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再稼働判断 見えぬ主役 原子力規制委、手探りの1カ月
運営透明性は向上
新たな原子力規制の中核を担う原子力規制委員会が発足して19日で1カ月になる。旧経済産業省原子力安全・保安院が電力業界との癒着やもたれ合いを指摘されたことを反省し、規制委は運営の透明性や組織の独立性を高める工夫を重ねる。ただ、原子力発電所の再稼働を誰がどう判断するかの新たな枠組みがハッキリしないなどの課題も浮かび上がってきた。
「大きな仕事にいろいろ手をつけて着実に進めている」。規制委の田中俊一委員長は17日の記者会見でこの1カ月をこう振り返った。
保安院と大きく変わったのは委員会や記者会見の運営だ。インターネットで生中継し、ほぼ翌日には議事録を公表する。政府の審議会は何週間もかかることが多い。
電力会社との面会はホームページで公表し、規制委の委員が3人以上集まったときも明らかにする。「事業者、官僚、『推進派』の有識者が密室で政策を決めた」と批判されたため、透明性を強く意識する。
田中委員長は「独立性にはこだわっている」とも語った。保安院は原発を推進してきた経産相が指揮したが、規制委は国家行政組織法3条に基づく「三条委員会」で独立性が高い。
原発の新増設の安全審査で枝野幸男経産相が「認めるべきではないと規制委に申し上げる」と述べると、田中委員長は「経産相が何かおっしゃっても全く影響を受けない」と明言した。肩に力が入っても透明性や独立性を高める思いが透ける半面、硬直的な対応も目立ってきた。
●独立性の副作用
「委員長の真意を確認したい」。田中氏の「今年度内に新しい安全基準の骨格をつくりたい」との記事が出た際、電力業界が事務局の原子力規制庁に問い合わせると「お答えできません」。規制庁のある幹部は「委員会で決まったことしか答えられない」と漏らす。
規制委は意見を聞く有識者の選定基準をつくり、電力会社から報酬や寄付を受けた有識者は事実を公表するよう求めた。「電力会社と関係があったと批判を浴びかねない」と萎縮する研究者が出ており、原発の活断層の調査では4人が打診を断った。各国の規制組織に詳しい城山英明東大教授は「独立性は外部と接触しないことではない。とくに原発の立地地域との対話をもっと進める必要がある」と話す。
●国会対応にも懸念
試金石となるのが国会への対応だ。同じ三条委員会の公正取引委員会の幹部は「政治家の大臣がいないので委員長の負担は重い」と話す。原子力政策への関心は高く、田中委員長が朝から晩まで国会審議にかかりきりになる場面も予想される。
田中氏は官僚出身でもなく答弁などの経験は乏しい。さらに規制庁の陣容が心もとない。議員への質問取りなどにあたる官僚も環境省の国会の控室に「間借り」する。委員長らの人事は国会同意も得ていない。原子力委員会の前委員長代理だった田中氏が「原子力ムラ出身」と集中砲火を浴びる可能性もある。
原発立地の自治体、困惑深まる
原子力発電所の再稼働に向けた枠組みづくりは宙に浮いたままだ。規制委と政府が最終責任を押しつけ合う状態が続き、原発が立地する自治体の困惑は深まる。
「基本的には国の責任で(原発再稼働への)理解を得る行動をやるべきだ」。東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県柏崎市の会田洋市長は18日、記者団に語った。市長は原発の安全対策などで松宮勲経済産業副大臣と会談。規制委と政府の役割分担がはっきりしない現状に「違和感というか、とんでもないと思う」と不満をあらわにした。
規制委の田中俊一委員長は「安全性だけ判断する。地元との合意形成はしない」と強調。これに対し政府は「再稼働は規制委が判断する。地元との調整は事業者の役割だ」と距離を置く。
米原子力規制委員会(NRC)のデール・クライン元委員長は「米国では州知事が原発再稼働に口をはさむことは無い。NRCが全米の原発の稼働や停止の決定権を持つ」と話す。規制委も政治から独立性が高い組織として発足した。誰が、どのように、どこまで再稼働に関わるのか。早く整理する必要がある。
原子力委「廃止」年内に結論へ エネ環会議が工程表
政府のエネルギー・環境会議(議長・前原誠司国家戦略相)が19日にまとめる原子力政策に関する工程表が18日、明らかになった。核燃料サイクルを含む原発政策を担ってきた内閣府の原子力委員会について組織を見直すための会議を10月中にも設置することを明記。年内に廃止を含めた結論を出す方針を示した。
工程表には11月中に今後のエネルギー政策に関する協議を政府と原発の立地自治体が始めることも盛り込んだ。12月中に文部科学省が「原子力に関する人材や技術の維持・強化策」をつくるなど各省庁が年内にまとめるべき政策を列挙した。
前原国家戦略相は15日、「工程管理をしっかりし、それぞれの役所が負う責任・役割を明確化する」と述べていた。
[日経新聞10月19日朝刊P.5]
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