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自民4勝1敗 福島県民の思い 「脱原発」争点隠れ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012121802000135.html
2012年12月18日 東京新聞[こちら特報部]
衆院選は自民党の全国的な大勝で終わった。原発事故の被害に見舞われた福島県でも5選挙区のうち4選挙区で勝利した。自民党は、かつて原発を推進し、いまだに脱原発を明確にしていない。その自民党に、福島県民は原発政策を託したといえるのだろうか。県民の本当の思いは、どこにあるのかを探った。(小坂井文彦、佐藤圭)
◆復興遅く国政不信
「俺たちは国から完全に見捨てられている。どこの政党が政権を取っても何も変わらない」
福島県いわき市の高久仮設住宅。福島第一原発に毎日、通っている作業員の男性は、衆院選から一夜明けた17日、うつむき加減に話した。
楢葉町に住み東京電力の協力企業の社員として働いていた。今は仮設住宅に家族で避難中だ。故郷に戻れるのはいつになるのか、誰も示してくれない。
楢葉町もいわき市も、福島第一原発を抱える福島5区のエリアだ。「自民も民主も第三極も信用できないから、楢葉町議だった候補に入れた。当選したら地元の声を聞いてくれると思ってたから」。しかし、男性が期待した未来の候補の得票は約6,900票で、6人中の最下位だった。
この仮設住宅には楢葉町から避難した約1,400人が暮らす。四畳半2間に3人で生活する家族が多い。
「国政には何も期待してませんから」と、仮設住宅に住みながら、高齢者に野菜などを届けるボランティアの女性(48)はいら立ち交じりに話した。「永田町や霞が関の雲の上の人は、避難中の人がどんな狭いところで何人で暮らしているか気にしていないでしょ」
第十仮設自治会長の高木昌祺さん(77)は「自民が勝ったわけではないと思う。福島5区では、ほかの候補の票を足せば自民を上回る。次々と新しい政党ができて、わけが分からなくなった。反自民の票が割れた」と話す。
今、最も気掛かりなのは除染だ。高木さんは楢葉町で高齢者のデイサービスセンターを経営していた。今月3日、環境省の職員が除染の説明に来たが、除染の対象となる場所の説明を言い渋った。何度も問い詰めると、職員はやっと「毎時1マイクロシーベルト以上」と答えた。
「あまりに高い基準なので、言いたくなかったのでしょうね」
除染で出る土壌や草木をセンターの敷地内に埋めると言われ、憤慨した。「福島第二原発に持って行けばいい。原発の敷地は広いのだから。政府は第二原発の再稼働を狙っているのではないか」
「原発はこりごり。故郷を追われて、こんなみじめなことはねえ」。そんな声をよく耳にする。高木さんは町民の9割以上は、本当は原発ゼロを望んでいると思う。元漁師の矢内進さん(73)も「自民が政権を取ると。どこかの原発を動かすんじゃないか」と不安を口にした。
いわき市のタクシー運転手大楽勝弘さん(45)は「、市内では自民に好意的な人も少なくないと感じている。「原発関係で働く知り合いのいる人の中には、福島第二原発の再稼働を望む人もいるみたいですね」。原発問題よりも、景気対策などを重視せざるを得ない人たちがいるのも確かだ。
◆「脱原発」争点隠れ
自民党福島県連は、衆院選の結果をどう受け止めているのか。
県連会長の岩城光英参院議員は「原発よりも復興の方が関心が高かった。民主党政権では、スピード感のある復興を成し遂げるのは難しいと県民が判断した。期待にしっかりと応えたい」と語る。
実は、福島県内では、自民を含む各党が「脱原発」で足並みをそろえている。県議会は昨年10月、県内の原発10基すべての廃炉を求める請願を採択した。共産党系の団体が提出したものだったが、自民、民主、公明各党も一部を除いて賛成に回った。
自民党福島県連は、独自に作成した衆院選公約集の筆頭に「脱原発」を掲げた。自民党本部は「再稼働は3年以内に結論」「10年以内に持続可能は電源構成のベストミックスを確立する」などと、脱原発には慎重姿勢だった。県連と党本部の違いは問われないまま、原発問題は福島でも主要な争点から隠れてしまった。
民主党と、維新、みんな、未来が競合し、自民党候補が「漁夫の利」を得て当選する構図は福島も同じだった。福島5区と同じく被災地を抱える福島1区の亀岡偉民氏、2区の根本匠氏はいずれも、苦杯をなめた前回2009年衆院選より票を減らしたものの、楽々と国政復帰を果たした。民主前職が離党し未来から出馬する一方、民主も候補者を擁立し、分裂したことが大きな勝因となった。
比例代表の県内得票率を見ても、自民が勝ったとは言い難い。自民は約28%から約26%に微減。約45%から約20%へと激減した民主の敵矢に助けられた格好だ。
福島県の投票率は、前回より13.96ポイント減の58.86%。全国と同様、衆院選で戦後最低を記録した。福島大学の中川伸二教授(現代政治論)は「原発問題では、ほとんどの候補者が脱原発を主張したため、違いが見えにくくなった。復興の遅れで政治不信も高まっている。棄権するか、昔なじみの自民に投票するしかなかった」と分析する。
「県内の原発だけが廃炉になればよいわけではない。国会議員なのだから日本全体の原発ゼロを目指してもらわなければ困る。自民党が政権を握れば原発が推進されかねない。こうした視点が県内の有権者に欠けていた」
「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」代表の佐藤幸子さんは、原発問題が福島原発の廃炉問題に矮小化されている現状を嘆く。
県内にある10基の廃炉問題は不透明だ。福島第一原発1〜4号機の廃炉は決まっているが、5、6号機と第二原発4基の廃炉は「未定」(東京電力の広瀬直己社長)だ。
佐藤さんは「多くの県民は10基の廃炉が既定方針だと思っているようだが、自民党を支援する県内の経済界は第二原発の再稼働を望んでいるように見える」と危惧する。
東日本大震災被災地への支援や脱原発活動を続ける作家の落合恵子さんは「福島の皆さんと一緒に原発ゼロを目指すことができると信じている」と力を込める。
「全国に公共事業をばらまくような自民党の景気対策が福島のためになるとは思えない。でも、筆舌に尽くしがたい苦しみが続く中で、福島の皆さんが自民党的な景気対策に引き付けられたとしても、誰にも責める権利はない。福島は脱原発運動にも疲れているだからきっちりでなくてもいい。もう一度深呼吸して、柔らかく一つになっていく方法を模索していきたい」
[デスクメモ]
「原発に依存しない社会を目指す」というのは、どの党も同じという表現をよく聞いた。選挙だけのごまかしだ。再稼働を許し、核燃サイクルを許せば、結局、永久に続く。10年以内で方針を決めるというのは、つまり維持するということだ。自民党政権である限り、原発ゼロになることはない。(国)
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