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原発すがるしか・いい加減だ…東通活断層で地元
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121221-OYT1T00781.htm?from=main1
2012年12月22日19時17分 読売新聞
原子力規制委員会の専門家会合は東北電力東通原発の敷地内に活断層があることで一致し、同原発は再稼働の見通しが立たなくなった。
青森県東通村の経済の将来に不安が広がるとともに、一度は安全とした国の判断と真逆の結論に向かっていることに関係者からは不満の声が上がった。
東通村の越善靖夫村長は「私は東北電力の活断層ではないという主張を信じている」とした上で、原子力規制委員会の委員が国会同意を経ずに決まったことを指摘。「同意を得てから、調査すべきだ」とぶぜんとした表情で語った。
教育に力を入れる村は、村負担で教員を採用し、小中学校で1クラス25人程度の少人数学級を実施する。原発の再稼働や新設が認められなければ、原子力マネーで支払ってきた人件費などが重くのしかかる。村経営企画課の坂本茂樹課長は「最悪の場合、村独自の取り組みはあきらめざるを得ない」と危機感をにじませる。
原発近くに住む元村議(72)は「出稼ぎをなくせると思って原発を誘致したが、東京電力福島第一原発事故後、若い人たちがまた出稼ぎに行くようになった。村は吹けば飛ぶような業者ばかりで、原発にすがって仕事をするしかない」と肩を落とす。
「2日間、調べただけで、前と大きく結論が変わってしまうなんて、地震学というのはそんなにいいかげんな学問なのか」――。県幹部は専門家チームへの不満をぶちまけた。
東北電は1996年に1号機の設置許可を申請する際に、専門家チームが活断層と指摘した「F―3」と「F―9」断層のトレンチ調査などを実施し、活断層ではないと判断。国も現地調査をした上で了承した経緯があるからだ。
両断層は東北電1号機の建屋直下にはないが、建屋から最短約200〜400メートルの位置にあり、活断層とされた場合、断層の長さや引き起こされる地震動の規模の調査が必要だ。1号機は最大の地震動の加速度を450ガルと想定しているが、これを超える場合などは耐震設計の見直しとなる。専門家からは「M7を超える地震もある」(金田平太郎・千葉大准教授)との指摘もあった。
反原発の立場の「下北の原発・核燃を考える会」の櫛部孝行代表は「専門家が活断層という意見で一致したからには、廃炉という方向にもっていくべきだ」と語気を強める。
ただ、遠田晋次・東北大教授(地震地質学)は「断層が震源までつながる深いものか、数メートル、数十メートルの浅いものかが重要。建屋などにどれぐらい影響があるかが判断されるべきで、ちょっとしたずれで稼働がすぐ駄目になるという論調はおかしい」と指摘する。
1号機の南側に建設予定の2号機はF―9断層から数百メートルの距離。F―3断層は1号機の北側に建設中の東京電力東通原発の敷地にも延び、同原発との最短距離は20メートル。両断層が活断層であれば、2基の原発にも影響が及ぶ可能性がある。
また、専門家からは「(下北半島沖に延びる)大陸棚外縁断層は12、13万年前以降は活動はないと言われるが、再検討の必要がある」(粟田泰夫・産業技術総合研究所主任研究員)などの指摘もあり、「活断層問題」が使用済み核燃料再処理工場などにも飛び火しかねない情勢だ。
仮に再処理工場が稼働できないことになれば、売上高約3000億円の県内最大級の企業に暗雲が立ちこめる。また工場に既に運び込まれている約3000トンの使用済み核燃料の処置も問題となる。
ある下北半島の首長は原子力規制委員会の調査に不信感を募らせる。
「原発を止めるための調査のような気がしてならない」
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