性物質の場合、「平均」になります。
つまり100の内、1つでも腐っていたら、他のものが新鮮でも食中毒になりますが、被曝の場合は、100の内、10ヶが汚染されていても、それが1キロ400ベクレル以下なら平均で40ベクレル以下になるということです。
もちろん被曝はできるだけ少なくするのが良いのですが、だからといって食中毒のように一つでも汚染されたものを食べると病気になるというのではないのです.
【具体的なサカナの汚染状況】
現在の状態は、「すべてが汚れている」のではなく「たまたま汚れているものがある」ということで、かなり平均レベルは下がっています.
その中で、注意を要するのが「川魚」(ワカサギ、アユ、イワナ)と「貝類」です。できればしばらくは関東と長野山梨から北の東北の川魚は日本海側(秋田と青森西部を除く)の川魚は避けた方が良いでしょう.
太平洋では千葉沖から北海道十勝沖までの太平洋側はダメで、日本海側は新潟も出ていません.産地が確実なら他のサカナは「大丈夫」です。
サカナの種類としては、ある地域にジッとしているサカナはやや危険で、回遊魚(マグロ、カツオなど)は汚染されていません.特に食べない方が良いのは(太平洋側だけに限定)、マダラ・ヒラメ・カレイ・クロダイ・スズキ・アイナメで、このサカナの名前だけを覚え、しばらくは買わない方が良いと思います.
海藻類も理屈から言うと危険なのですが、2011年に汚染が酷かった海藻類も2012年からは汚染が減っています.測定値が正しければ、海藻は大丈夫と言えますが、しばらく様子を見ています.
産地が偽装されることが多いのですが、冷凍物や加工品(また別の機会に整理します)以外の鮮魚は地域をあまり離れないので、地域をよく考えて購入してください.
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