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脱原発のドイツ 負担のバランス課題
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2012112902000101.html
2012年11月29日 東京新聞[核心]
ドイツで家庭の電気代が来年から年に100ユーロ(約10,600円)程度値上がりする。太陽光や風力などによる発電が急激に増え、そうした再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされている「賦課金」が、今年の約1.5倍に跳ね上がるためだ。2022年までの原発全廃を決めたドイツの必要経費だが、負担をめぐり「大企業減免のツケが国民に回される」と批判の声が上がる。同じ制度を導入した日本でも、総選挙後の新政権は負担のバランスという課題に直面しそうだ。 (ベルリン・宮本隆彦)
◆庶民感情
「脱原発には賛成だけれど、この値上げは大きすぎる」
ベルリンで夫と長女とともに暮らす弁護士のカトリーヌ・ミュールシュテットさん(37)は憤慨する。
賦課金を算定する送電事業者は先月、1キロワット時当たりの賦課金が13年には0.0528ユーロ(約5円)と前年の1.5倍になると発表。それによると、3人暮らしの平均的家庭(年3,500キロワット時使用)は賦課金負担が年60ユーロ増える計算だ。しかし、値上げ幅はさらに膨らみ、大手電力会社が今月相次ぎ決定した来年からの電気料金は、発送電費用なども上昇するとして年約900ユーロから約1,000ユーロへと改定されている。
ドイツでは2000年に始めた固定価格買い取り制度の下、再生エネの発電量が順調に増え、11年には全体の20%と初めて原発を上回った。発電量が膨らむにつれて賦課金も上がり、世界一高いと言われるドイツの電気代は上昇を続ける。
ドイツ国内の反応は複雑だ。独週刊誌フォークスが先月17〜18日に行った世論調査では、72%が「電気料金が上がっても脱原発をすべきだ」と回答。一方で公共テレビZDFが先月26日に公表した調査では「脱原発で電気料金が上がっても大丈夫か」との問いに77%が「否」と答えた。負担の必要性を頭で理解しても実際の支払いには抵抗感が先立つ「庶民感情」の表れだった。
◆改革必要
家庭の負担が重くなるのに対し、大企業は賦課金が減免されている。「国際競争力の維持」が理由だ。
脱原発を決めたメルケル政権は、産業界に配慮して減免基準を緩和。減免される対象は現在の700社から来年には2,000社に膨れ上がる。
ドイツ産業連盟は「減免なしでは企業が国外移転し失業率が上がる」と主張するが、野党「90年連合・緑の党」は「家庭は政府の間違った政策のツケを払わされている」と批判。来秋の連邦議会選挙をにらみ減免措置の圧縮を訴える。
ドイツ政府は脱原発のため再生エネの発電割合を50年までに80%へ高める計画だ。現行制度では電気代のさらなる高騰が避けられず、アルトマイヤー環境相も「抜本的改革が必要」と強調する。
[再生エネ買い取り 普及急ぐ日本]
日本では今年7月、再生エネの固定価格買い取り制度が始まったばかりだ。現在、再生エネの発電は全体の約1%(大規模水力を除く)。賦課金も電力消費が年3,600キロワット時の標準家庭で年800円弱にとどまる。
買い取り価格は毎年見直すが、まずは普及を図るのが大切との観点から、3年間は発電事業者に利益が出る高めの価格に据え置く。この好条件を追い風に国の認定を受けた大規模太陽光発電所(メガソーラー)など住宅以外の太陽光の発電容量は先月末時点で約162万キロワットに上り、短期間で過去の合計導入量の倍以上となった。
27日に野田佳彦首相が発表した民主党のマニフェストは「あらゆる政策資源を投入し再エネ・省エネを飛躍的に拡大する」とした。
総選挙に向けて再生エネ促進に反対する政党はないが、想定以上に賦課金が上がる恐れもあるだけに、料金値上げをできる限り抑える工夫と、今後の負担をめぐるきめ細かな議論が求められる。(岸本拓也)
[再生可能エネルギー固定価格買い取り制度]
太陽光や風力などで発電した電気を電力事業者が一定期間、高値で買い取ることを義務付ける仕組み。発電設備への投資が確実に回収できるため普及が進む。買い取りの際に上乗せした分は電気の利用者が「賦課金」として広く薄く負担する。
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