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原発甘かった断層評価
東京科学医療部・小池竜太、今直也
原発敷地内の断層が活断層かどうかをめぐって全国の原発で検証を進めてきた、経済産業省原子力安全・保安院の評価結果がほぼまとまった。6原発は活断層ではないと否定するだけの根拠が不十分として、追加の地質調査をすることになった。結果次第では廃炉や長期停止になる可能性がある。敷地外の断層も一緒に動いて想定を上回る揺れが原発を襲う恐れがあり、見直しが迫られている。
◇6カ所で追加の地質調査
2010年に国が作った原発の耐震指針の手引は、活断層の真上に原子炉などの重要施設を造ることを認めていない。地震が起きた場合に、建屋や機器が壊れたり、傾いたりして安全性が担保できないからだ。
「活断層である可能性を否定できない。むしろ典型的な活断層の破砕帯に非常に似ている」。今年4月、保安院による日本原電敦賀原発(福井県)の現地調査。原子炉建屋直下を走る断層をみた、産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員は話した。
この断層は、原発敷地内を走る活断層「浦底断層」が動くと、引きずられて一緒に動く可能性が指摘されていた。日本原電の調査が遅々として進まない中、保安院が現地調査に乗り出したものだった。
敦賀原発の調査結果を受け、保安院は7月、全国の原発敷地内の断層の再検証を開始。その後、動く可能性が否定できない断層が次々と浮上。再調査が必要な原発は6カ所に上った。
7月17日の保安院の専門家会合では、北陸電力志賀原発(石川県)の1号機の直下を通る断層も活断層の疑いが出た。
北陸電力が提出した掘削調査時のスケッチを見た、委員の今泉俊文東北大教授は「典型的な活断層」「よく審査を通ったなとあきれている」などと発言。北陸電力は1987〜88年の審査時、「浸食で生じた」もので活断層ではないとし、保安院も原子力安全委員会も追認していた。
◇新指針でリスク浮上
なぜ今まで、これらの原発の断層が見逃されてきたのか。
活断層の定義は2006年、国の耐震指針改定で拡大した。旧指針では、5万年前までに動いた活断層が対象だったが、新指針は12万〜13万年前以降の活動が否定できない断層にまで対象を広げた。これによって、これまで活断層ではないと判断してきた断層も活断層の可能性が指摘されるようになった。
審査の甘さも否定できない。耐震指針の改定に伴って志賀原発は08〜09年にかけて再評価されたが、07年に能登半島地震が起きて海底活断層の検討に重点が置かれ、原発敷地内の断層は審査されなかった。保安院の森山善範・原子力災害対策監は「もう少し丁寧に見れば良かった」と話す。
設置後に原子炉の直下に活断層があると分かった場合、廃炉にするかどうかの明確な基準はない。近く発足する原子力規制委員会の判断に委ねられる。規制委員長候補の田中俊一氏は、国会で「新たな調査の結果、活断層による影響があるとの判断となれば、運転の停止を求めるべきだ」と明言している。
◇連動揺れ、想定見直し
原発敷地外の断層についても、周辺に複数ある活断層が一緒に動き、想定を超える地震の揺れを引き起こす恐れがあるとの指摘が出ている。各原発の耐震性を評価し直す動きが進む。
東日本大震災が起こり、保安院は従来の考え方にとらわれない検討が必要と判断。それまで一緒に動かないとみていた5キロ以上離れた断層がともに動くかどうかを再検討するよう、電力会社に指示。専門家会合で議論してきた。
その結果、北海道電力泊など5原発で、周辺の活断層の連動が否定できず、従来の揺れの想定を超えることがわかった。
敦賀原発は、敷地外の活断層と敷地内の活断層「浦底断層」が一緒に動く可能性が指摘されている。浦底断層は原子炉建屋から200メートルしか離れておらず、従来の方法で揺れの大きさを評価して良いかわからないとして、計算方法自体を見直すことになった。
断層が問題視されなかった原発でも、安全が確認されたわけではない。
敷地外の活断層の連動では問題ないとされた中部電力浜岡原発(静岡県)は、プレートが沈み込む境界型の東海地震の想定震源域の真上にあり、巨大津波への対応が迫られている。保安院は、福島第一原発事故を踏まえ各原発への津波の影響を検討しているが、「あまり経験がなく難しい」(保安院幹部)として、作業が遅れている。
◇ ◇
《筆者の一人、小池竜太から》
全国の原発敷地内の断層を原子力安全・保安院があらためて見直しました。6カ所の原発では、断層が動く可能性が否定できないと指摘し、追加調査を指示しました。特に敦賀、志賀、美浜、もんじゅの4カ所では、原子炉建屋の直下に、こうした断層があります。
今回の再検証で新たに見つかったものではありません。いずれも、以前から国も事業者も知っていて、「動かない」と説明してきたものです。活断層の専門家からは「報告をした事業者だけでなく、審査にあたった国や専門家の責任は重い」との指摘も出ています。
追加調査の指示を受けた事業者は、地面に溝やトンネルを掘って断層を直接観察したり、土を分析したりして、これらの断層の動いた時期を調べることにしていますが、動かないことを証明するのは難しく、調査には相当長い時間が必要になるでしょう。
私は入社してから来月で丸9年になります。このうち7年半を原発立地県で過ごしてきました。
昨年の東日本大震災、そして福島第一原発の事故発生時には、伊方原発がある愛媛県にいました。福島の事故後、地元の人たちの原発への見方ががらりと変わったことを肌で感じました。
福島の事故以前とは全く違う厳しい視線が注がれていること、そして万一の際には大きな被害を受ける原発所在地の人たちの不安をしっかりと受け止めて、事業者と国は徹底的な調査と説明を尽くしてほしいと思います。
コメント一覧 (3件)
人里離れた海岸に潜む二重のリスク
投稿者:SARU 投稿日時:12/09/05 15:28
地震国日本で起こるべくして起こったという原発事故が福島であった。余りにも事後の経過が不安定で処理に住民・国民に不信感をもたらした。にもかかわらず原発再開に動いてしまった。しかも活断層の上に設置されたところのようだ。そもそも一般的に分かりにくいのだが地下の地層が新しく動きが活発なのだろうか。こういった箇所が全国にはあるのだろう。想定の基準がどのようであったのかは見えないが災害の起こる危険な箇所の原発の立地の検証はいるのだろう。その結果はメディアの報道の公表を待つことになる。福島の事故の検証がないまま再稼動に走った経緯は国民の生活の安定とはいえないリスクを負わされることになるのだろうか。
「結論ありき」の調査では?
投稿者:MMMK 投稿日時:12/09/03 12:32
原発政策を推進してきた保安院が、活断層の再点検を始めたと聞いても、俄に信じることはできません。「安全でした」という結論を出すことが、決まっているのではないでしょうか。
若い方々はご存じないでしょうが、数十年前に原発建設が決定すると、建設省(当時)の地質図から活断層が消されたという噂が、度々、囁かれていたのです。当時は半信半疑でしたが、今になって考えれば本当だったのだと思います。そうでもしなければ、地震大国の日本に、54基もの原発が作れるはずはありません。なぜ、そこまで無理をして、原発を造ったのかも謎です。
それは別にして、本来なら廃止されるはずだった保安院が、「駆け込み的」に調査を始めた意図に、疑問を持たなくてはいけません。研究者から「活断層の可能性が高い」と指摘された大飯原発を、証拠資料を隠蔽したまま再稼働させてしまった理由に、疑問を持たなくてはいけません。
再調査による安全宣言で、新しく発足する規制庁を縛るのが目的ではないでしょうか。
最悪32万人死亡
投稿者:Say爺ちゃん 投稿日時:12/09/01 05:09
朝刊(8/30)一面が、科学面を飲み込んだ。ギョッとする見出し(かつ中央見開大特集)だが、膾を吹く感じの注意喚起記事。ところが、通読中に2発大揺れ。
各紙似たような大見出しらしく、早朝ラジオがその32万人を読む。国会の茶番劇よりこの方が大切・インパクトありと各紙が判断したところが寂しくも面白い。
さて活断層。小池・今両記者は、今さら何を!と地団駄を踏みながら書いたのではないか。調査が遅々として進まない日本原電をさておいて、産総研が早々と調査し、結果を公表出来たのは、その昔、自らと同一組織内の産総研指摘(貞観津波)を無視し続けた保安院を含む原子力ムラの反省(の姿勢だけ?)の現れか。また東北大・今泉教授の「よく審査を通ったものだ」も同じことがいえる。その昔なら、発言が削除されるも何よりも、当時なら担当委員に選ばれていたか否か。
活断層精査による不測の事態の予測もよいが、世界の地震2割が日本(8/27朝刊)だけで原発断念材料だ。
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