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拡散予測の想定に批判
2012年12月14日 東京新聞[こちら特報部:ニュースの追跡]
原子力規制委員会が発表した原発での重大事故時の放射性物質拡散予測マップ。10月に発表されたが、ミスが相次いで発覚し、13日にも訂正の発表があった。だが、その訂正後の内容にも「放射線量を過小評価している」といった疑問の声が上がっている。活断層調査で株を上げたようにも見える規制委だが、冷静な評価が必要だ。(上田千秋)
◆最悪3%の数値削除
「基準があまりにも無謀すぎて、これでは何の意味もなさない」
反原発の市民団体「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」(美浜の会)の小山英之代表はあきれたように話す。
10月24日に公表されたマップは、全国の原発周辺自治体が地域防災計画を立てる際の参考資料に、と作られた。
具体的には、1.事故を起こした福島第一原発1〜3号機と同程度の放射性物質が放出される 2.各原発の合計出力に応じて再計算─の2パターンで試算。各原発の周りを16の方向に区分し、国際原子力機関(IAEA)が避難判断の基準とする「事故から7日間で100ミリシーベルトの被ばく」に達する場所を示した。
試算では、1年間を8,760回(24時間×365日)に分けて風向きの出現頻度を調べ、それぞれの風向きの放出量を計算した。
問題視されているのは、規制委の前身の原子力安全委が1982年に決定した「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針」に基づく「97%値方式」といわれる手法。極端な気象条件を排除するため、最も放射性物質の濃度が高い上位3%のデータは算入しないという手法だ。今回、全ての原発の拡散予測に適用されている。
しかし、この手法だと上位3%の削除により、奇妙な結果になる。大飯原発(福井県)を例に考えてみると、わずか10キロ余しか離れていない同県小浜市東南部は100ミリシーベルトに達しない。100%値で考えれば、100ミリシーベルトになる最も遠い場所は63.5キロ南の京都府向日市付近になるのに、97%値だとほぼ半分の32.2キロ地点にとどまる。
規制委は、南方向へ放出される放射性物質を全体量の20%と仮定している。だが、美浜の会は「事故時には風がどちらに吹くかは分からない」と反論。南方向への放出量を50%と仮定すると、紀伊半島中部までが100ミリシーベルトの範囲内になるという試算結果が出た。
小山代表は「汚染の範囲は事故が起きた時の風向きで決まる。その風向きの頻度を平均値で考えても無意味だ。結局、避難計画など立てようがなく、安全を確保するには原発を止めるしか手だてはない」と主張する。
拡散予測マップに限界があることは、規制委も認識している。発表時の資料には「あくまで目安として参考にすべきデータであることに留意が必要」と記載している。
原子力規制庁の担当者は「100%値にすると台風などの気象条件も含まれてしまい、拡散範囲がかなり広がる。むしろ現実的な範囲で対策を考えてもらうのが先決と判断した」と説明する。
とはいえ、事故想定では最悪事態を念頭に置くのが鉄則。「現実的な範囲」は想定外を生む。福島原発事故で、その落とし穴の怖さを学んだはずではなかったのか。
小山代表は「規制委は福島事故ですべてが一変したのに、原子力安全委の指針を使って前例踏襲で済まそうとしている」と批判している。
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