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朝日新聞デジタル記事 2012年12月19日03時00分
新たな「原発神話」許すな 大佛次郎論壇賞を受賞して/大島堅一・立命館大教授
『原発のコスト』で言いたかったことは、原発には見えないコストがあり、それが、本来負担すべき電力会社などの利害関係者ではなく、一般国民の負担になっているということである。加えて、原子力政策が一部の利害関係者のみで決定されているために、原子力開発が暴走し、一層、国民へのコスト負担を強いているということである。
原発のコストの最悪たるものは、原発事故による被害である。周辺住民の被害は、まだ本格的調査すらされていない。東京電力福島第一原発事故後、政府、国会、民間、東京電力と、四つの事故調査報告書が出された。しかし、これらの報告書では、原発施設については詳しく述べられているのに、住民や自治体の被害実態はほとんど明らかにされていない。
被害は、深刻そのものだ。被害者は、ふるさとやコミュニティーそのものを丸ごと失い、回復がきわめて困難な状況になっている。これを解決するには、被害者への十分な補償と個別の事情に即した生活再建策が必要不可欠である。ところが、政府も東電も、早々に補償の打ち切りを画策している。
一方、原子力政策においては、もはや成功する見込みのない技術の開発が、今もなお続けられようとしている。例えば、本年11〜12月に開催された文部科学省原子力科学技術委員会もんじゅ研究計画作業部会では、高速増殖炉もんじゅ開発の失敗の歴史が振り返られることはなく、研究開発のメリットのみが強調され、もんじゅの早期再開が必要との意見がでている。
なぜ、このようなことが起こるのか。それは、原発事故による悲惨な被害をはじめとする様々なコストが、被害者や一般国民におしつけられたままだからである。そして、利害関係者のみによって原子力政策が進められるという構造が、今なお改善されていないからである。
政府部内では、事故後も、原子力政策のレビューが行われたことはない。過去の原子力政策を振り返り、これを支えた原子力行財政を見直し、国民にコスト負担を強いてきた原因を取り除く必要がある。
原発は、国が丸抱えで進めてきた事業である。原子力行財政を根本的に見直し、変えない限り、過去と同じような政策が維持されてしまうのは当然である。このままでは、「原発がなければ経済が崩壊する」などといった新たな神話が次々と生まれ、過ちが再び繰り返されるのではなかろうか。
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おおしま・けんいち 1967年福井県生まれ。立命館大国際関係学部教授(環境経済学)。昨年12月に刊行した著書『原発のコスト』(岩波新書)が第12回大佛次郎論壇賞に決まった。
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