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国政への怒りに油注ぐ、候補者擁立の舞台裏 福島の総選挙
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012112202000129.html
2012年11月22日 東京新聞[こちら特報部]
国は情報を隠すばかりで、何もしてくれず、国会議員とて何の役にも立たなかった−。福島原発事故の被災住民たちの素朴な気持ちだ。国に対する憤りと無力感。それは総選挙を迎えても募りこそすれ、消えはしない。事故直下の福島5区では自民系候補らが公認をめぐりさや当てし、同1、2区では民主党がまだ候補者を探している。有権者の悲憤は置き去りにされたままだ。 (上田千秋、佐藤圭)
◆政治家役に立たず
「地元へ帰れるのか帰れないのか。先が見えない状況が一番、精神的につらい。しかし、国は何も決めようとしない」
福島県いわき市のJR常磐線泉駅近くにある泉玉露仮設住宅の一室で、住宅自治会の川上延男会長(68)はこう話した。
全域が警戒区域内に入る富岡町。約14,500人の全町民が県内外で避難生活を送り、同住宅では約220世帯、450人が暮らす。
2人家族用は2Kの間取り。収納スペースはなく、隣の家の物音が聞こえるような簡素なつくりだ。川上会長は「事故から1年以上たって、みんな疲労がたまっている。特に高齢者は弱ってきている」と打ち明ける。
昨年9月に同住宅ができて以降、これまでに6人が病気で亡くなった。「20日も、心筋梗塞で急死した90歳のおばあちゃんのお通夜があったばかり。高齢者には厳しい寒い季節が来る。仮設なんかで人生を終えることがないよう、一日も早く道筋を示してもらわないと…。ちゃんと動いてくれるなら民主党でも自民党でも誰でもいい」
福島5区は、いわき市と富岡町を含む双葉郡八町村を選挙区とし、有権者数は約33万人。うち富岡、双葉、浪江、大熊、楢葉の各町と葛尾村が全町・全村避難を強いられ、この6町村だけで約5万人の有権者が県内外で生活する。
被災住民が国会議員に期待しなかったわけではない。同じ仮設住宅に住む西原清士さん(61)は「国には要望を出してきたが、形になって返ってきたことはなかった。被災地のことは忘れてしまったのか」と語る。
「個人の力ではどうにもならない」と、富岡町からいわき市の借り上げ住宅に避難している矢内洋子さん(57)は切り出したが、「民主党は期待はずれで何もしてくれなかった」とあきらめ顔。
双葉町からの避難者の衣川俊一さん(67)は「被災住民との温度差が言われるけど、一番あるのは国会議員。国民のためにとか言いつつ、何も考えていない」と憤った。
一方、県外へ避難した人びとについては、選挙権の行使さえも脅かされている状況がある。
県選挙管理委員会によると、昨秋の県議選時点で、故郷に住民票を置いたまま、県外で暮らす人は約27,000人。県外避難者の場合、不在者投票を利用するのが一般的だが、各市町村選管から送られる投票手続きなどを明記した用紙が、公示日までに届かないケースも出てきそうだという。
さらに県外では遊説はおろか、政見放送を視聴できない。こうした制約も問題視されている。
◆被災者よりバッジか
こうした被災住民の国政に対する怒りは、今回の総選挙で解消されるのか。選挙前夜の状況を見ると、むしろ油を注ぐような事態が進行中だ。
福島5区に立候補を予定しているのは民主党前職の吉田泉(63)、自民党前職の吉野正芳(64)、自民党元職の坂本剛二(68)、共産党新人の吉田英策(53)の4氏。
被災者の思いをよそに自民党では身内のごたごたが続く。公示まで2週間を切ったが、吉野、坂本両氏ともに5区からの出馬を譲らないのだ。
二人は2000年の衆院選以降、一人が小選挙区で出馬、一人を比例代表選で優遇する「コスタリカ方式」での立候補を繰り返してきた。同方式がなくなった09年は坂本氏が5区から出馬し落選。吉野氏は比例名簿順位で優遇されて福島3区に回り、民主党の玄葉光一郎氏に敗れたが、比例で復活当選を果たした。
党県連は今回、内規に基づいて5区支部長の坂本氏を公認候補、吉野氏を比例単独立候補で名簿上位に登載するよう党本部に要請したが、結論は出ていない。
双方とも、「現職としてこの間、被災地のために動いてきた。古里のために働きたい」(吉野事務所)、「ずっと5区支部長として活動している。(吉野氏が)なぜ5区から出ようとするのか分からない」(坂本事務所)と一歩も引かない。
同じく被災地を抱えている福島1、2区では、民主党の候補者選びが迷走している。
民主党は前回09年の衆院選で、1区は石原洋三郎氏(39)、2区は太田和美氏(33)が当選した。だが、両氏は消費税率引き上げを含む社会保障と税の一体改革関連法案に反対して除名。「国民の生活が第一」の結党に参加し、衆院選でも同党から立候補する。
民主党福島県連は解散後、衆院比例東北前職の渡部一夫氏を1区に、同前職の山口和之氏を2区にそれぞれ擁立する方向で調整を進めた。だが、県連によれば、渡部氏が比例代表名簿での上位優遇を求めたのに対し、党本部は拒否。来夏の参院選比例代表への立候補が内定していた山口氏も慎重な姿勢を崩さない。
県連の佐藤実事務局長は「政権与党として被災地に候補者を立てないわけにはいかないが、民主党から出ようという人は少ない」と頭を抱える。
太田氏の事務所は「離党から新党へ、という動きを民主党内の政局と受け止める有権者もいると思うが、復興の道筋がつくまでは消費税増税をするべきではないという判断だ」と主張する。
福島5選挙区すべてに候補者を擁立する予定の共産党の久保田仁県委員長は「石原、太田両氏も政権の失敗に対する責任は免れない。被災住民は民主党の分裂劇を冷ややかに見ている」という。
被災住民の救済よりバッジ争いという風景を前に「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」(福島市)の佐藤幸子代表は怒り心頭だ。
「(各政党や前職らは)子どもたちを県外に疎開させるような活動に理解を示してこなかった。白紙投票で抗議の意思を示すしかないのだろうか」
前出の西原さんの妻千賀子さん(64)は、ため息交じりにつぶやいた。
「せめて事故の検証をやって次の世代に伝えてほしいのに、それすらまともにしない。政党をいくつもつくったり、コップの中の嵐というか、自分たちの世界でワーワー言ってるだけ。国会議員って、いったい何が仕事なんでしょうね」
[デスクメモ]
第三極という表現に違和感がある。おしかりを覚悟で記すと、一極、二極が現状で右派や極右なら、第三極は左派・リベラルが常識だと思うのだが、一、二極の補完物もどきにしか見えないのは錯覚か。とはいえ、問われるべきはフクシマを前にしても極を構築できない左派・リベラルの頑迷さだろう。(牧)
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