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「今のままでは再稼働の安全審査はできないというのが、私の印象だ」。原子力規制委員会の田中俊一委員長は10日の評価会合でこう述べ、敦賀原発の再稼働を容認しないとの姿勢を強調した。
【敦賀2号機の廃炉不可避】直下「活断層の可能性」
今回の判断は、「世界最高の安全規制」を目指す規制委にとって存在感を示した格好だが、現行法では事業者に運転停止や廃炉などを命じる法的権限はない。規制委事務局の原子力規制庁幹部も、委員長発言について「田中氏個人の感想」との見解を示しており、廃炉の判断は原電自身に委ねられる。
原子炉等規制法では、「急迫した危険がある場合」に限って、「原子炉による災害を防止するために必要な措置を講じることができる」と規定。さらに、耐震設計をめぐる国の安全審査の手引でも「活断層の上に原子炉建屋など重要施設の建設は認めない」としている。
しかし、「急迫した危険」の法解釈について、規制庁は「ミサイル攻撃や人工衛星の落下、火山の噴火など、明確に危険が予見できる場合」との見解だ。活断層の活動は1000年単位で起こるとされ、活断層を「急迫」と認定するのは困難とみている。さらに、国の手引も、建設時の許認可を念頭にしており、すでに建設されているものについては強制力はない。
それでも、来年7月には、規制委設置法に基づき、既存原発にも最新の安全対策を課す「バックフィット制度」の運用が始まり、その延長で、活断層の影響があると認められた原発の運転を停止できるようになる。現在、敦賀原発は定期検査のために運転を停止している。
「廃炉を命じるのは難しい」(規制庁幹部)との慎重論もあるが、田中委員長はこれまでの会見で「(活断層の可能性で)クロや濃いグレーなら運転停止を求める」と述べており、活断層と判断された場合は廃炉が不可避になるとの見方を示唆している。【中西拓司】
◇浦底断層
福井県敦賀市立石岬付近から敦賀湾を横切り、滋賀県長浜市に至る「浦底−柳ケ瀬山断層帯」(約25キロ)の一部を構成する。70年代に複数の研究者が活断層の可能性を指摘し、91年出版の学術書「新編日本の活断層」では長さ約3キロの活断層として掲載されている。最近4000年以内に活動したと考えられている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121210-00000073-mai-soci
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