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原発重大事故予測図は「無意味」
2012年10月29日 東京新聞 [こちら特報部 ニュースの追跡]
原子力規制委員会が今月24日に公表した放射性物質の拡散予測図。原発で重大事故が起きた際の汚染の拡散を予想した地図だが、一部の専門家たちから「現実を反映しない無意味なシミュレーション」と酷評を受けている。地形などへの配慮のなさが問題で「これでは防災計画を立てられない」という声も上がっている。(編集委員・土田修)
「規制委の予測図は分かりにくく、かつ実際の役にも立たない」。民間シンクタンク「環境総合研究所」の青山貞一顧問はこう断言する。
最大の問題は地形を考慮していないことだという。国内の原発は海に面しており、陸側は複雑な地形になっている所が多い。実際の地形を考慮した場合、気流が地形によって乱される。
平地に比べて、拡散が妨げられるため、放射性物質が地上へと到達しやすくなる。加えて、谷間があれば、それに沿って放射性物質が流れる。
さらに青山氏は「汚染濃度が過小評価されている」とも指摘する。放射性物質の濃度を平均化したため、現実に予測される汚染より低い濃度が示されているという。
実際に起きた福島原発事故の場合、放射性物質はこうした予想図では描けないような複雑な拡散をした。群馬大学の早川由紀夫教授(火山学)は、原発から拡散した放射性物質は地表近くに吹く風に乗って移動し、雨などによって最終的に落下したと推測している。
いったん北西方向に流れてから、南下し、福島県飯舘村から中通り、栃木県へと広がったルートと、福島県沿岸部から南下し茨城県で枝分かれして関東各地を汚染したルートがあったとみる。
「放射能雲は地上数十メートルを移動した。その程度の高さだと、谷や山の存在で放射性物質の流れは複雑な動きを見せる。結果として、福島市や郡山市など、原発から80キロ程度の都市に深刻な汚染をもたらした」(早川教授)
環境総合研究所は、原発立地の実際の地形などを考慮した「原発事故時想定シミュレーション」を開発した。全国15の原発について事故の規模や風向、風速などを入力し空間線量がどの程度上昇するかを試算できる。
このシステムでは、山の起伏や建物の高さなど地形を考慮し、1キロ四方を1ブロックとして放射性物質の拡散範囲を線量の高い順に紫、赤、黄色など10段階に色分けして画面表示される。
福島原発事故を基準にして、予想される事態を約6千件データベース化した。空間線量を三次元で立体的に表示することも可能だという。
北海道ニセコ町では、このシステムに基づいて防災計画を策定するという。同町は北海道電力泊原発から20〜40キロ圏に位置する。このシステムにより、北風の場合、かなりの量の放射性物質が飛散してくることが予測できた。町民参加の防災訓練にも活用した。
青山氏は「地形を全面的に考慮したシミュレーションでなければ、自治体の防災計画の役に立たない。規制委の予測図は明らかに事故の影響を小さく示している。事故への対応をまじめに考えているとは思えない」と批判している。
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