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福島県の甲状腺検査結果と都心の黒い物質の放射能の関係
気が重い話だが、避けて通ることのできない問題が低線量被曝の影響だ。福島県内の学童の調査で約半数の学童の甲状腺にのう胞が認められている。また、一人の甲状腺がん発症が確認されている。普通数万人どころか十万人に一人もいないとされる小児甲状腺がんがまだ何万人と言う段階で見つかったのは驚くべきことだし、その学童の被曝程度が確認されていないことから、つまり、尿中の放射性セシウム量が調べられていないことから、公的には被曝と関係ないとされるが実際はまさしく被曝の結果の発がんであると思えてしまう。
昨年の原発事故直後の3月から4月段階で弘前大学などの有志によって原発近隣地区の甲状腺被曝の検査がされていたし、福島県自体が大規模に甲状腺検査を昨年夏の段階で開始している。しかし、そのコントロール群の検査は事業の入札が行われたのが今年の8月、福島以外の県3県で1500人ずつ検査をするとされているが現在検査が始まっているのは長崎県だけだという。疫学上、コントロール群の検査は必須であり、昨年の3月時点でコントロール群の検査が必要なことは分かっていたのにこんなに遅れたのは故意だと言っていい。一部では、超音波の検診方法を統一するためとか、最新機器を福島でのものと同じにそろえるためと遅れの理由づけが行われているが、最新機器がそもそも使われているのかどうかもはっきりしていないし、数年前のモデルとどの程度の検出性能の差があるのかさえ発表されていないことから、これはただの逃げ口上だろう。
では、なぜ遅れたか。理由は他の地域が福島の状況に近くなるのを待っていたということだ。それ以外合理的な説明がつかない。つまり、本来市街地からはどけられていた瓦礫が広域処理されたし、関東から東北に広く分布する1キロ数万ベクレルと言う黒い物質については行政が全く対応しようとしない。そんなに処分費用が掛かるわけではないのにほぼすべての市町村の担当部局が放置という対応を取るのはそういった対応をとれとどこかから指令が出ているはずだ。つまり、これらの黒い物質には放射性セシウムだけでなく、他の核種も濃縮されている可能性が強く、だからこそ、事故後セシウムしか検査されてきていないのだろう。つまり、一般市民が使うことができるサーベイメーターでは検出できないアルファ線核種やベータ線核種がかなりの程度今でも福島第一原発から排出されているということだ。
福島第一原発は少なくとも地震でかなりの程度壊れたはずだ。だからこそ、東電やIAEAが設置していた監視カメラの映像が公開されていない。そして、地震でかなりの程度放射能も漏れたのだ。だからこそ、スピーディのデータを避難に生かすことをしなかったのだ。もし、避難時に被曝を避けてしまえば、あとで地震直後の被曝のことが問題になってしまう。地震直後に被曝したことを隠すためにスピーディのデータを公開せずに避難時に被曝をさせ、地震直後の被曝をごまかしたということだ。
そして、地震でかなりの程度壊れたのであれば、その後の東電の発表のかなりの部分は偽物で作り物であった可能性が高い。そして、次の発表も真実かどうかは疑問だ。
http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110826010/20110826010-2.pdf
(別表1)
解析で対象とした期間での大気中への放射性物質の放出量の試算値(Bq)
核種 1 号機 2 号機 3 号機 放出量合計
Xe-133 3.4×1018、 3.5×1018、 4.4×1018、 1.1×1019
Cs-134 7.1×1014、 1.6×1016、 8.2×1014、 1.8×1016
Cs-137 5.9×1014、 1.4×1016、 7.1×1014、 1.5×1016
Sr-89 8.2×1013、 6.8×1014、 1.2×1015、 2.0×1015
Sr-90 6.1×1012、 4.8×1013、 8.5×1013、 1.4×1014
Ba-140 1.3×1014、 1.1×1015、 1.9×1015、 3.2×1015
Te-127m 2.5×1014、 7.7×1014、 6.9×1013、 1.1×1015
Te-129m 7.2×1014、 2.4×1015、 2.1×1014、 3.3×1015
Te-131m 2.2×1015、 2.3×1015、 4.5×1014、 5.0×1015
Te-132 2.5×1016、 5.7×1016、 6.4×1015、 8.8×1016
Ru-103 2.5×1009、 1.8×1009、 3.2×1009、 7.5×1009
Ru-106 7.4×1008、 5.1×1008、 8.9×1008、 2.1×1009
Zr-95 4.6×1011、 1.6×1013、 2.2×1011、 1.7×1013
Ce-141 4.6×1011、 1.7×1013、 2.2×1011、 1.8×1013
Ce-144 3.1×1011、 1.1×1013、 1.4×1011、 1.1×1013
Np-239 3.7×1012、 7.1×1013、 1.4×1012、 7.6×1013
Pu-238 5.8×1008、 1.8×1010、 2.5×1008、 1.9×1010
Pu-239 8.6×1007、 3.1×1009、 4.0×1007、 3.2×1009
Pu-240 8.8×1007、 3.0×1009、 4.0×1007、 3.2×1009
Pu-241 3.5×1010、 1.2×1012、 1.6×1010、 1.2×1012
Y-91 3.1×1011、 2.7×1012、 4.4×1011、 3.4×1012
Pr-143 3.6×1011、 3.2×1012、 5.2×1011、 4.1×1012
Nd-147 1.5×1011、 1.3×1012、 2.2×1011、 1.6×1012
Cm-242 1.1×1010、 7.7×1010、 1.4×1010、 1.0×1011
I-131 1.2×1016、 1.4×1017、 7.0×1015、 1.6×1017
I-132 1.3×1013、 6.7×1006、 3.7×1010、 1.3×1013
I-133 1.2×1016、 2.6×1016、 4.2×1015、 4.2×1016
I-135 2.0×1015、 7.4×1013、 1.9×1014、 2.3×1015
Sb-127 1.7×1015、 4.2×1015、 4.5×1014、 6.4×1015
Sb-129 1.4×1014、 5.6×1010、 2.3×1012、 1.4×1014
Mo-99 2.6×1009、 1.2×1009、 2.9×1009、 6.7×1009
※出典:原子力安全に関するIAEA 閣僚会議に対する日本国政府の報告書-東京電力福島原子力発電所の事故
なぜなら、海水注入により海水中の塩素が中性子線の照射を受けて放射性イオウになったはずで、そのS-35が含まれていない。更に、Ag-110mも載っていない。多分、放出量が少ないからと言う理由づけがされているのだろうが、だからと言って、これらの放射性核種が生物体内に入った場合、どんな影響があるのかは分かっていない。分かっていないという意味は安全だとは確認されていないという意味で、危険性がある可能性があるのだ。
ましてやこういった微量の放射線核種が何種類も体内へ入った場合、それらの相乗効果がどうなるか、多分研究はされているはずだがほとんど公開はされていないはずだ。
つまり、短く見ても今後数十年にわたってチェルノブイリと同様か、またはもっと複雑な各種の健康被害が福島県やその周囲の地方では起こってくるだろうし、その地域が北海道や九州にも及んでいる可能性は高い。
そのためにも、甲状腺のコントロール群の調査はちゃんとされる必要がある。つまり、どういった機器を使い、どのようなことを検査の注意点としているのかが公開される必要がある。もちろんどんな基準で長崎の被験者が選ばれているかの情報公開も必要だ。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1243>>TC:38193,BC:14900
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