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[ 補足 ] 避難区域以外での 東電への賠償について
http://www.asyura2.com/12/genpatu28/msg/224.html
投稿者 命重視の予防原則 日時 2012 年 10 月 20 日 15:53:06: .yeescEzMH2Z.
 

(回答先: 〈原発〉 福島県民でなくとも東電に賠償請求できる 〜茨城県の事例〜 (語られる言葉の河へ)  投稿者 赤かぶ 日時 2012 年 10 月 19 日 16:10:00)

補足投稿です


避難区域の福島県民以外でも賠償の対象となるのであれば
かなりの人々が賠償訴訟できますね


東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針における

10.賠償について
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/yasai_seisan_qa.html

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/houkoku/__icsFiles/afieldfile/2011/08/17/1309452_1_2.pdf


----------------------------------------
原子力損害賠償紛争解決センター
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/10/18/1311548_3.pdf

元サイト
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/baisho/1310412.htm
----------------------------------------


第7「 いわゆる風評被害について 」

1一般的基準

(指針)

T)いわゆる風評被害については確立した定義はないものの、この中間指針で「風評被害」とは、報道等により広く知らされた事実によって、商品又はサービスに関する放射性物質による汚染の危険性を懸念した消費者又は取引先により当該商品又はサービスの買い控え、取引停止等をされたために生じた被害を意味するものとする。

U)「風評被害」についても、本件事故と相当因果関係のあるものであれば賠償の対象とする。その一般的な基準としては、消費者又は取引先が、商品又はサービスについて、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合とする。

V)具体的にどのような「風評被害」が本件事故と相当因果関係のある損害と認められるかは、業種毎の特徴等を踏まえ、営業や品目の内容、地域、損害項目等により類型化した上で、次のように考えるものとする。

@各業種毎に示す一定の範囲の類型については、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害(W)に相当する被害をいう。以下同じ。)は、原則として本件事故と相当因果関係のある損害として賠償の対象と認められるものとする。

A@以外の類型については、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害を個別に検証し、U)の一般的な基準に照らして、本件事故との相当因果関係を判断するものとする。

W)損害項目としては、消費者又は取引先により商品又はサービスの買い控え、取引停止等をされたために生じた次のものとする。

@営業損害

取引数量の減少又は取引価格の低下による減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用(商品の返品費用、廃棄費用、除染費用等)

A就労不能等に伴う損害

@の営業損害により、事業者の経営状態が悪化したため、そこで勤務していた勤労者が就労不能等を余儀なくされた場合の給与等の減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用

B検査費用(物)
取引先の要求等により実施を余儀なくされた検査に関する検査費用

(備考)

1)いわゆる風評被害という表現は、人によって様々な意味に解釈されており、放射性物質等による危険が全くないのに消費者や取引先が危険性を心配して商品やサービスの購入・取引を回避する不安心理に起因する損害という意味で使われることもある。しかしながら、少なくとも本件事故のような原子力事故に関していえば、むしろ必ずしも科学的に明確でない放射性物質による汚染の危険を回避するための市場の拒絶反応によるものと考えるべきであり、したがって、このような回避行動が合理的といえる場合には、賠償の対象となる。

このような理解をするならば、そもそも風評被害という表現自体を避けることが本来望ましいが、現時点でこれに代わる適切な表現は、裁判実務上もいまだ示されていない。また、この種の被害は、避難等に伴い営業を断念した場合の営業損害とは異なり、報道機関や消費者・取引先等の第三者の意思・判断・行動等が介在するという点に特徴があり、一定の特殊な類型の被害であることは否定できない。-41-したがって、上記のような誤解を招きかねない点に注意しつつ、T)で定義した「風評被害」という表現を用いることとする。


2)「風評被害」には、農林水産物や食品に限らず、動産・不動産といった商品一般、あるいは、商品以外の無形のサービス(例えば観光業において提供される各種サービス等)に係るものも含まれる。

3)「風評被害」の外延は必ずしも明確ではなく、本件事故との相当因果関係は最終的には個々の事案毎に判断すべきものであるが、この中間指針では、このような被害についても、本件事故に係る紛争解決に資するため、相当因果関係が認められる蓋然性が特に高い類型や、相当因果関係を判断するに当たって考慮すべき事項を示すこととする。

V)@の類型に該当する損害については、それが本件事故後に生じた買い控え等による被害である場合には、それだけで本件事故と相当因果関係のある損害と推認され、原則として賠償すべき損害と認められる。

但し、当然のことながら、賠償の対象となる「風評被害」はこれらに限定されるものではなく、V)@の類型に該当しなかった「風評被害」(V)Aの風評被害)についても、別途、本件事故と相当因果関係があることが立証された場合には、賠償の対象となる。その場合には、例えば、客観的な統計データ等による合理的な立証方法を用いたり、V)@の類型に該当する損害との比較を行うことが考えられる。

4)本件事故と他原因(例えば、東日本大震災自体による消費マインドの落ち込み等)との双方の影響が認められる場合には、本件事故と相当因果関係のある範囲で賠償すべき損害と認められる。

5)なお、「風評被害」は、上記のように当該商品等に対する危険性を懸念し敬遠するという消費者・取引先等の心理的状態に基づくものである以上、風評被害が賠償対象とな-42-るべき期間には一定の限度がある。

一般的に言えば、「平均的・一般的な人を基準として合理性が認められる買い控え、取引停止等が収束した時点」が終期であるが、いまだ本件事故が収束していないこと等から、少なくとも現時点において一律に示すことは困難であり、当面は、客観的な統計データ等を参照しつつ、取引数量・価格の状況、具体的な買い控え等の発生状況、当該商品又はサービスの特性等を勘案し、個々の事情に応じて合理的に判定することが適当である。

6)営業損害又は就労不能等に伴う損害における減収分の算定方法等は、前記第3の7又は第3の8に同じ(但し、避難等に特有の部分は除く。)である。


2農林漁業・食品産業の風評被害

(指針)

T)以下に掲げる損害については、1V)@の類型として、原則として賠償すべき損害と認められる。


@農林漁業において、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害のうち、次に掲げる産品に係るもの。

@)農林産物(茶及び畜産物を除き、食用に限る。)については、福島、茨城、栃木、群馬、千葉及び埼玉の各県において産出されたもの。
A)茶については、@)の各県並びに神奈川及び静岡の各県において産出されたもの。
B)畜産物(食用に限る。)については、福島、茨城及び栃木の各県において産出されたもの。
C)水産物(食用及び餌料用に限る。)については、福島、茨城、栃木、群馬及び千葉の各県において産出されたもの。
D)花きについては、福島、茨城及び栃木の各県において産出されたもの。
-43-E)その他の農林水産物については、福島県において産出れたもの。
F)@)ないしE)の農林水産物を主な原材料とする加工品。


A農業において、平成23年7月8日以降に現実に生じた買い控え等による被害のうち、少なくとも、北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟、岐阜、静岡、三重、島根の各道県において産出された牛肉、牛肉を主な原材料とする加工品及び食用に供される牛に係るもの。B農林水産物の加工業及び食品製造業において、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害のうち、次に掲げる産品及び食品(以下「産品等」という。)に係るもの。

@)加工又は製造した事業者の主たる事務所又は工場が福島県に所在するもの。
A)主たる原材料が@の@)ないしE)の農林水産物又はAの牛肉であるもの。
B)摂取制限措置(乳幼児向けを含む。)が現に講じられている水を原料として使用する食品。
C農林水産物・食品の流通業(農林水産物の加工品の流通業を含む。以下同じ。)において、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害のうち、@ないしBに掲げる産品等を継続的に取り扱っていた事業者が仕入れた当該産品等に係るもの。


U)農林漁業、農林水産物の加工業及び食品製造業並びに農林水産物・食品の流通業において、T)に掲げる買い控え等による被害を懸念し、事前に自ら出荷、操業、作付け、加工等の全部又は一部を断念したことによって生じた被害も、かかる判断がやむを得ないものと認められる場合には、原則として賠償すべき損害と認められる。


V)農林漁業、農林水産物の加工業及び食品製造業、農林水-44-産物・食品の流通業並びにその他の食品産業において、本件事故以降に取引先の要求等によって実施を余儀なくされた農林水産物(加工品を含む。)又は食品(加工又は製造の過程で使用する水を含む。)の検査に関する検査費用のうち、政府が本件事故に関し検査の指示等を行った都道府県において当該指示等の対象となった産品等と同種のものに係るものは、原則として賠償すべき損害と認められる。

W)T)ないしV)に掲げる損害のほか、農林漁業、農林水産物の加工業及び食品製造業、農林水産物・食品の流通業並びにその他の食品産業において、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害は、個々の事例又は類型毎に、取引価格及び取引数量の動向、具体的な買い控え等の発生状況等を検証し、当該産品等の特徴(生産・流通の実態を含む。)、その産地等の特徴(例えばその所在地及び本件事故発生地からの距離)、放射性物質の検査計画及び検査結果、政府等による出荷制限指示(県による出荷自粛要請を含む。以下同じ。)の内容、当該産品等の生産・製造に用いられる資材の汚染状況等を考慮して、消費者又は取引先が、当該産品等について、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合には、本件事故との相当因果関係が認められ、賠償の対象となる。


(備考)


1)農林水産物及び食品については、

@農林水産物は、農地、漁場等で生育する動植物であり、放射性物質による土地や水域の汚染の危険性への懸念が、これらへの懸念に直結する傾向があること

A特に食品は、消費者が摂取により体内に取り入れるものであることから、放射性物質による内部被曝を恐れ、-45-特に敏感に敬遠する傾向があること

Bまた、食品は、日常生活に不可欠なものであり、かつ、通常はさほど高価なものではないから、東日本大震災自体による消費マインドの落ち込みという原因で買い控え等に至ることは通常は考えにくいこと

C花き等は、収穫後洗浄されない状態で流通し、消費者が身近で使用すること等から、接触を懸念する傾向があること

D一般に農林水産物も食品も、代替品として他の生産地の物を比較的容易に入手できるので、それに対応して、買い控え等も比較的容易に起こりやすいこと等の特徴があることから、一定の範囲において、消費者や取引先が放射性物質による汚染の危険性を懸念し買い控え等を行うことも、平均的・一般的な人を基準として合理性があると考えられる。

2)農林漁業及び食品産業においては、本件事故以降これまでの取引価格及び取引数量の動向、具体的な買い控えの事例等に関する調査の結果、多くの品目及び地域において買い控え等による被害が生じていることが確認された。このうち、一部の対象品目につき暫定基準値を超える放射性物質が検出されたため政府等による出荷制限指示があった区域については、その対象品目に限らず同区域内で生育した同一の類型(農林産物、畜産物、水産物等)の農林水産物につき、同指示等の解除後一定期間を含め、消費者や取引
先が放射性物質の付着及びこれによる内部被曝等を懸念し、取引等を敬遠するという心情に至ったとしても、平均的・一般的な人を基準として合理性があると認められる。同指示等があった区域以外でも、一定の地域については、その地理的特徴(特に本件事故発生地との距離、同指示等があった区域との地理的関係)、その産品の流通実態(特に産地表示)等から、同様の心情に至ったとしてもやむを得ない場合があると認められる。

3)また、平成23年7月8日以降、牛肉やその生産に用いられた稲わらから暫定規制値等を超える放射性物質が検出され、これを契機に牛肉について多くの地域において買い控え等による被害が生じていることが確認された。この場合、放射性物質により汚染された稲わら等(具体的には、暫定許容値を超える放射性物質が検出されたもの)が牛の飼養に用いられた等の事情がある都道府県で産出された牛肉については、消費者や取引先がその汚染の危険性を懸念し買い控え等を行うことも、平均的・一般的な人を基準
として合理性があると考えられる。なお、T)Aでは、このような都道府県として17の道県を挙げているが、これは、平成23年7月29日までに報告された当該稲わら等の流通・使用状況、当該道県産の牛肉の取引価格の動向等によるものであり、これ以外の都道府県について、T)Aに挙げられた道県と同様の状況であることが確認された場合は、これらの道県と同様に扱われるべきである。

4)農林水産物の加工業及び食品製造業では、消費者や取引先が懸念する農林水産物を主な原材料とする食品等の加工品(当該農林水産物の原材料に占める重量の割合が概ね50%以上であることを目安とする。)について、消費者や取引先が同様の懸念を有するとしても、合理性があると認められる。この他、その主たる事務所や工場の所在地、原料として使用する水を原因として、消費者や取引先が取引等を敬遠する心情に至ったとしても合理性がある場合が認められる。

5)農林水産物・食品の流通業では、風評被害に係る産品等を継続的に取り扱っていた事業者に生じた既に仕入れた当該産品等に係る被害については、買い控え等による被害を回避することが困難である点で、農林漁業者や加工業者・食品製造業者に生じた風評被害と同様と認められる。

6)なお、風評被害に係る産品等の仕入れができなかったことにより加工・流通業者に生じた損害については、後記第8のいわゆる間接被害として賠償の対象となるかどうかが判断される。

7)U)の趣旨は、出荷、操業、作付け、加工等には費用がかかることから、買い控え等による被害を回避し又は軽減するため、事前に自らこれらの全部又は一部を断念することが合理的と考えられる場合に、賠償の対象と認めるものである。

8)V)によって賠償の対象となる検査費用には、例えば、政府の指導によって水道水の放射性物質の検査を行っている都県において、食品の製造の過程で使用する水について、取引先からの要求等によって検査を行った場合の費用が含まれる。

9)W)は、T)からV)までに該当しない被害について、1V)Aの類型として個別に検証する場合、相当因果関係を判断するに当たって考慮すべき事項を示すものである。


3観光業の風評被害

(指針)

T)観光業については、本件事故以降、全国的に減収傾向が見られるところ、本件事故以降、現実に生じた被害のうち、少なくとも本件事故発生県である福島県のほか、茨城県、栃木県及び群馬県に営業の拠点がある観光業については、消費者等が本件事故及びその後の放射性物質の放出を理由に解約・予約控え等をする心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる蓋然性が高いことから、本件事故後に観光業に関する解約・予約控え等による減収等が生じていた事実が認められれば、1
V)@の類型として、原則として本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。

U)T)に加えて、外国人観光客に関しては、我が国に営業の拠点がある観光業について、本件事故の前に予約が既に入っていた場合であって、少なくとも平成23年5月末までに通常の解約率を上回る解約が行われたことにより発生した減収等については、1V)@の類型として、原則として本件事故と相当因果関係のある損害として認められる。

V)但し、観光業における減収等については、東日本大震災による影響の蓋然性も相当程度認められるから、損害の有無の認定及び損害額の算定に当たってはその点についての検討も必要である。この検討に当たっては、例えば、本件事故による影響が比較的少ない地域における観光業の解約・予約控え等の状況と比較するなどして、合理的な範囲で損害の有無及び損害額につき推認をすることが考えられる。


(備考)

1)いわゆる「観光業」については、@ホテル、旅館、旅行業等の宿泊関連産業から、レジャー施設、旅客船等の観光産業やバス、タクシー等の交通産業、文化・社会教育施設、観光地での飲食業や小売業等までも含み得るが、これらの業種に関して観光客が売
上に寄与している程度は様々であるA風評被害は、旅行の態様や地域によって程度の差があり、売上に影響している程度は様々であることを風評被害の検討に当たり考慮する必要があるが、本件事故以降これまでの旅行者数の動向、宿泊のキャンセル事例等に関する調査の結果、福島県を含む一定の地域を中心に解約・予約控え等による被害が生じていることが確認された。観光業の特性として、観光客が地域に足を運ぶことを前提とすることから、上記調査や旅行意識に係る調査等を踏まえると、本件事故発生県である福島県のほか、茨城県、栃木県及び群馬県において、放射性物質による被曝を懸念し、観光を敬遠するという心情に至ったとしても、原則として平均的・一般的な人を基準として合理性があると認められる。また、ひとたび風評被害が生じると当該地域の観光業全体に影響を与える傾向が認められるため、観光客が来ないことによる影響は当該地域の観光業全体に対し、様々な影響を与え得ると認められる。

2)さらに、これまでの調査の結果、本件事故以降外国人観光客の訪日キャンセルによる被害が生じていることが確認された。外国人観光客については、本件事故発生直後から、国際機関等において、本邦が渡航先として安全であるとの情報が提供されてきた一方で、一般に海外に在住する外国人には日本人との間に情報の格差があること、渡航自粛勧告等の措置を講じた国もあることから、少なくとも本件事故当時に既に予約が成立しており、しかも本件事故発生からまだ間がない一定の期間内においてキャンセルがされたものについては、外国人観光客が訪日を控えるという心情に至ることには平均的・一般的な人を基準として合理性があると認められる。その一定の期間については、各国の渡航自粛勧告等がある程度緩和されたと認められる平成23年5月末までとすることが合理的と考えられる。なお、観光業におけるキャンセルは通常の場合でも一定程度生ずることは不可避と思われることから、通常の解約率を上回る解約が行われた部分についてのみ、原則として本件事故との相当因果関係が認められる。

3)観光業における風評被害については、1)@及びAのとおり様々な事情が影響していることから、損害の判断に当たっては、個別具体的に判断せざるを得ない。特に、観光業は、特定の地域等において営まれている形態であり、地域ごとの事情も様々である。それゆえ、観光業における風評被害については、上記のとおり、1V)@に該当する類型を定めることとするが、これらの類型に属さないものであっても、観光業者における個別具体的な事情にかんがみ、現実に生じた解約・予約控え等による被害について、地域等を問わず個別に、本件事故により放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合には、本件事故との相当因果関係が認められる。例えば、T)の地域以外に営業の拠点がある観光業であっても、福島県との地理的近接性や当該観光業の活用する観光資源の特徴等の個別具体的な事情によっては、本件事故を理由とする解約・予約控え等による減収等が生じていた事実が認められれば、本件事故と相当因果関係のある損害として認められ得る。


4製造業、サービス業等の風評被害

(指針)

T)前記2及び3に掲げるもののほか、製造業、サービス業等において、本件事故以降に現実に生じた買い控え、取引停止等による被害のうち、以下に掲げる損害については、1V)@の類型として、原則として本件事故との相当因果関係が認められる。
@本件事故発生県である福島県に所在する拠点で製造、販売を行う物品又は提供するサービス等に関し、当該拠点において発生したもの
Aサービス等を提供する事業者が来訪を拒否することによって発生した、本件事故発生県である福島県に所在する拠点における当該サービス等に係るもの
B放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の取扱いに関する政府による指導等につき、i)指導等を受けた対象事業者が、当該副次産物の引き取りを忌避されたこと等によって発生したもの

A)当該副次産物を原材料として製品を製造していた事業者の当該製品に係るもの-51-C水の放射性物質検査の指導を行っている都県において、事業者が本件事故以降に取引先の要求等によって実施を余儀なくされた検査に係るもの(但し、水を製造の
過程で使用するもののうち、食品添加物、医薬品、医療機器等、人の体内に取り入れられるなどすることから、消費者及び取引先が特に敏感に敬遠する傾向がある製品に関する検査費用に限る。)


U)なお、海外に在住する外国人が来訪して提供する又は提供を受けるサービス等に関しては、我が国に存在する拠点において発生した被害(外国船舶が我が国の港湾への寄港又は福島県沖の航行を拒否したことによって、我が国の事業者に生じたものを含む。)のうち、本件事故の前に既に契約がなされた場合であって、少なくとも平成23年5月末までに解約が行われたこと(寄港又は航行が拒否されたことを含む。)により発生した減収分及び追加的費用については、

1V)@の類型として、原則として本件事故と相当因果関係のある損害として認められる。V)但し、T)及びU)の検討に当たっては、例えば、サービス等を提供する事業者が福島県への来訪を拒否することによって発生する損害については、東日本大震災による影響の蓋然性も相当程度認められるから、損害の有無の認定及び損害額の算定に当たってはその点についての検討も必要である。

(備考)

1)製造業、サービス業等においては、これまでの具体的な買い控えの事例等に関する調査の結果、福島県で製造されたり提供されたりする物品やサービス等に関する被害や、サービス等を提供する事業者が福島県への来訪を拒否することによる被害が確認された。本件事故の状況にかんがみれば、消費者や取引先が放射性物質による汚染の危険性を懸念し、これら福島県で製造されたり提供されたりする物品やサービス等につき、買い控え等を行うことや、福島県への来訪を拒否することも、平均的・一般的な人を基準
として合理性があると考えられる。また、外国人の来訪については、前記3の(備考)の2)に同じである。2)一方で、製造業、サービス業等においてはいわゆる下請取引が見られるが、福島県に下請事業者が所在することを専らの理由として、親事業者が下請事業者の納入した商品の受領を拒むこと又は一旦商品を受領した後にその商品を引き取らせることは、下請代金支払遅延等防止法に違反するおそれがあることや、平成23年4月22日の経済産業大臣による下請中小企業との取引に関する配慮の要請等が出されていることに留意する必要がある。

3)U)の「外国船舶が我が国の港湾への寄港を拒否したこと」には、外国船舶が我が国のある港湾への寄港を拒否して我が国の別の港湾に寄港したことが含まれる。


5輸出に係る風評被害

(指針)

T)我が国の輸出品並びにその輸送に用いられる船舶及びコンテナ等について、本件事故以降に輸出先国の要求(同国政府の輸入規制及び同国の取引先からの要求を含む。)によって現実に生じた必要かつ合理的な範囲の検査費用(検査に伴い生じた除染、廃棄等の付随費用を含む。以下(備考)の3)において同じ。)や各種証明書発行費用等は、当面の間、1V)@の類型として、原則として本件事故との相当因果関係が認められる。U)我が国の輸出品について、本件事故以降に輸出先国の輸入拒否(同国政府の輸入規制及び同国の取引先の輸入拒否を含む。)がされた時点において、既に当該輸出先国向けに輸出され又は生産・製造されたもの(生産・製造途中のものを含む。)に限り、当該輸入拒否によって現実に廃棄転売又は生産・製造の断念を余儀なくされたため生じた減
収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用は、1V)@の類型として、原則として本件事故との相当因果関係が認められる。

(備考)

1)本件事故以降、我が国の輸出に関し生じている被害は、外国政府の輸入規制が介在する場合を含めて一般的には、外国人が我が国の輸出品について放射性物質による汚染を懸念し、これを敬遠することによって生じているものと言え、いわゆる風評被害の一類型と考えることができる。2)輸出に係る被害についても、風評被害が平均的・一般的な人を基準に判断の合理性を問題にする以上、日本人の消費者又は取引先を想定した場合と同じ範囲で「風評被害」を認めることを基本として考えることが適当である。しか
しながら、一般に海外に在住する外国人には日本人との間に情報の格差があること、外国政府の輸入規制など国内取引とは異なる事情があること等から、輸出に係る被害については、一定の損害項目や時期に限定して、国内取引よりは広く賠償の対象と認めることが適当である。

3)海外に在住する外国人と日本人との間の情報の格差や、輸入拒否による損害の発生を回避する必要性等にかんがみれば、我が国からの輸出品等について、検査や産地証明書等の各種証明書を求める心理は一般的には合理性を有していると認められる。したがって、本件事故が収束していない現状においては、当面の間、我が国からの輸出品全般についてそのような検査費用や各種証明書発行費用等は、原則として賠償すべき損害と認められる。

4)一方、情報の格差等があるからといって、検査や各種証明書の発行等を要求するにとどまらず、広く我が国からの輸出品全般について輸入を拒否する心理についてまで、一般的に合理性を認めることは困難である。また、輸入拒否を受けた我が国の事業者においても、一般的には、別の国又は国内において販売するなど被害を回避又は減少させる措置を執ることを期待し得る。したがって、輸入拒否については、基本的に、日本人の消費者又は取引先を想定した場合と同じ範囲でのみ原則として本件事故と相当因果関係のある「風評被害」と認められる。但し、被害を受けた我が国の事業者において、当該輸入先国による輸入拒否がされる以前に既に輸出し、又は当該国に対する輸出用に既に生産・製造をし、若しくは生産・製造を開始していた輸出品については、当該輸入拒否による損害を回避することは困難であることから、この場合の損害に限って原則として相当因果関係のある「風評被害」と認めることが適当である。また、その場合であっても、上述のとおり、我が国の事業者においても損害回避措置が期待されるところから、例えば輸入拒否を知り得て輸出した場合に生じた被害は損害として認められない。


5)U)の「当該輸出先国向けに生産・製造されたもの(生産・製造途中のものを含む。)」とは、当該輸出品の種類、品質、規格、包装、生産・製造方法等を特に当該輸出先国向けとしていることから、当該国以外への転売が困難であるか又は転売すれば減収や追加的費用が生じるものを意味するものとする。
 

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