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http://news.nicovideo.jp/watch/nw428592
2012年11月13日(火)14時30分配信
小林よしのり
『脱原発論』(幻冬舎)を出してもなお、「原発ゼロは是か非か」などという論争が行われている。
だが実は、こんな論争は既にとっくに終わっているのである。
もう「是か非か」なんて論争をやっているような段ではない。
原発ゼロか、あるいは何%存続させるかなんてことは、論争によって選択できるような問題ではないのだ。
我々には、選択肢は一つしか用意されていない。
「原発ゼロ」しか選びようがない。
それが現実なのである!
『週刊ダイヤモンド』11月10日号で、前内閣参与・田坂広志氏がこう語っている。
「まず第一に理解すべきは、『原発ゼロ社会』とは『政策的な選択』の問題ではなく『不可避の現実』だということだ。たとえ絶対安全な原発が開発されても、高レベル放射性廃棄物と使用済み燃料の最終処分の方法が見つからない限り、原発は止めざるを得ない。経済界は、この致命的な問題から目をそらしているが、この現実は否応なく迫ってくる。」
仮に原発推進論者の主張が正しくて、原発のコストが最も安かったとしても、絶対安全な原発が開発されたとしても、原発を運転すれば、必ず高レベル放射性廃棄物と使用済み燃料は増え続ける。そして、これを処分する方法はないのだ。
これまで国は、使用済み燃料を「再処理」してプルトニウムとウランを取り出し、残った高レベル放射性廃棄物を「地層処分」、つまり安定した地下深くに埋めることによって最終的に処分するとしてきた。
再処理をしない場合は、使用済み燃料を直接地下に埋め、これを最終処分とすることになる。
いずれにしても、10万年放射性レベルが安全値まで下がらない廃棄物を「地下に埋める」というのが最終処分であり、これができることを前提にして、原発は動いていたのである。
ところが9月11日、わが国最高の学問的権威である日本学術会議は、原子力委員会に提出した公式報告書で、こう結論づけた。
「現在の科学では10万年後の地下の安定性を証明することは不可能であり、日本で地層処分を実施することは適切ではない。」
日本では、地層処分はできないのである!!
国が、原発を稼働する前提とし続けた「地層処分ができる」という条件は、ウソだったことがもう明白になっているのだ!
日本だけではない。世界中のどの国も、核のゴミを埋める場所は確保していない。具体的に検討が進んでいるのは、フィンランドのオンカロただ1カ所しかないのである。
捨て場がない以上、取りあえずは何らかの貯蔵施設で数10年から数100年、暫定保管しておくしかない。
だが原発事故を経験した上に、「最終処分」の方法がないことが明白にされた今、新たな「貯蔵施設」の建設に同意するような地域が現れるとは思えない。
そうなれば、各原発に設置されている使用済み燃料プールが満杯になった時点でオシマイ。仮にどんなに安かろうが、どんなに安全だろうが、原発はもう動かせないのである。
現在、日本の全原発の燃料プールの貯蔵率は平均70%弱まで来ており、あと6年程度で満杯になるとの試算もある。
青森県六ケ所村の、未だ動く見込みのない再処理工場のプールには、全国の原発から運び込まれた使用済み燃料が保管されている。
民主党政権は「2030年代に原発ゼロを目指す」と言いながら、それならば不要になるはずの再処理工場については稼働させる方針という矛盾したことを言っている。
それは、再処理工場を稼働させないなら、プールにある使用済み燃料を各原発に返却すると青森県が言っていることも原因であろう。
もし六ヶ所村から使用済み燃料を突っ返されたら、全国の原発の燃料プールの余裕はさらに半減し、あと3年程度で満杯になるのだ。
どんなに原発の必要性を訴えようが、実際に原発を再稼働したら、たった6年後、もしくは3年後には否応なく「原発ゼロ」にせざるを得ない現実にぶち当たるのだ。
「原発ゼロ」は「政策的な選択」の問題ではない。
「不可避の現実」である。
経済界や、その飼い犬のマスコミ・知識人は「脱原発は非現実的」と言い続けているが、正反対である。
原発維持こそが、非現実的なのである!
「空想的原発推進論」なのである!!
小林よしのりライジング 「小林よしのりライジング Vol.13」より
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