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福島産農産物、ネットで“反撃” 原発事故の風評被害に
2012年11月11日 00:11 カテゴリー:社会 九州 > 熊本
「今年もおいしく育った」と収穫直前のリンゴを手にする菱沼健一さん=福島市飯坂町 東京電力福島第1原発事故から2回目の秋を迎えた福島県。1年8カ月たった今も農産物の風評被害はやまないが、農家の中には、インターネット販売に活路を見いだそうとする動きが出ている。放射性物質が検出されなかった野菜や果物を直接、全国の消費者に届ける新たな試みだ。「自ら動いてピンチをチャンスに変えたい」。農家の意気込みが九州にも顧客を広げている。
第1原発から70キロ離れた福島市飯坂町。サクランボなどの農園を営む菱沼健一さん(60)は東日本大震災後、ネット販売を本格化させた。モモのジュースは1リットル700円だが、全国から注文が相次ぐ。今月はリンゴ5トンをネット販売会社「熊本大嶌(おおしま)屋」(熊本県宇城市)に出荷する予定だ。
風評被害のあおりを受け、昨年は販売量が半減した。「不満ばかり言っていても始まらない」。菱沼さんは今年、全ての果樹の枝や葉っぱを高圧洗浄機で洗った。収穫した果物はいずれも放射性物質は不検出。菱沼さんは「洗浄したおかげで虫が付かなくなった。買ってくれる人を生産者側から求めていく時代がやって来た」と意気込む。
福島県二本松市でキュウリとコメをつくる斉藤登さん(53)は昨年、市場に持ち込んだ野菜がいずれも、ほぼ半値で買いたたかれた。このため農家の仲間21人が集まって昨夏、NPO法人「福島県有機農業ネットワーク」を設立。今夏から月1回、有機栽培の野菜や果物など10品目を「ふくしま新ブランド」(送料込み2980円)として送るネット販売を始めた。
当初3人だった会員は4カ月で160人に拡大。コメなど単品購入者は全国で約3800人に上り、九州からも約150人が支援する。安全をPRするため放射性物質は自主検査する。「10年後に世界一安全安心でおいしい農産物と評価されるよう頑張る」。斉藤さんはこう力を込めた。
菱沼農園=024(542)5015。福島県有機農業ネットワーク=024(324)1795。
=2012/11/11付 西日本新聞朝刊=
原発・フッ素28
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