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最終処分の道筋、公約できず 脱原発発選挙の陥穽
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012121302000115.html
2012年12月13日 東京新聞[こちら特報部]
原発が必ず生む使用済み核燃料。処理しがたいこの「未来へのツケ」の存在が脱原発の論拠のひとつであり、逆説的に核燃料サイクルの延命にもつながっている。受益者負担を考えれば「東京に処分場」という話も空論ではない。しかし、今回の衆院選では、この本質的なテーマが議論に上っていない。「何とかなる」 「誰かがやってくれる」といった“神話”にはもう頼れない。(出田阿生、佐藤圭)
「原発を受け入れてきたのは、いうまでもなく東京を筆頭とする都市部である。本来ならば、東京を含む都市部に中間貯蔵施設を建設し、使用済み核燃料の受け入れを求めることになる」
枝野幸男経済産業相は近著「叩かれても言わねばならないこと。」の中で、こう記した。
全国の原発では、使用済み核燃料を保管する貯蔵プールが保管量の限界を迎えつつある。使用済み核燃料は、総計で約1万4,200トン(電気事業連合会調べ・2011年9月末現在)。平均して各原発の貯蔵可能量の7割が埋まり、柏崎刈羽原発や福島第二原発はあと2、3年で限界。こうした事情は各原発共通だ。
これらの使用済み核燃料の処理方法として、国が進めてきたのが「核燃料サイクル」だった。再処理でプルトニウムやウランを取り出し、再び原発で使う構想だ。
ところが、現実は「夢のまた夢」。高速増殖原型炉もんじゅは17年間で250日しか稼働せず、現在も停止中。当初は1997年に竣工予定だった青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)も延期に延期を重ねている。
ただ、その再処理工場にも、全国の原発から使用済み核燃料が運ばれ続け、容量3,000トンの貯蔵プールには2,937トンが搬入されている。
再処理を断念し、地下に埋める直接処分案も浮上したが、青森県原子力立地対策課は「そうなれば、青森県と六ケ所村が(再処理工場を運営する)日本原燃と交わした覚書に従い、いまある使用済み核燃料はすべて県外に搬出してもらうことになる」と、県側としては当然の主張をする。
◆核燃サイクル 諸外国は撤退
世界では核燃料サイクルからの撤退が相次ぐ。それでもなお、政府が核燃料サイクル維持の姿勢を崩さないのはそうした事態を恐れるためだ。
ただ、再処理の実現性が乏しく、保管場所も満杯という状況は変わらない。受益者負担の原則からいえば、使用済み核燃料を「東京で保管」しても不思議ではない。
実際、民主党議員有志による「原子力バックエンド問題研究会」が今年2月に出した第一次提言では「核燃料サイクルの推進を停止し、将来的な最終処分方法のメドが立つまで、廃棄物の保管を責任持って行う体制に転換する」と記された。
具体的には、乾式貯蔵方式で保管するというやり方だ。場所としては各都道府県に一カ所ずつ」 「電力会社ごと」 「国が全国でいくつかの国有地を選択」という3案を示した。つまり、東京に処分場を設ける可能性は排除されなかった。
民主党の勉強会が強調した「原発の電気の受益者・需要者による負担」は、内閣府の特別の機関である日本学術会議も認めるようになった。
学術会議は9月、再処理で生まれる高レベル放射性廃棄物の地層処分(人が触れる恐れのない地下数百メートルの岩盤に埋設)の考えについて「いったん白紙に戻す覚悟で見直す必要がある」と結論付けた報告書を原子力委員会に提出した。
その際、核燃料サイクルが袋小路に入った原因について「受益者と負担者の分離」を指摘。国民的な合意抜きで、最終処分地を地方に押し付けようとした国と電力会社、座視した都市部の受益者の姿勢を問題視した。
地層処分の技術的な困難さについては、学術会議検討委員会の今田高俊委員長が「10万年単位で(処分地周辺の)地層構造の変化を予測するのは難しく、国民に安全性を納得してもらうのは無理との印象」と強調した。
代替案としては、使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物をいきなり最終処分するのではなく、取り出し可能な場所に数十年から数百年、「暫定保管」するとともに、核廃棄物がこれ以上増えないようにする総量規制の考え方を打ち出した。
この「猶予期間」中、地層の安定性や廃棄物の減量化などの研究を進めるとし、当面は民主党の勉強会同様、乾式貯蔵方式などで「慎重に管理を継続するほかに方法はない」としている。
今回の衆院選では自民党などを除き、ほとんどの政党が核燃料サイクル計画からの撤退や見直しを掲げている。だが、肝心の処分地探しについては口をつぐんでいる。
菅政権で内閣官房参与を務めた原子力工学の専門家、田坂広志・多摩大学大学院教授は「原発ゼロ社会は核廃棄物の処分などを考えれば、選択の問題ではなく、不可避の現実だ。地層処分に立脚した議論は、技術的にも困難で必ず壁に突き当たる。最終処分地も見つかっていない」と語る。
原発ゼロ社会が実現したにせよ、現に存在する核のごみ問題は残る。田坂教授は各党の姿勢について「福島原発事故後の世論を考えると、最終処分場所はもとより、暫定的な貯蔵場所の選定についてさえ、住民理解を得ることは極めて難しい。『いずれ何とかなる』と問題を先送りするような無責任な姿勢は許されない」と警鐘を鳴らす。
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は「核のごみは埋め捨てではなく、監視し続けなければならない。冷却水の要らない乾式貯蔵であれば、東京にも保管施設を造ることができる。原発の利益を受けてきた都市部がリスクを負うべきだ」と話す。ただ、実際に事を運ぶのは容易ではない。
福島原発事故では、それまでの原発の安全神話が崩れた。しかし、原発に限らず、国の財政問題にしても市場や「適した政治家」に委ねれば、問題が解決するといった「神話」への依存は有権者の間にも色濃い。核のごみ問題もその一つだ。
小出助教はこう懸念した。
「再処理は技術的に不可能と分かったが、失敗しても誰も責任を取らないのが原子力の世界。日本自体が、誰も福島事故の責任を取らないような無責任体制だ。だから、今回の衆院選でも、原発を維持しようとする勢力が勝利しかねない状況になっている。絶望に近い心境だが、(原発ゼロに向けて)やれることをやっていくしかない」
[デスクメモ]
口当たりの良さに化かされる。その際、初めてでなければ、だまされる方が悪い。郵政民営化選挙。民営化が雇用の拡大に結果したか。日銀に金融緩和を迫る宣伝。貨幣がばらまかれても、企業が現状で投資するとは思えない。言葉の軽さに要注意。核のごみ問題を含め、そろそろ学習成果を示したい。(牧)
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