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アメリカ東部で頻発する地下からの大音響と家屋の揺れがシェールガス革命をもたらした?
アメリカ5大湖の一つミシガン湖の湖畔に立地する原発の一つが廃炉になることが決定した。確かに既に40年近く運転がされてきていたが、老朽化が原因ではない。事実、20年間の運転延長の許可を連邦政府から得ていたのだ。以下に引用する記事によるとシェールガスの価格低下により原発の採算が合わなくなったためだという。
しかし、事態を子細に見ていくと奇妙なことに気が付く。今回廃炉が決定されたキウォーニー原発は次のような原発だ。
運転開始は1974年、出力は56万キロワット、加圧水型でメーカーはウェスチングハウス。建設コストはUS$776.15M (2007 prices)ということで日本円で700億円ほどだろうか。福島第一原発でその構造が問題になった原子炉はGE製の沸騰水型マーク1であり、この原子炉とは異なる。
ドミニオンはこの原発を2005年に200億円ほどで買い取り、20年間の運転延長ライセンス更新を2008年に申請した。そして、ライセンス更新が規制官庁から許可されたのが2010年11月だ。つまり、福島第一原発事故の前に運転延長の許可を得ている。福島の事故を受けて原子炉の安全規制は強化されただろうから、その後に追加設備投資の費用がかなりの額になったということだろう。そのため、
福島原発事故の直後の2011年4月に売りに出したが、買い手が使なったために今回の廃炉決定となったという。今回の廃炉決定に当たり、ドミニオンは費用として230億円程度を計上するという。
2010年に20年間の運転延長ライセンスを得ていて、2033年まで運転継続が可能になったところに福島原発事故が起こり多額の追加的な安全対策費用が予測され、またシェールガス革命で天然ガスの価格が約半額程度まで安くなったことが今回の廃炉決定の理由とされている。これ自体は非常に合理的な話で特に疑問点はない。
問題はなぜ米国内の天然ガス価格が急激に下がったのか、それも、2011年の7月以降急激に下がったのかということだ。
シェールガスの採掘、特に地下への化学物質の注入に関してどのような規制が行われてきたのか一応調べようとしたのだがはっきりしない。だから、仮定でしかないがかなり思い切った規制緩和がされ、または本来されるべき規制がされず、一気にシェールガス採掘が進んだことが昨年夏以降天然ガス価格が下がったことの理由だろう。また、背景には採掘業者への資金供与に関して優遇策が政府からやられたのだと思う。
そう考えないと、2005年の段階でドミニオンがこの原発を買い取り、更に2008年に運転延長のライセンス取得の申請をし、実際に2010年に取得したこととつじつまが合わないのだ。少なくとも2008年時点では天然ガス価格のここまでの低下を業界全体で予測していなかったし、もちろんシェールガスの増産が進むとも思っていなかったわけだ。
http://oilpeak.exblog.jp/13711341/ には水道の蛇口から出る水が燃えるビデオが紹介されている。2010年のもので既にこのころにはかなりの環境問題が提起されていたはずだ。これは水道水にメタンが混入した結果だが、化学物質が混入するとより深刻な健康問題が発生する。
シェールガスの井戸を掘るのは普通の天然ガス井戸よりもずっと手間がかかる。井戸自体が深いし、また水平掘りの部分があるため長距離の掘削が必要になるのだ。だから、開発にはそれなりの時間がかかる。
また、2005年から2010年まで、アメリカはガスの輸入が必要だと考えられていて、実際輸入した液化天然ガスをガス化するプラント建設が続けられていた。(Between 2000 and 2010 it built infrastructure to regasify over 100 billion cubic metres of imported liquefied natural gas .
天然ガス価格は非常に上下動が大きい。現在の天然ガス価格の水準は2002年当時とほぼ同じだ。
福島第一原発事故を受けてどの程度の安全対策が求められているのかがやはりはっきりしない。
ともかく、福島第一原発事故後、アメリカの天然ガス価格が急落し、ほぼ同時にシェールガスに注目が集まり出してその生産に拍車がかかったということは事実だろう。つまり、アメリカは国策として、シェールガス生産で地下水汚染がされることよりも原発廃炉を優先したということなのだ。
その背景にはアメリカ東部で続発している地底からの大音響と家屋の揺れがある。これまで地震とは関係がないとされてきたが、今年春のウィスコンシン州クリントンビルでのもので微小な地震に起因すると初めて公的に認められた。
アメリカの5大瑚からニューヨーク方面に流れる河川はカナダにあるカナダ楯状地の縁に発達した巨大な活断層とみなすことができるのだ。アメリカの中央部ではニューマドリッド地震と命名されたマグニチュード8クラスの地震がほぼ200年前に起こっている。
新規の原発安全規制がどの程度のものなのかはっきりしないのは、それをはっきりさせると日本でも同様の規制を求める動きが出てきて、それが日本の原発再稼働をストップさせると考えているのかもしれない。少なくとも、日本の規制委員会でアメリカでの規制がどのようなものかを参考にしようという動きが表面化していないのは事実だ。
日本で、アメリカのシェールガスに当たるものは地熱のはずだ。大掛かりに地熱開発に舵を切り、原発廃炉を実現できるかどうか、それは究極的には日本の世論にかかっているのだろう。前環境大臣の細野氏が退任直前に書いた国民の皆さんへの手紙が環境省のサイトに掲載されていて、そこには地熱開発を促進するとの文言があった。しかし、細野氏の退任後、その手紙自体がサイトから消されてしまっている様子だ。アメリカ以上に大きな地震が原発を直撃する可能性の高い日本は今後どう動いていくのだろうか。
米ドミニオンのキウォーニー原発が廃炉へ、天然ガスに押され買い手なく
米国のシェールガス生産が急増し、価格が下落したことで、石炭火力発電所の閉鎖に続き、原子力業界にも影響が出始めている。より小規模で使用年数がより長いキウォーニー原発が最初の標的となった。
天然ガスとの競争に敗れて閉鎖に追い込まれる原発が今後さらに増えるとの見方が出ている。
キウォーニー原発は1974年に商業運転を開始。2011年4月から売りに出されていたが、2033年までライセンスが更新されたにもかかわらず、買い手は見つからなかった。ドミニオンはこの原発の廃炉に関連し、第3・四半期に税引後費用として2億8100万ドルを計上することを決めた。
同社のトーマス・ファレル社長兼最高経営責任者(CEO)は22日、廃炉決定について「純粋に経済性に基づくもの」と説明した。
電力価格は天然ガス相場を追うように推移し、今年は10年ぶりの安値水準となっている。
米国にある政策研究所(Institute for Policy Studies)のシニア・スカラー、ロバート・アルバレス氏は「安い天然ガスが豊富にあるために、老朽化した原発設備をもつ電力事業者は苦境に立たされている」と指摘。原発の維持・管理コストが天然ガスに対する競争力をそぐケースがある、と付け加えた。
米国では、安価な国内ガスの生産が急増して原発新設計画が中止されていたほか、東日本大震災に伴う福島原子力発電所の事故を受けた安全性への懸念で原子力への国民の期待がそがれた。
原子力は天然ガスよりも安く発電できる一方、原発設備の運転に関連した労務、保安、監督当局による監視などのコストは、老朽化した原発の新しい天然ガス発電所に対する競争力をそぐ恐れがある。
米国の発電に占める天然ガスの割合は、2006年の20%から今年は30%に増えている。原子力の割合は約20%で変わっていない。
米国最大の電力網PJMの今年1─9月の電力価格は、昨年同期を約30%下回り、2002年以来の低水準となっている。
電力会社はすでに、一部の石炭火力発電所について閉鎖か燃料転換を表明している。
アナリストは、既存の原発に予定される設備投資の巨額さが原発閉鎖を促す可能性を指摘する。
米原子力規制委員会(NRC)元委員で、バーモント・ロー・スクールでエネルギー政策と法を教えるピーター・ブラッドフォード教授は「現在のガス価格見通しが正しいことになれば、多くの原発が60年のライセンス期間をまっとうすることなく廃炉となるだろう」と指摘。「大規模な設備投資の決断を迫られる時が(廃炉かどうかの)決め手となる可能性が高い」と述べた。
ドミニオンは、キウォーニー原発廃炉後も電力購入協定を結んだウィスコンシン州の公共事業体に対する義務を果たす方針。
同社は15州、600万の顧客に電力を供給する。同社の株価は22日、1%安で取引を終えた。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1186>>TC:38037,BC:10931,PC:?、 Mc:?
( http://president.jp/articles/-/6730?page=2
を見ると、アメリカ国内のパイプライン取引の天然ガス価格が2011年7月以降急激に下がったことが分かる。)
http://www.economist.com/node/21556242 ) 今年に入ってこれらのプラントは輸出用のプラント、つまり、ガスを液化するためのプラントに改装されている。
( http://www.economist.com/node/21556242 の図を参照 )
現在一時的にシェールガス価格が低下していても将来環境規制が強まり採掘ができなくなる可能性もある。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE89M03820121023?sp=true
2012年 10月 23日 13:25 JST
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