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福島県での学童への甲状腺検査に対する比較対象検査が遅れている。
昨年3月11日の大震災に起因する福島第一原発事故で漏れた放射能による影響が心配されている。事故の1か月ほど後に高線量地域での甲状腺被曝量の調査がされた。また、甲状腺の異常があるかどうかについての検査は昨年夏ごろから開始されている。
今のところ、明瞭な被曝の影響は観察されていないということだが、学童の半数程度に甲状腺ののう胞が観察されている。このことを巡って、被曝をしていない地域との比較検査の必要性があり、それを求める日本弁護士会が昨年10月に出されている。
そもそも、疫学調査の観点からは、被曝の影響調査をするにあたって、被曝の影響がない地域との比較が必要であることは常識で、昨年の春の段階で分かっていたことだ。
ところが、この比較調査の予算が付き、その入札が行われたのが今年の8月であり、いまだに調査自体が行われていない。
このことについて、内部被ばく問題研究会から落札をした団体へ公開質問状が出されている。この公開質問状は10月15日付だが、11月6日の午後1時段階でまだ回答がないという。
環境省の参事官室に問い合わせると、福島県外3か所で合計4500人を対象に甲状腺検査をするが実施個所として決まっているのは長崎県だけだという。長崎県内の高校や小学校に依頼して検査をすることになるという話だ。
調査は、福島県の調査で使った機器と同じものを使い、同じやり方で行うという。そうしないと同じ条件にならないので比較ができないというのだ。
疫学調査にはいくつかのポイントがある。感度、特異度、尤度(「ゆうど」)というものだ。たとえばエコー検査のとき、機械の性能が良いか悪かでどの程度ののう胞まで検出できるかは変わってくる。このことを評価するのがこれらの指標で、反対から言うと、感度や特異度が分かっていれば、異なった条件下で行われた検査でも結果の比較がある程度はできることになる。
特に2000年に長崎で甲状腺の検査が行われていて、その結果ではあまり異常が発見されていない。2000年の検査だからどんな機器を使ってやったかは分かっているはずで、感度など数値もあるはずだ。
今後、同じ長崎で行われる対照群の検査で出てくる結果は当然のことながら2000年の結果と矛盾がないものにならなければいけない。
震災瓦礫の広域処理は本来被災地域でできるものだった。なぜなら、広域処理が言われだしたときには既に被災県の市街地からそうでない地域、つまり、海岸などへの運び出しが済んでいたからだ。
対照群の検査を実施する県の選定手順が明確ではない。原発立地地点や震災瓦礫の焼却処分をしている地点から半径50キロ以内を除くなどの条件を明示して選定をするべきだろう。そうしないと、ここまで対照群の調査が遅れていることがいらぬ疑いを招くことになりかねない。
比較対象群の調査は今年度の事業なので、今年度中、つまり、来年3月中には検査結果の公表がされる見込みだという。
以下参考資料:
「福島第一原子力発電所事故による被害者の健康管理調査の適正確保等を求める意見書」
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/111115.pdf
甲状腺検査の実施状況(平成24年度)及び検査結果(平成23年度・24年度)について
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240911siryou2.pdf
「チェルノブイリ原発事故被災児の検診成績チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクト」
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1999/00198/mokuji.htm
「放射線の健康影響をめぐる誤解 片瀬久美子」
http://webronza.asahi.com/synodos/2012071900001.html
「感度と特異度」
http://meddic.jp/%E6%84%9F%E5%BA%A6%E3%81%A8%E7%89%B9%E7%95%B0%E5%BA%A6
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1202>>TC:38080,BC:12237,PC:?、 Mc:?
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