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次の文書を鹿児島県議会へ陳情として提出してきました。
原発を巡るできごとが非常に不自然であることを理解した上で政策論議をして頂くことを求める陳情
平成24年11月16日
陳情の趣旨:原子力をめぐるさまざまなことは非常に不自然な状態です。まずどのような点が不自然かを述べます。
1. チェルノブイリ事故が1986年に起こり、ヨーロッパ一帯に放射性物質の汚染が広がりました。また昨年福島第一原発事故が起こり、やはり太平洋へかなりの量の放射性物質が漏れ、これは現在も続いています。またどちらの事故でも地球を何周も回るほどの放射性物質が大気中へ漏れだしました。原発が100%安全なものであれば別ですが、現実に事故が起こっているわけで、しかもその影響は国際的なものであるにもかかわらず、なぜ国際的な被害をどう補償するかの議論がされないのでしょうか。まるで今の状況は、事故が起こることが多くの関係国にとって利益になるということを前提にしているように見えます。原発を持つ国々が一定金額を積み立てて基金を作ることなどかなり対策は簡単にできるはずですが、なぜ原発事故は有り得るということを反映した政策がされないのでしょうか。
2. もともと高レベル廃棄物の処分方法がありませんでした。原子爆弾を製造した時点から高レベル廃棄物の処分ができないと分かっていたはずですが、なぜ、高レベル廃棄物を増やす原子力発電が世界中に広められたのでしょうか。アメリカ国内では1979年のスリーマイル島原発事故以来原子炉の新設は行われていません。しかし、例えば2010年には何回か日本の原発メーカーがアメリカ国内での原発新設工事を受注したという報道がされました。そもそもアメリカは、2010年当時のブッシュ大統領が原子力再興(原子力ルネッサンス)を唱えましたが、現実にはアメリカ国内で新規原発着工はされず、その代わりにベトナムなどの新興国への原発輸出を主に日本のメーカーからさせることが行われました。そして、こういった動きがある中、依然として、高レベル廃棄物の処分方法は決まらないのです。アメリカの公的機関は乾式キャスクによる地上保管を言い出していますが、一部の機関は地層処分をするべきだという主張を維持していて政府の統一見解にはなっていません。日本においても日本学術会議が地層処分は不可能であり当分乾式キャスクによる地上保管しかないという見解を発表しましたが政府としての統一見解は出ていません。地層処分における安全保管期間はアメリカでは100万年が義務付けられていて、これは現在の人類が出現したのが50万年ほど前であることを考えると人知を超えた期間です。更に、ほとんどの放射性物質は重金属であるため重金属毒性を永遠に持ちます。そういったものをまとまって何百万トンまたは何千万トンも地層処分することは可能なのでしょうか。まして、地下水の動きが広範囲になる北アメリカ大陸とかユーラシア大陸で可能なのでしょうか。これらのコストを考えると原発のコストはずっと高くなるはずですが、なぜこれらのコストはきちんと算定されないまま、原発が世界中に広められたのでしょうか。特に、日本や台湾のような地震頻発国へなぜ原発が建設されたのでしょうか。
3. 昨年の福島第一原発事故の原因が解明されていません。地震の影響がどの程度あったのかが未解明であるからです。しかし、原子炉や核燃料保管プールの上部など原子炉建屋内部の各所に監視カメラが東電やIAEAによって設置されていました。それにもかかわらず、これらの映像を検証することが行われていません。非常用電源が落ちたのは地震の1時間程度後のことですから、地震時の映像は確実に残っているはずです。普通、監視カメラは非常時のバックアップ電源を持ち、映像もリアルタイム監視の必要上オンラインで外部へ送られているはずです。日本政府や各検証委員会、または外国政府、そして、IAEA自体を含めてなぜ映像の検証をしようと言わないのか、大変に疑問です。もし地震被害がないのならばそのことを明確に証明することは再稼働を進める上で大変に有利なことですから、地震被害があったことが隠ぺいされていると考えるしかありません。しかし、そうであるなら、なぜ、国際的にその隠ぺいが許されてしまうのでしょうか。
4. 福島第一原発事故で1号機や3号機の爆発映像はマスコミ報道され今でもインターネット上で見ることができます。しかし、4号機爆発は3号機爆発よりも後で起こったとされるのに一切映像が公開されていません。4号機建屋は崩壊がひどく、その崩壊の仕方も建屋の下部での崩壊があり、爆発映像が隠ぺいされていることは大変に不自然です。
5. 10月1日の原子力安全対策等特別委員会で「地震の静穏期とか活動期といった区別はないと専門家が言っている」と言う趣旨の発言がありました。しかし、これは広い地域、たとえば日本全体とかまたはアジア全体などを対象にした場合であり、関西エリアや関東エリアなどの広さを対象にすると地震活動期があることは実証されています。このエリア設定は海溝型地震の震源域の周辺であり、鹿児島から四国、関西までは南海地震の震源域の周辺です。海溝型地震が発生する前の数十年間、その震源域が地震空白域となり、空白域の周辺でマグニチュードが6から7程度の地震が発生するという現象が確認されています。昨年末の政府発表では南海地震の発生確率は今後30年間で90%ですから、既に鹿児島を含めて南海地震震源域の周辺では地震の活動期に入っていると見るべきです。1995年の兵庫県南部地震、1997年の鹿児島県北西部地震、2005年の福岡県西方沖地震などはみな周辺域での地震とみなすことができます。原子力安全対策等特別委員会では地震活動期の意味が誤解されているように思えます。
6. 福島県内の学童を対象にした甲状腺検査の結果、約半数の甲状腺にのう胞が発見されています。しかし、それが正常か異常かを判断するための比較対象群の検査が未だに実施されていません。昨年夏にはかなりの数の学童の甲状腺検査がされ、その時点で疫学上比較対象群の検査が必要だということは分かっていたはずです。しかし、比較対象群の検査をする事業の入札が行われたのは今年の夏であり、福島県外の3つの県で各1500名ずつ検査をするということですが、対象県として長崎が決まっているだけでその他の県はいまだに選定されていません。環境省に問い合わせると、福島県での検査と同じ条件でやる必要があり、同じ機器、同じような技術水準の先生方がなかなかそろわないため遅れているという話です。しかし、ソナーによる甲状腺検査は決して特殊なものではありません。これでは、医師や用いる機器により体温が異なることがあると言っているのと同じようなものです。もともと疫学調査には感度、特異度、尤度(「ゆうど」)というものが考慮されるようになっていて、調査環境の違いをこれらの指標を用いることによって乗り切ることができるようになっています。また、震災瓦礫の広域処理が今年の春から言い出されましたが、昨年9月の段階で、瓦礫は被災地の市街地から海岸などへ搬出が終了していました。復興の妨げになるというのは明確な間違いであり、放射性物質の拡散が複数県に渡ることを考えたとき、福島県以外の瓦礫であってもそれを焼却処分することはその近郊に新たな放射性物質の汚染を広げることにほかなりません。つまり、瓦礫の広域処理は甲状腺検査の比較対象群での検査で、福島県内での検査結果と同じものを得たいという意図があったとさえみなせるのです。チェルノブイリ事故では事故から5年程度で急激な甲状腺がん発症の増加がみられました。日本でも同じようなことが起こることが予想され数年後には被害が明らかになることが予想されます。なぜ今、当面だけ被害状況をごまかすような動きがされているのでしょうか。
以上、6点、どう考えても不合理なことを述べましたが、これら以外にも不合理不自然な点は数限りなくあると言っていいほどです。日本は地殻の活動が大変に活発な国であり、日本において高レベル廃棄物の地層処分はとても安全を担保できません。更に地上保管でさえも火山活動や地殻の変動を考えると困難です。もしある程度以上の事故が起こればそれは地球的な放射能汚染になり、世界各国どの国にとってもいいことではありません。また、低レベルの被曝であってもその影響が深刻なことは最近やっと解明がされてきています。これらのことを明確に意識し、原発を巡る政策を議論してくださることを陳情します。
以上
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1217>>TC:38121,BC:13387,PC:?、 Mc:?
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