04. 2012年10月27日 21:05:11
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ラ・アーグ再処理工場を取り上げたフランスのテレビ番組の内容です。下のリンクをお読みください。 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-fnp124..htmlあまりに長いので抜粋します。 ●グリーンピース フランス支部のヤニック・ルセレ氏。 「これは放射性廃液の排出用パイプ、ラ・アーグの施設から来ている。延べ4.5kmのパイプがラ・アーグ岬から1.7kmの海域で排出している。これがドラム缶に詰めたら相当な数になるが、ドラム缶を船から投棄することは禁止されている。」 およそ50年の間、各国はドラム缶に詰めて海洋投棄されていた。 Source:Arte France/Bonne Pioche 1993年国際条約で放射性廃棄物の海洋投棄は全面禁止。 あくまでも船からの投棄は禁止。矛盾しているようだが陸上からの排出は未だに合法。 ラ・アーグのパイプは毎日400立方メートルの放射性廃液を英仏海峡に投棄。排出されたヨウ素129の一部が北極圏で検出されている。 ●「調査しているうちに、ラ・アーグの再処理施設の排気塔から出ているガスも問題であることが分かった。凧を使って排気塔の高さまでホースを引き上げガスを採取し検査したところ排出ガス1立方メートルあたり数万ベクレルと高い数値だった。クリプトンが検出されたので、どう拡散されたか調べた。使用したソフトウェアはラ・アーグを運営している会社が持っているものとおなじ。ヨーロッパに拡散される様子をシミュレーションしたところ風向き次第では2、3日でヨーロッパ全土が影響を受けることが分かった。ベルギーとスイスの大学で採取したサンプルとラ・アーグの稼働日程を照らし合わせると、私たちのシミュレーションが正しいと立証された。つまりラ・アーグの排気のせいで常に原子炉の事故が起きているような状態、日々、放射能漏れが起こっているのと同じ状態といっていい。」 ●シベリアに放置される核廃棄物 駅近くの引き込み線に膨大な数の放射性廃棄物のコンテナが置き去りになっていた Source:Arte France/Bonne Pioche コンテナだらけのこの場所は衝撃的。無防備に屋外に置かれている。これは本当にウランなのか。この施設の詳しい業務内容を知りたいと考えた。 ●フランスは劣化ウランをシベリアの奥深くに捨てているのだ。放射能は低レベルだが安全な状態で監視し、貯蔵しなければならない。 フランスに帰国しもう一度フランス電力公社に問い合わせると、私たちがロシアで得た情報を認め、残りカスのウランはシベリアに残されロシアの所有物になる、それはフランスの再処理で回収されたウランの90%を占めていると回答した。つまり原子力発電所が出した放射線廃棄物のわずか10%しか再利用されない。アレバ社は96%を再利用できると主張しているがそれを遙かに下回る。アレバ社はそれでも原子力は再生可能なエネルギーと主張している。 ●コリーヌ=ルパージュはフランス環境相をつとめ原子力エネルギーに対する正しい理解を深めた。 「私たち(フランス)は1970年代に廃棄物の処理法が開発されるだろうと考え原子力発電に賭けたが、40年間処理方法は見つかっていない。放射性廃棄物の大部分を再利用できる方法も廃棄物を一気に処分する方法も存在しない。行き詰まっている。今日言われている意味としては原子力は持続可能なエネルギーではない。フランスでは原子力エネルギーはほとんど宗教のようなもの。右翼から左翼まであらゆる政党に支持されている。地球温暖化問題がさらに追い風になっている。原子力エネルギーが私たちを救うと考えられている。私は原子力技術に反対はしないが、多くの問題を生み出している。経済的に見合うかどうかは私には分からないがフランス社会の諸悪の根源になっていると確信している。不透明な秘密主義の下で行われており、真実を覆い隠すという風潮は他の分野にも広がっている。現在の財政難の一因にもなっている。原子力エネルギーの推進に全力を注いでしまったため再生可能なエネルギーや効率的なエネルギーを開発する機会を失った。フランスの産業は遅れてしまった。」 フランス国民は議論のテーマにはなっても決定に関与していない。最初から押しつけられてきた。何十年も強いてきたのは誰か。 ●「フランスのエネルギー政策は政治家ではなく、理工系の高等教育機関を卒業したエリート技術官僚が考え、進めたもの。政治家はこの部門には何も関与していない。エリート技術官僚の独壇場。だから政治家の知識は全く目も当てられない。セゴレーヌ=ロワイヤルとサルコジの大統領候補討論会がこのことを驚くほどはっきり示した。大統領に立候補した二人が原子力について討論したが何一つ分かっていなかった。政治いかにエネルギー部門全体をエリート技術官僚にまかせきりだったかを示した。これは民主主義ではない。」 ◆当方のコメントです。子供の頃にドゴール大統領がシトロエンDSに乗っているところを見て、それ以来フランスかぶれの人生でした。コンコルド、エアバス、TGV。欧州一の技術大国だと信じ、趣味の自動車でもシトロエンを購入し乗っていました。フランスの政治や経済や文化についても勉強しました。それで知ったのは、最後に取り上げた「エリート技術官僚」が支配する国であるということ。日本でも東大がそれに当たりますが、フランスにはエコール・ポリテクニークなどのエリート養成学校があるのですな。彼らが政治、経済を主導している。ちなみにシトロエンの創業者、アンドレ・シトロエンもここの出身です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%AF 日産のカルロス・ゴーンは、パリ国立高等鉱業学校の出身です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AA%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E9%AB%98%E7%AD%89%E9%89%B1%E6%A5%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1 親日家で有名なジャック・シラク元大統領は、フランス国立行政学院の出身です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E8%A1%8C%E6%94%BF%E5%AD%A6%E9%99%A2 フランスの弱点は、このエリート支配体制でしょう。彼らは誤りを認めませんから、国家を破局に追い込みかねません。南太平洋で核実験をしていた時、オーストラリアやニュージーランドで大規模な反対運動が起きていましたが、フランスのエリートは、どこ吹く風。最近の中国大陸における日本車破壊で思い出しましたが、あちらでフランスのシトロエンCXに乗っていたから、壊されないか心配でした。それくらい激しかった。先輩のマニアの乗るシトロエンDSなど、ガレージから半年出さなかったとか。 コリーヌ=ルパージュさんが「フランスの産業は遅れてしまった。」と言っていますが、自動車にも当てはまります。かつて先進的だったフランスの自動車も、今ではドイツや日本に先を越され、シトロエンもプジョー傘下に入って工場閉鎖や販売不振に悩んでいます。日本の三菱自動車や日産自動車から電気自動車の供給を受け、自社の製品として販売しています。フランス車が、かつて輝いていた時代を知る者にとって、信じられないほど没落してしまった。そんな当方も、いまでは日本車に乗っています。もうフランスは駄目かもしれない。悲しいよ。 |