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核のゴミ、とりあえず時間を買おう
山地憲治・地球環境産業技術研究機構(RITE)理事・研究所長インタビュー
2012年10月24日(水) 山根 小雪
高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」は、最終処分地の選定が一向に進まず、長らく宙に浮いたままだ。東京電力・福島第1原子力発電所事故によって、不透明さは一層増している。
そんななか、日本学術会議は「時間を買う」ことを提案。国民的な合意が得られていないままに無理やり最終処分場を決めようとするのではなく、「とりあえず暫定的に保管して焦らずに合意形成しよう」という考え方だ。
「日本学術会議高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」で副委員長を務めた山地憲治氏に真意を聞いた。
使用済み核燃料を再処理することで生じる高レベル放射性廃棄物の処理に関して、日本学術会議が一歩踏み込んだ提言をした。
山地:日本学術委員会はかねて原子力委員会から、高レベル放射性廃棄物の処分について、国民に対する説明の仕方や情報提供のあり方について提言を求められていた。本来であれば、もっと早くに提言をまとめる予定だったが、東日本大震災が発生したため、震災をはさんで2年間を議論に費やし、9月11日に回答したところだ。
山地憲治・地球環境産業技術研究機構(RITE)理事・研究所長
回答では、高レベル放射性廃棄物の処分の進め方を見直すべきだと指摘した。高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋設(地層処分)するための最終処分場の選定が当初予定していたスケジュールよりも大幅に遅れているのは、ひとえに国民的な合意が得られていないためだ。
今決められないものを無理に決めるべきではない。「時間を買う」という発想があっても良い。そこで、「暫定保管」という考え方を提案した。最終処分について国民的な合意が得られるまでは、ひとまず核のゴミを保管しておこうというわけだ。
そもそも、政府が原発ゼロを実行すれば、使用済み核燃料の再処理は不要になり、高レベル放射性廃棄物も生じないのではないか。
山地:政府がどこかの時期で原発ゼロを選択すれば、再処理は不要になる。使用済み核燃料を直接、地下深くに埋設する「直接処分」が選択肢に上がってくる。将来にわたって、使用済み核燃料を再処理するのかどうかが見通せないなかで、再処理によって生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分場を決めようとする現在のスキームには無理がある。だからこそ、暫定保管すべきだと指摘した。
日本学術会議は暫定保管と並んで、「総量管理」という考え方も打ち出している。これは、「日本が抱える核のゴミの総量を決めて原発を運用する」という意味なのか。
山地:それは違う。日本学術会議は、原発をどう使っていくのかは言及しない。あくまで、「きちんと管理する」ことをうたっているにすぎない。
総量管理には、「上限の確定」と「増分の抑制」という2つの意味が含まれている。まず、上限の確定は、政府が原発ゼロを実行する場合の考え方だ。原発をゼロにすると決めれば、発生する核のゴミの総量は、おのずと上限が確定する。
一方、「増分の抑制」は、原発を使い続けるケースに相当する。多くの人々が、核のゴミが野放図に増え続けるのではないかと不安に感じている。
そこで、たとえ原発を使い続けたとしても核のゴミの総量の増分は専門家が責任を持って抑制するという意味で、この言葉を入れた。
例えば、同じ量の燃料からより多くのエネルギーを取り出す「高燃料化」や、半減期を短くする「核種変換」などの技術開発を進める。再処理も含めた放射性廃棄物のリユース、リサイクルも検討していく構えだ。
今後、原発をどうしていくべきだと考えているのか。
山地:原発は維持すべきというのが、私の考えだ。エネルギー資源に乏しい日本は、少しでも多くの電源オプションを持っているべきだ。
原発をゼロにすると言った途端に、原子力に関する人材や技術が失われ始める。除染にも廃炉にも、原子力技術者は必要だが、未来のない産業に従事しようとする若者がいるだろうか。また、日米原子力協定の問題も表面化してくるだろう。
山根 小雪(やまね・さゆき)
日経ビジネス記者。
ニッポン改造計画〜この人に迫る
日経ビジネス本誌10月1日号でお送りする特集「ニッポン改造計画100」で政策提言をいただいた識者へのロングインタビューシリーズ。誌面では語りきれなかった政策提言の深層を聞く。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121023/238459/?ST=print
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