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2012年10月26日 20:26 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり
日本原燃という会社がある。六ヶ所村の再処理工場を運営している企業だ。
九つの電力会社と日本原電などが出資している。出資割合は、東京電力が約29%、関西電力が17%、中部電力が10%、九州電力が9%等々。
日本原燃が運営する六ヶ所再処理工場は、当初、建設コストが約7000億円と見積もられていたが、実際には約2兆2000億円かかった。
建設コストの半分は銀行からの融資を受け、残りの半分は日本原燃の親会社でもある電力各社から前受金という形で資金調達した。
2兆円以上のコストを掛けて建設したこの再処理工場は、2012年秋の段階で、問題があって未だ稼働できない。竣工は19回延期された。
2004年ごろ、電力各社は深刻な問題に直面していた。原発の使用済み核燃料プールが一杯になりつつあり、特に東京電力の福島第二原発のプールはほぼ満杯の状態だった。
そこで、電力会社は、六ヶ所の再処理工場の原材料プールに使用済み核燃料を移動しようとしたが、青森県知事から、プールを使うならば、工場を稼働しろ、青森県はゴミ捨て場にはならないとクギを刺され、やむを得ず、再処理工場の稼働を決めた。
しかし、高速増殖炉は依然としてもんじゅが停止しており、開発のめどはたたず、英仏両国で再処理したプルトニウムは大量に余っているという状況で、再処理工場の稼働は、全く必要なかった。
東京電力の経営陣の中にも再処理工場の稼働に後ろ向きな人間は少なからずいたという状況だった。
この時、大きなステップとなったのがアクティブ試験といわれるプルトニウムを使った試験だった。このアクティブ試験をやれば、工場の内部は被曝汚染し、この後、再処理事業を止めても工場の解体に多額の費用が掛かる。
しかし、使用済み核燃料プールが溢れそうだという状況の中、背に腹は替えられず、電力会社、経産省、自民党の電力族などで再処理工場を稼働することが決められ、アクティブ試験が実施された。
それに対して経産省の若手官僚が「19兆円の請求書」という快文書(!)をつくり、反乱し、鎮圧され、粛清された。
再処理工場ではアクティブ試験を実施したが、未だにこの再処理工場は稼働できていない。
さて、日本原燃が電力会社からもらった前受金の1兆1000億円は、電力会社が支払う再処理費用と相殺することになっている。
再処理費用を支払うと言っても、再処理工場が稼働していないのだから、日本原燃は役務の提供を何もできないのが現状だ。ところがどっこい、アクティブ試験を実施した段階で、役務の提供がはじまり、その対価として、再処理量にかかわらず、「基本料金」を電力会社が日本原燃に支払うという契約になっている。
だから、プルトニウムは余っているのに、また、工場は稼働できないのに、アクティブ試験だけ、必死にやらせたのだ。「基本料金」を払うために!
経産省によると、再処理工場が稼働すると日本原燃の再処理事業の売上は3000億円ちかくになる。そして、全く稼働していない再処理工場に対して、電力会社が支払っている「基本料金」は、実にその九割、2700億円だという。
残りのわずか300億円が、再処理した使用済み核燃料の重量に応じて支払われる従量価格だ。
電力会社が、日本原燃から役務の提供を受けていないのに2700億円を支払って、それを損金に算入しているのは、脱税ではないかと指摘すると、いや、その金で工場を維持しているから正当な対価だと経産省は反論する。
電力会社は、再処理費用として毎年3000億円ちかいお金を積み立てている。そして、その分は総括原価に含まれ、消費者の電気代に請求されている。
しかし、現実は、それをあてにして電力会社は日本原燃に2700億円を支払っているのだ。もし、再処理をやめることになったら、これまで電力会社から日本原燃に支払われたお金はどうなるのか。
今、勝手に電力会社が日本原燃に払っている基本料金の支払いをやめさせたら、電力料金を下げることができるだろう。
わけのわからない会計処理でお金が使われ、その分電力料金が高くなるというこのシステムをやめるべきだ。
消費者は、私の電力料金を勝手に流用するなと、電力会社に対して文句を言うべきだ。
電力業界の自由化は避けて通れない。
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