http://www.asyura2.com/12/genpatu29/msg/204.html
Tweet |
福島第一原発事故、監視カメラ映像が隠ぺいされる理由と日本の原子力発電所の将来
気が付いている方は既に分かっているはずだが、原子炉のふたの上や使用済み核燃料保管プールの上に付けられている監視カメラ映像が公開されていない。東電が付けたものやIAEAが設置したカメラが多数あったはずで、それらの映像が全く出てきていない。各種の検証委員会が報告書を出したがそれらでも取り上げられていない。
昨年の3月11日の原発事故以来、原発関連の政府会議録が取られていなかったと1年以上経過した後に政府発表があり、各官僚のメモなどをもとに簡単な会議抄録が作られたそうだが、非常に大がかりにいろいろな機関が原発関連で動いていたわけで、正式な会議録が1年以上も取られていなかったということはありえない。「昨日の会議での決定事項は何か」とか「前回の会議の欠席者に決定内容を知らせて了承をとっておけ」などの動きは常にあるからだ。
なぜ、原発関連の会議録が取られていなかったと言い出したかと言えば、正式の会議録には公開できないことが含まれていて、それを抹消するために作り直しが必要だったからだ。
では、どんなことがあったのか。それは日本国内の権力構造を超えた存在が福島第一原発事故で政府や東電の対応に絡んできたからだろう。
少なくともIAEAの監視カメラは原発の敷地内だけではなくて、東京のIAEA事務所、そして、ウィーンの本部やニューヨークの連絡所にもリアルタイムで映像が送られていたはずだ。なぜなら、リアルタイムでの監視とその対応が必要だからだ。もし何らかのテロや事故があれば、その対応をすぐにする必要がある。当然、アメリカ政府にも、またその他の核兵器所有をしている西側諸国にも情報提供がされたはずだ。
更に、もともと、アメリカ政府はエシュロンと言う巨大な情報網を持っている。インターネットや電子メールから普通の電話などの通信内容を傍受、記録して状況分析をする機関だ。
つまり、311の巨大地震とその後の福島第一原発事故で何が起こりつつあったか、それはほぼリアルタイムで全容がアメリカ政府に伝わっていたと考えるべきだ。少なくとも、福島第一原発の免震重要棟で指揮をとられていたという吉田所長が把握していた事態はそっくりそのままアメリカ政府にも伝わっていただろう。
監視カメラ映像が公開されなかった理由はほぼ確実に原子炉が地震によってかなりの程度壊れたからだ。そして、放射能もかなり程度地震直後に漏れてしまい、少なくとも原発周辺の自治体の住民の方は地震当日の地震直後に既にかなりの被曝をしたはずだ。そして、だからこそ、SPEEDIの拡散シュミレーションデータが公開されず、多くの方が避難の過程でかなりの被曝を受けることになったはずだ。つまり、地震直後の大量被ばくを隠すために避難時に大量被ばくをわざわざさせられたのだ。
SPEEDIのシュミレーションを使って避難計画を立てるということは事故対応マニュアルにも書かれていて、およそ初歩的なことだ。被曝をした住民が多くなればその後の対応が難しくなるので、多少自分がその担当から外れていようとSPEEDIデータを生かして避難をさせなければいけないと普通の政治家・官僚なら考えるだろう。
だから、日本国内の権力を超えた存在がSPEEDIデータの隠ぺいを指示したことは間違えない。
しかし、ではなぜ監視カメラやSPEEDIデータの隠ぺいが必要だったのか。原発が地震で壊れたことを知られたくなかったためだろう。
アメリカ国内には100基以上の原子炉があるが、そのほとんどは地震がほとんどないアメリカ東部に立地している。地震がよく起こる西部、カリフォルニアには数基あるだけだ。
日本が地震国であることをアメリカはよく理解していた。なぜなら、太平洋戦争終了直前に東南海地震が起こり、またその直後、つまりアメリカ占領時に南海地震が起こっているからだ。そして、そういう日本にアメリカ主導で原発が導入された。これはいったいなぜだろうか。
地震国日本に原発を作れば、いつか地震で原発事故が起こる。これは論理的な帰結だ。非常に乱暴に言えば、日本で原発事故が起こり国土が放射能汚染されれば、海外に移民をして国土を放棄するしかない。そうなれば、その土地を世界中の国々の核廃棄物処分場として使うことができる。これが狙いだったはずだ。
つまり、何万トン、または数千万トンにもなる高レベル核廃棄物をどう処分するかと言う問題が核兵器を保持した当初から意識されていたのだ。アメリカでは地層処分した高レベル核廃棄物の100万年の安全保管が定められている。しかも、多くの核廃棄物は重金属で、鉛と同じく重金属毒性を持ち、その毒性は永遠に続く。だから、少なくとも、北アメリカ大陸とかユーラシア大陸のような大陸部には地層処分できないのだ。地下水が何万年と言う期間でどう動くか分からないからだ。
しかし、ここで疑問が出てくる。既に大気中の核実験は禁止になっている。そればかりか海中や地中の核実験もほとんど行われない。つまり、環境中に核物質が漏れだすと多くの被害を及ぼすことが分かっているからだろう。それなら、ひどい原発事故を許容できないはずだ。原子爆弾なら、その規模にもよるが多くの場合、数キロから数十キロ程度のウランやプルトニウムが使われるだけだが、原子力発電所の場合は多くの場合数トンと言う規模になる。しかも、原子炉が事故を起こすと、原子炉内や使用済み核燃料保管プールにたまっている核燃料が長期にわたって、それも数十年ではなく数百年とか、場合によっては数千年にもわたりかなりの規模の放射能漏れを起こす。
多分、日本に原子炉が大量に建設されだした1970年代では低線量被曝の影響があまり解明されてはいなかったのだろう。特に原子爆弾ではない原子力発電所事故による低線量被曝の影響は現実にそれが起こった1986年のチェルノブイリ原発事故の影響が顕在化する1990年代まで甘く見られていたのだと思う。事実、放射性核廃棄物の海洋投棄が禁止になったのは1993年第16回ロンドン会議だし、包括的核実験禁止条約は1996年に国連に提案されたがいまだに発効はしていない。なお、部分的核実験禁止条約は1963年にアメリカ合衆国、イギリス、当時のソビエト連邦によって署名された。
つまり、チェルノブイリ原発事故から25年が経過した現在、低線量被曝の影響がかなりあるということは一部ではすでに認められているということでもあるはずだ。
しかし、それなら、原発事故自体が許容できないものとして原発廃炉に世界的に踏み出さなければいけない。少なくとも今の日本の状況はそうなっていない。これはいったいなぜなのか。
その答えは、やはり、依然としてアメリカをはじめとした核兵器保有国が自国の国土内で高レベル核廃棄物の処分を望んでいないということに求めざるを得ない。
ならば、今後、日本の原子力発電所はどのような役割を負わされるのだろうか。
その答えはやはり福島第一原発事故の対応がどう歪んでいるかに隠されているはずだ。現状は、チェルノブイリと同じく低線量被曝の影響はあまりないというキャンペーンで埋め尽くされていると言っていい。その典型が朝日新聞が12月1日に報じた「東京の伊藤病院の岩久建志医師らが30日、日本甲状腺学会で発表した情報」だろう。もともと福島県から昨年の原発事故後多数の患者が検査を受けに来ていたはずで、その数を区別せずに、伊藤病院での検査結果と福島県内での検査結果が同じ傾向だというのは被曝の影響隠しが露骨だとさえ言える。
もう一つの特徴は、原発廃炉への道筋が立てられず、原発再稼働の動きがかなり露骨に見られることだ。つまり、あいかわらず、日本の原発が地震などで事故を起こし、日本が世界の核廃棄物処分場になることを望んでいる勢力がかなりいるということだ。このことの背景には自国で原発事故が起こるよりは日本で起こったほうがまだましだし、高レベル核廃棄物を自国で保管するよりも日本で保管したいという意向もあるのだろう。
だから、日本の原発の将来の役割は二つある。一つは低線量被曝を全国規模で引き起こすこと。そうすることによって、長期間、多分50年程度かけて日本の国家崩壊をねらうということだろう。もう一つは本格的な原発事故を起こすことにより一気に広く国土を放射能汚染させることだ。
しかし、既にインターネットが世界的に普及し、それによる世論コントロールはかなりの程度完成の域に達している。今更低線量被曝の危険性のある核兵器を使う意味はあまりない。だから、アメリカにしてもその他の西側諸国にしても核兵器廃絶を少なくとも将来の選択肢に加えているはずだ。
そうであれば、やはり日本は福島第一原発事故による低線量被曝の影響をきちんと公表してその深刻さを明らかにし、脱原発に踏み切るべきだろう。そして、既にある高レベル核廃棄物の処分は乾式キャスクに入れて地上保管するしかなく、いかに安全にかつ低コストでそれを実現できるかを日本の総力を挙げて研究していくしかない。
そうしなければ、このまま低線量被曝の影響が隠れて進行し、そのことが却って原発再稼働を促す結果になり、本格的に次の原発事故による国土の放射能汚染と世界の高レベル核廃棄物処分場になることを自ら招き入れることになるのではないだろうか。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1245>>TC:38199,BC:14997
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素29掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。