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「安全性の科学的な検証がなされ、安心という点で地元の理解が得られれば建設を妨げる理由はない」は欺瞞
原発についての議論の一つとして、「安全性の科学的な検証」ということが言われることが多い。しかし、仮にそれができたとしてもまだ問題がある。それは高レベル核廃棄物の処分ができないということだ。
高レベル核廃棄物の問題は原発が世界に広まった経緯を理解するための鍵だと言っていい。つまり、原子爆弾がやはり高レベル核廃棄物の問題を抱えていて、原子爆弾のみを保有していれば、国内から原爆反対と言う声が出てきてしまうからだ。つまり、原子爆弾保有を続けるために、原子力発電所が開発され広められたということだ。
だから、原子爆弾を保有しない国で原子力発電所があるのはもともとおかしなことだ。日本は将来いつか原子爆弾を持ち核武装ができるかもしれないという幻想でしかない希望を持たされて今まで原子力発電をやってきたが、現実に核武装することはできない。そして今、多くの原子力発電所が稼働30年を超えつつあり、廃炉と高レベル核廃棄物処分の問題が喫緊の課題としてその解決を迫っているが、当然のことながら解決のすべは見つからず、単に事故が起こるまで現状維持をしようと言う判断をするしかない状況に陥っている。そして、原子爆弾保有国は、事故で汚染されたその国の国土を世界中の核保有国が共同で核廃棄物処分場として使うことを目論んでいるわけだ。
そもそも、「安全性の科学的な検証」など不可能だ。なぜなら、地震がどのようなふるまいをするかはいまだにあまりよく分かっていないからだ。原子力発電所の直下でマグニチュードが6以上の地震が起こったことは世界中で一度もない。だから、現実にどんな被害が生じるかは実証されたものではなく、すべては想定でしかない。
しかも、現実はもっと悪い。わざわざ、そういった想定自体を甘く見積もってきていたのだ。例えば、ものが空中に跳ね上がるほどの地震の揺れがあると初めて分かったのが阪神大震災だという。1995年のことで、つい17年前のことだ。しかし、遺跡の地震跡とか伝承、古文書記録などを調べることで過去の地震の実像を解明しようという地震考古学が誕生したのが1988年だ。そして、例えば、加賀藩の町奉行であった津田政隣(つだまさちか)による「政隣記」には「屋根石は一尺ほど飛び上がり、、、築山などにある石灯籠の笠石は六尺くらい飛び上がり、落ちるときに四方に飛び跳ねた」と記されているという。(「地震の日本史」寒川旭 中公新書の149ページ)
阪神大震災で重力加速度である980ガルを超える地震波が地震計によって記録され、やっと初めてものが飛び上がるような揺れがあり得るということが地震学者の共通認識になったのだという。それまでは「地震で物が飛び跳ねた」と言っても信じてもらえなかったという。
そもそも、地震考古学などたいそうな名前を付けなくても、過去の地震の様子を調べることは当然ではないだろうか。なぜなら、マグニチュードが7を超えるような地震が陸域で起こることはめったになく、その実態を調べるためには歴史的な地震を調べるのが早道だからだ。
その他にも、活断層評価が日本はアメリカよりも甘く行われてきたという指摘もある。
浜岡原発は東海地震の震源域の真上にある。東海地震によってあの地域は一気に数メートル跳ね上がったことがすでに確認されている。ところが、現在、中部電力は東海地震が起こると原発敷地は緩やかに傾斜するのだと主張し、再稼働のための準備をやっている。
日本はいまだに戦後から脱却できていない。少なくとも原発は今この機会にすべて廃炉にしなければ、日本は次の原発事故が起こり、世界の核廃棄物処分場になるしかなくなる。もしそうでないというのなら、どう原発廃止を進めるのか、そのロードマップを示してから原発維持を言うべきだ。
石原元東京都知事、現維新代表の「原発廃炉をいうことは現実の経済に対する悪影響を無視していて無責任だ」という主張は一見正しそうだが、実際には大きな誤りだ。死に至るような病気、例えばガンにかかっているのに、今勤めを辞めて手術すれば生活が成り立たないから手術するのは無責任で、勤めを続けるべきだという主張と同じだからだ。当面の生活を守るために死ねと言っていることと同じだ。日本は、今なら、まだ十分に原発を止めて再生可能エネルギーへのシフトすることが可能だ。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1217>>TC:38139,BC:13924
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