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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu274.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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2030年に脱原発を目指すという。日本にはエネルギー戦略というものが
見当たらない。日本はエネルギーを世界的にも際立って石油に大きく依存している
2012年10月21日 日曜日
◆ピークオイルとその影響について 10月19日 辻 元
http://agora-web.jp/archives/1494835.html
ピークオイルとは、原油の生産がピークを越え、原油生産が低下し始めることをいう。 これが、我々の生活に何をもたらすのかは、次のビデオを見ればよく分かる:
ここでは、ピークオイルと経済成長の関係を考察し、エネルギー効率の低下がグローバル化を逆回転させる可能性について考察したい。 ピークオイルはいつか?
2005年以降、原油生産は増えておらず、ほぼプラトーであることから、ピークオイルがいつなのか議論するのは難しい。
ピークオイルとは、原油の生産がピークを越え、原油生産が低下し始めることをいう。 これが、我々の生活に何をもたらすのかは、次のビデオを見ればよく分かる:
ここでは、ピークオイルと経済成長の関係を考察し、エネルギー効率の低下がグローバル化を逆回転させる可能性について考察したい。 ピークオイルはいつか?
2005年以降、原油生産は増えておらず、ほぼプラトーであることから、ピークオイルがいつなのか議論するのは難しい。
(Peak Oil - Now or Later? A Response to Daniel Yerginより転載)
しかし
Matt Mushalik氏が 述べているように問題は現在の世界の石油生産の約半分(45%)は、わずか190ギガバレル(ギガバレル=10億バレル)、すなわちその他の油田の約5分の1ほどしか埋蔵量のない油田から産出されていることだ。ここの埋蔵量は年間7%の割合で減少しており、2002年からは常に年間生産量が減少してきている」。つまり残りの油田では「世界の年間流通量の半分強」を「はるかに低い生産性」で生産していることになる。生産性が低いのは「生産量を増やすことができない」からだ。
(大いなる転換点(脱炭素社会へ)から)
を見れば、事態は明らかである(詳しくは[1]を参照)。 確認埋蔵量の問題ではなく、原油の生産そのものが限界に達しつつあるということだ((注)参照)。
非在来型化石燃料の現実
在来型の油田に期待できないとなると、非在来型の化石燃料に目が向く。しかし、これも期待できない。
シェールオイル、シェールガスは、エネルギー効率(EPR = EROI = 産出エネルギー/投入エネルギー)が非常に低い:ヨーロッパ委員会が [2]で「オイルシェールは意味のある資源ではない」と述べているように、シェールオイルの場合、精製まで込めるとEPRは僅か1.4つまりネットのエネルギー産出は製造できたシェール油のエネルギーの僅か30%未満しかなく、オイルシェールはエネルギー源として有望とは言えない。 シェールガスもShale Gas Reality Begins to Dawnで報じられているように、低生産性が明らかになり、生産は既に頭打ちになっている。
オリノコ重油などにも注目が集まるが、EPRは2程度と低く。EPRと生産コストには、きれいな逆相関があることから期待できない:
(Energy Return on (Energy) Invested (EROI), Oil Prices, and Energy Transitionsから転載、縦軸が生産コスト、横軸がEPR=EROI) そもそも [5]を見れば分かるように、EPRは少なくとも3以上ないと、文明社会は維持できない。 つまり燃料の運搬や分配にもエネルギーが必要なので、文明の維持には高いEPRのエネルギー源が必要になる(5以上、できれば10以上は必要である)。
こういった低EPRの資源に期待を掛けなければならないほど、化石燃料の減耗が差し迫った問題になりつつあるのだ、と捉えるべきだろう。 実際、ピークオイルばかりではなく、ピークガスが2025年前後、ピークコール(石炭)もやはり2025年前後に起きると考えられている。
技術開発への期待
一般に油田はその埋蔵量の約3分の1しか採掘出来ていないと考えられている。 従って、技術開発により、残りの3分の2を採掘できれば、という期待が当然ある。 特に、原油価格が上昇すれば、多少のコストが掛かっても、採掘可能な原油は増えると期待される。
しかし、これは急激なEPRの低下をもたらすだろう。 水や蒸気といったものを注入したりして採掘する方法は実用化されているが、こういった投入エネルギーの増加は、ネット産出エネルギーを減少させる。また生産性が落ちることは覚悟しなくてはならないだろう。 実際、最近発表された、IMFの研究論文::[3] によれば、価格上昇による技術開発の進展を考慮しても、今後10年で原油価格は2倍(1バレル180ドルほど)になると予測されている。
二つのシナリオ
ビデオにもあるように、次の2つのシナリオが考えられる。
シナリオ1: 再生可能エネルギーへの転換を無理に進めず、経済成長を優先する
シナリオ2: 再生可能エネルギーへの転換を進め、経済成長よりも石油エネルギーからの転換を優先する
まずシナリオ1の場合、需要が減らず価格が上がり続けることになる。 上に引用したIMFの研究論文[3]によれば、今後10年で原油価格は2倍(1バレル180ドル程度)になると予測されている。これは耐え難いコスト増となり、再生エネルギーへの転換が進まない限り、経済成長を不可能にするだろう。 また石油生産を増やす努力をしてもEPRは低下するものと思われ、その場合のコスト増は避けられない。なぜなら、既に述べたようにEPR=EROI と生産コストには強い逆相関があるからだ。
IMF予測では、この点は考慮されていないようであるし、EPRが低下すれば、原油の生産量が低下しなくても、現実には生み出されるネットのエネルギーは減少することになる。 これも考慮されていない。 従って現実にはIMFの予測よりも原油価格は大きく上昇するように思われる。
次にシナリオ2を考えよう。 このシナリオを実現するには、
(2-1)再生可能エネルギーを大幅に増やす
(2-2)エネルギー消費そのものを減らす
のどちらか、あるいは両方が必要である。 しかし、シナリオ2-1は実現可能性に乏しい。 再生可能エネルギーを大きく伸ばすのは、現実的ではない。 風力にしろ、太陽光にしろ、エネルギー密度が低いことを忘れてはいけない。 一人の人間が電車で一時間移動するために必要なエネルギーを太陽電池で賄うこと仮想実験しても、非常に大きな面積の太陽電池が必要になることは容易に分かる。
一般に再生可能エネルギーのEPRは十分に大きく(風力で20前後もある)、これは化石燃料よりもむしろ優秀である。 しかし、エネルギー密度が低いために、十分なエネルギーを得るのが非常に難しいのである。
従って、シナリオ2−2が最も実現可能性が高い。しかし、再生可能エネルギーへの転換が進まないままに、エネルギー消費が減るわけで、経済へのダメージは非常に大きい。
なぜなら、[4]が指摘するように、GDPとエネルギー消費の関係には、極めて強い相関があるからである:
注目すべきなのは、2000年以降、エネルギー消費とGDPは、より相関が高まっていることで、これは、省エネルギー効果がなくなっていることを意味する。 上記論文によれば、これは高EPRのエネルギー源が失われつつあることからEPRが低下することにより、エネルギー産出に伴うエネルギー消費が増えるためや、生産の新興国移転のためのようだ。
従って、エネルギー消費を減らすことは、経済成長を諦め、マイナス成長に陥ることとほぼ同値である。
また食糧生産が石油エネルギーに依存しているために、ピークオイル=食糧危機という形になり得る。少なくとも食糧価格の上昇は避けられない。
エネルギークランチのもたらすもの
このように論理的に考えれば、さまざまな研究結果を総合すると、今後10年で、石油の需給ギャップの拡大によりエネルギークランチが起きる可能性は高い。 [6]のように自由貿易体制が破壊される、といった悲観論もあるように、影響は極めて甚大である。 実際、EPRが3以下の化石燃料に大きく依存することになれば、燃料の輸送や分配を考えた場合、その低EPR燃料を遠く海外に運んで使うこと自体がエネルギー効率から物理的に無意味になるので、エネルギーの地産地消が必要になる。 従って加工貿易といった自由貿易体制の恩恵は殆ど失われる([5]参照)。 世界はブロック経済に移行することになるだろう。
最近のエネルギーめぐる世界の動き、アメリカのトウモロコシからのバイオエタノール生産、シェールオイル、シェールガスブーム、ドイツの再生可能エネルギーの推進は、日本から見ると、一種の愚行のようにも見えるかもしれない。 しかし、つぶさに見てゆくと、彼らは、彼らなりに、ピークオイル後のエネルギー戦略を立てて、模索を繰り返しているのだ。
彼らに比べ、日本の無防備なことは、恐ろしいほどだ。 ピークオイルについて、ほとんど報道されないし、その影響も議論されない。 国民も何の根拠もなく十分な量の石油の輸入は将来的にも可能だ、と考えているようだ。 政府も国民の顔色を伺い、きちんとしたエネルギーの需給見通しも立てずに、2030年に脱原発を目指すという。日本にはエネルギー戦略というものが見当たらない。 日本はエネルギーを世界的にも際立って石油に大きく依存している(これは島国なので天然ガスをパイプラインで輸入できないからではあるが)。 もっと危機感を持って行動しないと危ない。
上記の考察によれば、非常に近い将来、どちらのシナリオを選んでも、経済成長は望めなくなる。 我々は、どうやって、エネルギークランチを乗り越え、経済成長のない世界を生き抜くのか、人類の英知が試されているといえよう。
(注) IEAの会見(19分過ぎ)も既にピークオイルを認めている。 IEA予測は、従来型原油(conventional oil)の生産が今後の油田の新規発見や
技術の進展により、今後横ばいか微増になるとしているが、原油が100ドル程度に値上がりしても油田の発見の増加や増産が起きなかった実績から考えて楽観的に過ぎると思うべきだろう。
(私のコメント)
今日は久しぶりにエネルギーの話になりますが、テレビや新聞などでは「2030年原発ゼロ」のスローガンが毎日のように繰り返されている。「株式日記」は原発条件付賛成派であり、一基5000億円もかけて作られた原子力発電所を廃炉にすることは行き過ぎであると考えます。確かに福島第一原発の災害は想像以上であり福島県の一部は人が住めなくなってしまった。
しかし福島原発の災害は原発の弱点を明らかにしたという点では、今後の運用に生かしていけばいいのだろう。福島第二や女川が地震や津波にも耐えることができたと言う事は、福島第一も安全対策が施されていれば無事であった可能性が高い。非常用発電機や配電盤が低いところに作られていたのが致命傷になった。福島第二は揚水ポンプも建屋に収納されていたし、女川は15メートル以上の高台に設置されていた。
もちろん軽水炉型の原子炉は冷却水が止まれば爆発すると言う欠陥原子炉であり、使用済み燃料棒も冷却水を止めれば爆発する。電力会社が運用していたから効率第一であり安全性が二の次になってしまった事に組織的な欠陥がある。だから原子炉は国営にして電力会社から切り離すべきなのだろう。さらに事故原因の公開がなかなかなされず、政府の対策会議の議事録も東京電力のビデオ記録も責任追及を恐れて公開がされていない。
こうなると事故前は原発発電を54%にするという方針から事故後は原発全面停止まで極端から極端に行ってしまうのが日本人の性格なのだろう。アメリカでもロシアでも事故後でも原発は止めなかった。原発を止めても電力は足りると言う意見は近視眼的であり、オイルピークは既に過ぎ、ピークガスは2025年、ピークコールも2025年頃起きると言われている。「株式日記」でもオイルピークは2004年に来た事を書いた。
もちろん原子力発電のウラン燃料も有限であり、核燃料サイクルも絵に描いた餅だろう。エネルギー問題は国家戦略にかかわる事だから「株式日記」でも何度も書いてきましたが、石油に代わるエネルギーは無い。代替エネルギーもシェールガスやシェールオイルもコストの問題があってEPRが非常に低い。辻氏の記事でもEPRは3以上無いと、文明社会は維持できないとされていますが、EPRは10以上無いと石油の代わりにならない。
石油は枯渇すると言われて30年以上経ちますが、それは単価が上昇してきたから枯渇しなかっただけで、1バレル=500ドルとか1000ドルになれば採算に合う石油はあるだろう。今後10年で石油は1バレル180ドルになるといわれていますが、減産がはっきりしてくれば投機資金でもっと上がる可能性がある。石油が無くなれば再生可能エネルギーに切り替えるしかありませんが、日本では遅々として進まない。
日本が90年代以降の低成長は、日本が真っ先にエネルギー危機の洗礼を受けている為であり、量は確保で来てもコストがかかるからコスト競争で負けているのだろう。グラフで見てもGDP=エネルギー消費が相関関係にあり、省エネでも克服する事が難しくなって来ている。さらには石油の減産は食糧危機にも繋がる事であり、日本は石油も食料も大量に輸入しなければならない。だから円高で大変だと言う意見はおかしい。
円が安くなれば石油も食料も高くしろといっているのと同じであり、円高差益がどこかに消えてしまっている事が問題だ。それらの利益はみんな電力会社や農業管理団体などに吸収されてしまっている。日本人は金さえ出せば石油も食料も買えると思っているが、本当の危機が来れば石油も食料もカネでは買えなくなる事が起きるだろう。
このように書くと経団連や電力会社の回し者といった批判がでてきますが、原発ゼロは反対だし使える原発は安全性を高めれば稼動させるべきだろう。新設される原子炉は100%安全で事故が起きても自然停止する原子炉の高温ガス実験炉は出来ている。軽水炉は海岸に面した低地に作らなければなりませんが、だから地震や津波に弱い。高温ガス炉なら地下数百メートルに作って最悪でも水没させれば放射能は外に漏れない。
石油の枯渇問題は、意図的なものだという説もありますが、2004年にピークを打っていることは間違いないようだ。グラフを見ても2004年から石油価格が上昇しても産出量は全く増えていない。再生可能エネルギーの風力や太陽光発電はエネルギー密度が低くて用途は限られますが、藻によるバイオ燃料生成が代替エネルギーの本命になるのでは無いだろうか?
◆藻類の超高速増殖で日本が産油国になる? 2つの藻をハイブリッド増殖し、燃料自給が視界に 10月15日 中西清隆
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121010/237924/
燃料の常識を一変させるもしれない研究が進んでいる。微小藻類だ。旺盛な繁殖力を生かして大量に培養した藻類から油分を搾り出し、石油やガソリンを代替しようというのである。
生物資源を原料とするバイオ燃料は、燃やしても大気中のCO2を増やさない再生可能エネルギーとして注目されてきた。(後略)
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